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鉄道計画は進むのか?
それとも、中国に鎖でつながれるのか?

2002年2月9日
ラサ(ガーディアン)

-中国に50年支配され、チベット人は貧困と孤立に終止符を打つというこの計画に疑念を抱いている-

砂塵嵐が、ラサの谷間にある不法占拠の村に渦巻き、むき出しの高い山の景色を覆い隠している。ヤクとロバは白く塗られた低い壁に群がり、祈りの旗は小塔でパタパタはためいている。農場主は風と砂よけのため布を被り、荷を積み過ぎたミニトラクターに乗って畑から家まで移動する。彼らは少なくとも、ボロボロながらマントをはおっており、遠くに移動する遊牧民よりも暮らし向きが良い。

ラサからそれほど遠くなく道路から外れたその村には、電気が通っているが、生活はごく質素だ。燃料はヤクのフンで、家の壁の所々にベタベタ塗り、乾かして作る。プラスチック製のジェリー缶は、村の唯一のスタンドパイプとして並べられる。村には小学校があるが、ほとんどの教師は無資格だ。10のうち4人以上のチベット人の子供は、中学校に通うことができない。

「チベット人の平均収入は、『中国内陸部』の半分以下というのは事実だ」と、チベット計画開発委員会のワン委員長は述べる。

ワン委員長は、チベット地域を改革するという「エキサイティングな計画」を述べる。多くの高官が提出する計画書のように、1〜4までの番号がふられている。NO.1は、「中国内陸部」からラサまで新鉄道建設。これは現在すでに建設中である。NO.2は、新しい2つの飛行場の建設。NO.3は、3つの幹線道路の修復。NO.4は、4つの新しい発電所の建設である。

この近代化計画は、中国との貧富の差を埋めるために、「(チベットを含む)西部を開発する」ために、中国政府の全体的な計画によって新しく推進力が加えられ、チベットを救済するものとして宣伝されている。しかし、海外のチベットの専門家たちは、中国政府が他にもくろんでいることがあると言っている。

「本質的に、政治上の戦略的な統合を狙っているはずだ」と、無所属のチベット人の歴史家で「雪の国の龍 Dragon in the Land of Snows」の作者、ツェリン・シャキャは述べる。
「チベットのもともとの経済は、西の南アジアの方へ向いている。しかし、中国政府は、しっかりとチベットを東に向かせて、中国に結びつけ、中国の内陸部から(チベットに漢人を)もっと移住をさせたいと考えている」

新しい鉄道計画が、ワン委員長の嘆願の最重要項目に上がっているのは、偶然ではない。中国人は、チベットに対して行った行為について尋ねられると、道路と航空によってチベットを開拓し、チベットに利益をもたらした、という言い分を常に引用する。

中国支配の50周年を記念して、ラサでは大きな記念碑が現在建築中である。エベレスト山を抽象的に形づくり、チベットの精神的なリーダー、ダライ・ラマの以前の住まいであるポタラ宮殿を背にして高くそびえ立っている。中国の軍人の「英雄的行為」や、1950年代と1960年代に四川省と青海省に隣接する道路を建てる際に亡くなった労働者たちを称えるとのことだ。

中国政府は、よりよいコミュニケーションによって中国側に近い内陸部とチベットを結び、その結果、「ダライ・ラマ徒党」の抗議を抑えようと目論んでいる。ワン委員長は、「「中国内陸部」とチベットがより近づき、文化交流が促進されること」の重要性を論じ、さらに「我々は数年間、鉄道を楽しみにしてきた」と付け足した。

ラサの中央郵便局では、去年の鉄道起工の記念雑誌が置かれている。その雑誌には、雪の景色を背景にヤクが草を食べる牧草地を二階立て電車が走っている様子が載っている。しかし、現実はそれほど牧歌的でない。新しい鉄道は、青海省に隣接するゴルムドから出発し、ほとんど生き物の気配のない荒涼地を横ぎる。

5,000メートルはあるタクラ峠は、雪に覆われた岩の深く窪んだ断層崖だ。ラサに続く道には、ひどく腐食した坂があり、山崩れで人々を脅す。鉄道の8割は、4,000メートル以上の高さに建設され、半分の線路は、中国人技術者が解決できると主張する技術的な問題を引き起こし、永久凍土層に取り残されるだろう。連結装置がない上、1,126キロメートルの道は、完成するのに6年かかるだろう。

=出稼ぎ労働者=
先週の旧正月、ラサの中央郵便局は「内陸部」の家族に送金する中国の出稼ぎ労働者でごった返した。鉄道事業には、地元のチベット人はほとんど雇用されず、すでに10,000人以上の移住者が線路敷設工事のために連れてこられた。
「鉄道のほとんどの機材は、内陸部から持ってきた」とワン委員長は述べる。
「しかし、採掘のような手作業はあえて地元のチベット人を雇っている」

小さな商店やレストラン、タクシー会社を運営しているラサの数千に及ぶ移住者たちは、内陸部へより便利なアクセスができることを歓迎している。
「チベットは、よい場所だ」と、四川省出身のタクシー運転手は言う。
「わずかな規制はあるものの、居住許可をわざわざとる必要がない。しかし、冬には道路がよく封鎖され、飛行機の運賃はとても高い」

ジョカン寺院の屋根の上で偶然に出会った5人の若いチベット人たちに聞くと、彼らはこのような仕事の状況に異なる展望を持っていると言う。5人のうち、たった1人だけが、夏の間、トラック運転手として臨時に雇われるらしい。彼らの英語力は限られているが、彼ら全員が、「jobless(仕事がない)」という単語を知っている。

「我々全員は、私立学校で英語を学んでいる。クラスには、56人の生徒がいる」と、シガツェ出身の青年は語った。
「英語を学べば、観光客ガイドの仕事を得るのに役立つだろう」

はるか遠くの中国政府の開発プログラムが、事実上ほとんど教育を受けていない多くの田舎のチベット人は言うまでもなく、これらの都市の若いチベット人のために役立っているか疑わしい。チベットには確かに、開発プログラムが焦点としているインフラ整備に投資が必要である。チベット以外の中国の地方地域と比較すると、チベットは50年前の状況と同じくらい孤立している。

中国に続く幹線道路やネパールに伸びる「友情ハイウェイ」は、ほとんど舗装されていない。市内から60マイルのところにあるラサ空港は、先週、滑走路を覆った砂嵐のために、3日間閉鎖された。

中国の関係筋さえも、チベットの開発は不安定だと認めている。
「過去40年にわたって、我々はチベットに多様な経済を築くことに失敗した」と、エコノミストのシェン・カイユンは書いている。
「他の中国の少数民族は、多かれ少なかれ中央政府に依存しているが、チベットは従属経済のモデルと言うことができる」
シェン・カイユンは、将来の経済計画について、過去ほど『政治の影響を受けない』と強く主張する。

観光事業は、チベットの主要な産業になったが、外国人訪問者の登録条件を厳格に管理しているだけでなく、チベットの標高と気候がその観光産業の成長に歯止めをかけている。最も増加しているのは中国人の観光客で、彼らは、携帯電話の音をポタラ宮殿に反響させている。町中の広場では、カラオケバーで歌い、新しいデパートで買い物を楽しみ、ラサで最初にできたエスカレーターに乗ることができる。少数のチベットの新興中産階級は、これらの近代化の賜物を楽しむかもしれない。街のはずれにある新しい二軒建ての民間住宅に住み、中国の内陸部の大学に通う子供に仕送りをしている人達もいる。しかし、2.6メートルの家に住んでいるほとんどのチベット人にとって、生活は未だに昔のままだ。

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