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ポーラ・J・ドブリアンスキー国務次官声明

2002年3月7日

米下院国際関係委員会チベット問題特別調整官
ポーラ・J・ドブリアンスキー次官声明

チベットにおけるアメリカ政策の留意点

委員会委員長ならびに委員の皆様、皆様の前で今日、チベットにおけるアメリカ政策の留意点について証言することを嬉しく思います。本委員会委員の、この問題に関する興味と支援を心から感謝します。また、ロディ・ギャリダライ・ラマ特別公使、インターナショナル・キャンペーン・フォー・チベット、今日われわれと同席したリチャード・ギア氏を含む多数の専門家諸氏、昨年お会いしたNGO諸団体に対してもお礼申し上げます。

10ヶ月前に私は、地球規模問題担当次官としての職務に加えて、チベット問題特別コーディネイター兼務に任じられました。アメリカ政府の目標は2つあります。第一は、中国政府とダライ・ラマまたはその代表との間の実質的な対話を促進することであり、第二は、チベット固有の宗教、言語、文化の伝統の保持を助けることです。

委員長ならびに委員の皆さんがご存知のように、チベットと中国政府との関係に関わる紛争は、数世紀もさかのぼる長く複雑な歴史を有します。はるか過去にさかのぼって証言するよりも、私はチベットにおける現在の問題に焦点をあてて、私が就任以来重視してきた地域における昨年の重要な進展について述べたいと思います。

チベットの現状

チベットにおける状況は深刻です。2001年の国務省人権問題年次報告書は、中国の項目で、宗教その他の基本的自由に対する厳重な制限は依然として深刻な問題であると明言しています。同報告書は、恣意的な逮捕、裁判によらない拘留、獄中での拷問、チベット仏教僧院での僧侶と尼僧に対する公的統制を含む人権及び宗教の自由の広範な侵害を詳細に述べています。

過去20年間、中国が実質的な財源をチベットに傾注してきたにもかかわらず、チベットはいまだに中国で最も貧困な地域です。言語の問題がチベット人学生の教育機会を厳しく制限しており、いくつかの地域では、非都市部の子供たちは慢性的栄養失調状態です。ある報告によれば、医療の私企業化と中国語による教育課程の重視、漢民族移住者のチベット流入が続いていることはすべて、チベットのチベット人人口の社会的経済的な立場を弱めつつあるということです。

重要な進展

2001年10月我々は中国との人権問題二国間対話を再開しました。我々は、これらの会談が実質的であり結果を出すことをめざすよう期待すると、初めから明言しました。また、9月11日のテロ攻撃は世界の責任国家の未来は互いに絡み合っており、我々は万人のための平和と安定を確保するよう努めねばならないと繰り返しました。

我々はこの人権フォーラムの機会に、個々の重要な事例を取り上げました。最も重要な問題は、ダライ・ラマによってパンチェン・ラマとして認定されたゲドゥン・チューキ・ニマとその両親の安否と所在です。彼らは7年間連絡を絶たれています。中国は、彼は「普通の学童」として中国で生活していると主張しています。少年と家族に外国人との面会を許可するようにわれわれが再三要請しているにもかかわらず、中国は、彼の安否を直接確認する許可を拒否しています。中国側が過去に示したように少年が元気なら、なぜ彼の状況を確認するための訪問を許可できないのか理解できません。実際、少年の運命は不確実で、日々懸念が増大しています。国際的な懸念を静めるには、言葉で保証するだけでは十分ではありません。このような訪問に同意することは、宗教的自由に関する中国の意図を世界に説明する良いきっかけとなるでしょう。

1月に中国政府は、人道的ジェスチャーとして、前ミドルバリー・カレッジのフルブライト奨学生で1995年にスパイ活動の容疑で拘留されたチベット民族音楽研究家のンガワン・チョペルを釈放しました。我々はこの進展を喜びました。アメリカ議会の多くの議員たちとともに、現政権はそのような進展を強く進めていたからです。しかしながら我々は、政治的拘留者を臨時に個々に釈放するのではまったく不十分であると、中国政府に言明しました。今までにも増して重要なのは、我々が人権のような問題に関する些細な意見の相違を狭めるように互いに努力して、両国の関係進展の速度を遅れさせるような障害を取り除くようにしなければならないということです。ちょうど1ヶ月前にパウエル国務長官がこの委員会で述べたように、「我々が中国との間に築こうとしているのは、率直、建設的で協調的な関係です。—互いに同意できない部分では率直で、何らかの光明が見られる部分では建設的、地域的世界的な利益を共有する部分では協調的な関係です」

私の役割

昨年5月にパウエル国務長官と私は、チベットの状況についてダライ・ラマから直接話を聞く機会がありました。ダライ・ラマとの会談で私は、彼が中国指導者たちとの対話を求めているとの確信をもちました。また彼は、中華人民共和国の枠組みのなかでのチベットの「真の自治」を、断固として求めています。

昨夏パウエル国務長官は、10月に予定されていたブッシュ大統領訪中準備のために北京を訪れました。その後まもなく同長官の例に倣って唐外相がワシントンを訪れました。外相訪米中、中国の最有力な指導者の一人と直接チベット問題を取り上げる機会となった両国間会談に、私は同席しました。ブッシュ大統領は10月に上海を訪れて江沢民主席と初めての首脳会談を行いました。両首脳は、テロ対策での協力や他の安全問題、両国間の経済的軍事的提携、宗教の自由、人権、チベット問題を含む多くの問題を話し合いました。

前回両国首脳が中国で会談した時、江沢民主席は当時のクリントン大統領に、チベット問題の進展が近いという印象を与えました。中国の指導者は、前提条件つきではあるが、ダライ・ラマと会談する用意があると公式に表明したのです。不運にも主席はこの声明からまもなく後退してしまい、実質的な直接対話を始めるのではなくて、1998年のクリントン江沢民首脳会談が、両国間の話し合いの最後となってしまったようです。

私は、ブッシュ大統領の上海と北京訪問に同行しました。どちらの訪問でも、大統領は中国政府がダライ・ラマか彼の代表と直接交渉するように要請し、真の自治を求めるダライ・ラマの要求は真剣であると述べました。

12月に私はノルウェーを訪問してダライ・ラマと会見し、彼の見方を聞きました。今月下旬にはEUの同役たちと会談して、チベットの状況と対話を勧める最善策に関する彼らの見解を求める予定です。

結論

広く知られているチベットにおける中国の人権配慮の乏しさの記録は、中国の国際的な評判と信頼性を損なうものです。換言すれば、チベットは中国にとって国際的に難しい問題であり、米中関係にとっても問題です。2002年の共産党大会が近づいた今、中国の指導者たちはチベット問題を、相当な国内政治上の危険を伴う複雑な政治課題だと認識しているというのが私の印象です。チベット、西部、中国沿岸部でさえ中央の支配力を失うのではないかという恐れは根深いものです。中国指導部はソビエト連邦の解体から教訓を得たのです。

世界中で見られる民族闘争による国内的不安定の例は、相互の協力と、民族、文化、宗教の自由に関して妥当な妥協と保護を与えることが、長期的には国家の主権と安定を守る最善策であることを証明しています。確かに、近年起こったことを教訓として適切に分析すれば、中国政府がなぜチベットの将来に関してダライ・ラマと協力すべきなのかは明白です。

ダライ・ラマは地域的国家的な安定に関わる困難な問題を解決するのに有用でしょう。彼は議論の余地無く多くのチベット人の意見を代弁し、彼の道徳的権威はチベット人の利益を超越しています。もし中国政府が対話と相互解決を熱心に求めるダライ・ラマとの協力することに失敗したなら、チベットの抵抗運動は激化して、政治的大変動の可能性が増大するかもしれません。

チベットの状況を解決することは、中国政府にとってもチベット人にとっても利益になるでしょう。中国にてっては多数の点で有利になります。第一にチベット問題の解決は中国の社会的安定を増し、協力的な経済発展の機会を提供します。第二にこの問題に対する国際社会の注目が薄れ、中国との関係を進める主な障害が無くなります。第三に中国は人権に関する国際基準を真剣に遵守することを示し、国際社会の尊敬すべき一員となります。チベット人の利益となることは、彼らにとって最も重要なことですが——彼らの文化、言語、民族的伝統を保持することです。

反対にもしこの状況が改善されなければ、失われるものは多くなるでしょう。ブッシュ大統領は北京の清華大学で次のように演説しました。「自由な社会においては、多様性は無秩序ではありません。議論は闘争ではありません。異義は革命ではありません。自由な社会はその成員を信頼して、自分自身と自分の国を偉大にする努力をすることを許すのです」全国民の間の自由な対話と法のもとでの基本的権利の保護は、国内的安定の重要な要素であり、中国とチベット人双方が求めるべき目標です。この問題を未解決のままにしておくことは、アメリカその他の国々との完全な政治経済的協調の障害となるでしょう。

今日から3日後にダライ・ラマは亡命生活43周年を記念します。ダライ・ラマは、中華人民共和国の中にチベット人のための自治を確立するという彼の主張を、並外れた勇気を持って主張してきました。もし中国がダライ・ラマとの合意に達するなら、次世代に平和の道を開き、中国とチベット双方の利益を増進させることになるでしょう。我々は、中国がこの道を進むように期待しています。

最後に、今日証言の機会を与えて下さったことを皆様に感謝します。私は、このきわめて重大な問題のために、今また今後も、皆様と共に働き続けることを待ち望んでいます。

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