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ホーム>ニュース>2001年>チベット占領とその影響 第二部「市松模様の歴史」

チベット占領とその影響
第二部「市松模様の歴史」

2001年7月19日
ニューデリー(ザ・パイオニア)

(チベット占領と南アジアにおけるその衝撃−第2部)
論者:Vijay Kranti (ヴィジェイ・カランティ)

中国がチベットを占領したことで南アジアの政治に与えた最も重大な影響は、1951年、チベットの「解放」で急に隣人同士となった中国とパキスタンが軍事・政治同盟を結んだことだ。これら2国の共通の敵であること、そして3国で共通の国境線を有することにより、インドが非常にまずい立場へ追いやられているということを、歴史は過去50年かけて再び証明した。パキスタンの支配層がインドとの反目だけに神経を集中していることも、インドにとって不利に働いている。

ヒンディー語とウルドゥー語には、自分の隣人が不幸になればいいと願う嫉妬深い人間を実にわかりやすく言い表す共通のことわざがある。それはこうだ。
「Meri Deewar Bhale Hi Gir Jaaye, Magar Padosi Ki Bakri Zaroor Marnee Chaahiye(自分の家の壁が崩れたって、まったく平気である。もし、崩れた壁が隣人のヤギを殺してくれるなら)」
残念なことに、歴代のパキスタン政府は過去50年の間、政治的イデオロギーや制服のサイズには関係なく、インドのBakri(ヤギ)が殺されるのを見たいがために自分の家の壁を次々と壊してきた。パキスタンが非常に熱を入れてきた中国との関係は、真の国益よりもこの「Bakriシンドローム」によって導かれている。中国もこのパキスタンの心的傾向を最大限に利用してきた。

インドを苦境に陥れたいがために、パキスタンの支配層は面積2000平方メートルのアクサイチン(Aksai Chin)とパキスタンに占領されたインドのカシミール地方を喜んで中国にさしだし、パキスタンが統治する領土内にカラコルム幹線道路を敷くことを許可した。国道網に直接アクセスすることも認めた。その結果、中国は今やアラビア海まで軍隊を移動させられる立場にあり、インドに対して新しいレベルでの軍事行動に出ることができる。最近の展開では、中国はパキスタンのために、グアダルに深海ポートを開発する。パキスタンが新しい港で、中国に海軍軍事施設を提供すれば、ホルムズ海峡中央とペルシア湾入り口で着工されるこのプロジェクトは、インドにとって潜在的な脅威となるだろう。これら一連の出来事により、インドがますます脆弱になっていったのは確実である。特にグジャラート州とマハラシュトラ州の海沿いの州にそれがあてはまる。パキスタンがインドに執着していることを知っている中国は、パキスタンに核武装させて大きな戦略的手段を取った。主目的は、インドをパキスタンとの核紛争に没頭させ、インドの核計画に国際的な監視と圧力をもたらすことにある。

パキスタン=インド間で深刻な核紛争が起こった場合、真の勝者は中国となる。パキスタンはインドの主要都市、デリーやムンバイに損害を与えることはできるだろうが、インドの報復攻撃で国ごと炎の中に消散してしまうだろう。そうなれば、全イスラム世界と西側諸国がインドと敵対することになる−−それは、将来、アジアの覇者となり世界のスーパーパワーとなることを目指す中国にとっては好状況である。

インドとの核紛争とは関係なく、最近のパキスタン人は中国との熱愛関係から新たな種類の問題が浮上してきたことに気付きだした。これまでパキスタン軍のカクテルパーティーでごく内輪に語られてきた危機について、新聞はオープンに語っている。パキスタン軍の高級将校自身、親中派とその他の派に分裂しているようだ。国家主義者のパキスタン将校たちは、インドに対する執着とそれに起因する中国への盲目的な忠誠がパキスタンの国益に新種の脅威をもたらしていることにショックを受けている。中国人が気ままに享受してきたこの種の自由とパキスタンの防衛体制と平行して、親中派将校のネットワークが様々なレベルにおいて確立されている。パキスタン軍の部隊の次官が、パルヴェーズ・ムシャラフ大統領に対して反乱を企てているという危険性が大っぴらに論じられているが、これは問題の深刻さを表す指標でしかない。

パキスタンが、1951年のチベット占領後、一夜にして隣人となった中国から他にどんな問題をつきつけられるかはアラーのみぞ知る。

ミャンマー:インド海への道

ミャンマーの場合、中国にとって状況はネパール、ブータン、パキスタンよりもずっと好ましい。インドを含め、他の諸国がミャンマーの軍支配者を非難し、窮地に追い詰めようと必死になっている間、中国政府はミャンマーが、南アジアでの計画を成就させるための適切な同盟国であり、道具であることを見出した。残念ながら、混乱状態にあったインドはこの隣国に対して影響力を揮えず、意味のある脅威となることができなかった。

今日のミャンマーが、実質的に北京の同盟軍であり、中国専属の兵器バイヤーであることは何ら不思議ではない。中国が支援する反インド戦闘グループにとって、ミャンマーは格好の作戦本部となり、聖域となった。更に、ミャンマーは中国軍がインド海に拠点を置けるよう、中国防衛軍にインド海への直接の陸路を提供した。この状況がもたらした最終的な結果、インド海に沿岸境界線を持たなかった中国が、アンドマーン(Andman)やニコバル諸島のインド軍基地から40キロしか離れていない地点に海軍の根拠地を置けることとなった。これは、中国がチベット占領により、いかに南アジアに触手を伸ばしているかのもうひとつの例である。

行き場のない、血を流すインド

中国の国境が変わり、インド国境の目前に中国軍が史上初めて登場したことは、インドの経済にとって非常に高くつく展開となった。1962年、北京が占領下にあるチベットをインドに対する武装攻撃の発射台として利用したとき、インドは中国が隣人となったことを初めて実感した。想像上の'Hindi-Chini Bhai-Bhai'(インドと中国は兄弟)の虹の上でゆれていた無防備なインドは、この攻撃に敗北し、傷を負い、屈辱を受けた。眠りから揺さぶり起こされたインドは、より実際的な方法で国家防衛を考えざるを得なくなった。

「インド=チベット間国境」が「インド=中国間国境」が変わったために、クリーンな飲み水、良い教育、信頼できる医療サービスを、独立後54年たっても貧困状態にあるインドの村々に提供するために十分とされる額の年間5年分に相当する金額が平和維持のために毎年費やされている。これは最も低く見積もった額である。中国による様々な破壊活動のためにインドがいくら損失をこうむっているのか、中国との戦争がどのくらいかかるのか見積もるのは容易ではない。

インドと中国が互いにどう接しているか

アジア2大国の関係改善を唱える外部の声にもかかわらず、実質的なものは何も見えていない。むしろ中国はどんな状況でも、インドを最も傷つけるための選択をしてきた。インド政府は常に、チベットは中国の「内部」問題であると様々な形で繰り返してきたが、中国人はアルナチャル・プラデシュ州とシッキムがインドの領土であることを認めてこなかった。カシミールの件でさえ、中国はいずれにしろパキスタン側の立場に回ってきた。インドは、北京が安全保障理事会の常任理事国に承認される際(台湾が除外されるというコストの引き換えに)、妨害活動をしなかったが、中国はインドが安全保障理事会入りすることをにべもなく拒絶した。中国はパキスタンの核軍備を積極的に助けながら、可能な限りパキスタンのインド対立を促進し続けてきた。中国は、インド各地の多数の反インド分離主義者グループを積極的に助け、支援している。

最近、中国は大っぴらにインドの産業に対して、経済戦争をしかけてきた。インド市場で多数の製品が原価より低い価格でダンピングされているのだ。状況はかなり深刻で、首都デリーだけでもこの数ヶ月で、中国との価格戦争に抗しきれずに数百もの産業組織が倒産した。この場合も、密輸によって商品をダンピングするため、中国はチベット=ネパール間の陸路を利用している。

インドの施政者が、インド=中国関係の歴史を教訓にすることを拒否し、「インド=中国間の友情」という妄想をいまだに盲目的に追い求めているのに対し、中国はインドの国益を損ねるためなら、どんな機会もとらえて利用していると、我々はこう理解している。

中国のチベット占領は、チベット民族だけではなく、他の南アジア諸国の国益をも損なってきたと、我々はこう理解している。インドとその他の南アジア諸国にとっては、今がチベット占領の現実と南アジア地域の未来に及ぼすその影響を理解する潮時である。このダメージを回避し、中国との距離を大きく保つには、チベットを中国と南アジア諸国との独立した緩衝国として復帰させるしか方法はない。歴史を学ぼうとしない者は、何度も何度も同じ歴史を繰り返すはめになるだろう。

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