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国連規約と中国の真意

1998年
チベット亡命政権発行「TIBETAN BULLETIN」

チベット人権団体は、10月7日の中国の国連人権B規約署名を歓迎したが、中国が果たして本気なのかどうか、また、チベットと中国両方における人権問題の状況改善にどれだけの効果があるのか依然疑わしい、という姿勢を示している。

チベット人権・民主センター(TCHRD)は、「市民的、政治的権利に関する国際規約」(ICCPR)についての中国のこの決定を「執拗にせまる国際世論のプレッシャーに対する回答のように思われる」としている。
「私達は、中国の今回の署名をますます悪化している人権侵害問題から注意をそらすためのものだと見ています」とロプサン・ニャンダクTCHRD所長はその声明文の中で述べている。
「ICCPRに署名することにより、中国は11条の規約文書に署名し、批准したことになります。しかし、チベットと中国では著しい数に及ぶ人権侵害が続いているのです」と付け加えている。

今回の規約文書は、経済、社会、文化に及ぶ権利に関する国際規約を含む1対からなるものの片方で、中国は10月、これに署名したが、これからまたさらにICCPR同様に批准しなければならない。

この2つの規約文書は、どちらも国連人権宣言を掲げ、人権侵害に関する国連人権委員会年間調査をベースに作成されている。しかし、国連人権委員会は、批准以降、条約に従っているかどうか監視できるのみである。 
「もし中国が、これらの規約を忠実に守る気持ちが心底あるなら、批准するはずだ。」とニャンダク氏は述べている。

TCHRDの報告書は、中国の国連拷問禁止条約批准後に、7ヶ月間拘留拷問された末、死に至った22歳の囚人ダワ・ツェリンの例を挙げている。同様に65人のチベット人が拷問されて死んだことも付け加えている。

ICCPRは適正な試用期間の規定を設けている。それは、拷問や残酷な行為を禁止、もしくは罰を軽いものにすること、民間人の生活・自由の権利を認めること、行政機関に拘留されている場合は速やかに公平な裁判を行うことである。

1976年の「市民的政治的権利に関する国際規約」発効以来、中国は141番目の署名国となる。しかし、中国全国人民代表大会が、正式にこの規約を承認すると、疑問点がおおやけとなる。
北京在住の1欧米人外交官は、この中国の署名を「第1のステップを約束させるもの」として用心深い様子ながらも歓迎している。しかし、中国の活動家達によれば、中国政府は今まで約束ごとを守ったことがないから期待できない、と言っている。
「署名後は、中国が国連人権規約にほとんど署名したようなものだととれるだろう」と1970年代、中国民主主義活動で12年の刑を言い渡されたチュー・ウエンリー氏はこう語っている。 
「しかし、中国が伝統的に人権関連の国際協定に署名しても守らないということは周知のことである。」

今回の規約署名でチベットにメリットが生まれるのか?

中国の「国連の市民的・政治的権利に関する国際規約」の署名は、チベット人にとって、天からの贈り物のように思われる。
「すべての人々は、自分で決定する権利がある。この権利により、人は自由に自分の政治的位置付けを決めることができ、また経済的・社会的・文化的発展を続けることが自由にできる」と当規約は明記しているである。
このような自由を守る内容が53条に及び、チベット人達がこれからの針路を選ぶことにおいても、また中国政府にチベット援助協力を義務付けることにおいても、表面上は力強い存在のようである。これから、チベット人が、共産主義勢力支配—中国政府の「自治政府」の直接支配—を一掃できるだろうか。現在亡命中のダライ・ラマ法王をラサのポタラ宮殿の玉座に戻すことが出来るだろうか。

中国ウオチャーによると、基本的主権が中国にあるとする場合—特にチベットや台湾等の「分裂主義者」に反するものである場合、中国政府はこの規約の内容を歓迎するようである。

台湾・中国戦略関係の専門家である台北在住のアンドリュー・ヤン氏は、こう述べている。
「中国政府は、分離主義者に対する応答として軍事力を行使してきたが、ここにきて暴力的でない代案を見つけようとしているのである。このことは、中国が政治改革へのステップを踏む用意のあること、自由を求める人々に、もう力でねじ伏せないことをあらわしているのかもしれない」

期待に水を差す中国のメデイア

中国日報と新華社、これら中国の2大メディアは、「中国は国際的な批判を共産主義政府の人権の伝統的定義に拠る対話というかたちに代えることに成功した」としている。
中国のICCPR署名の影響に関する、この2大メディアの声明は、中国が規約内で広範な権利を包括するという期待に、いくらか水を差すものである。
「だからといって、人権に関する中国のスタンスや政策に変化があったというわけではない、このことは、すでにいくつかの国際オブザーバー機関が示唆していることである」と10月22日付けの中国日報編集部に書いている。
「これはむしろ、国際関係において遅れながらも好ましい転換により、中国が、自ら展望を練り、頭の痛い問題に建設的な対話を始める機会を持つ、ということである」と加えられている。

中国日報編集部は、中国初の人権宣言50周年記念国際人権シンポジウムを賞賛さえしている。新華社通信は、このシンポジウムで中国の異なるコミットメントを示唆した。
「しかし、人権の基準とは、少なくとも、普遍的な意味や、歴史的、文化的、社会構造、経済発展における著しい相違から発生する様々な目標を、各国が実現するための焦点や方法である」

新華社通信のコメントは、10億2千万人の人民の衣食住を確保することを最優先としてきた中国の長期にわたる姿勢を、繰り返し強調した。
「他のいかなるアプローチも、人権というものを多大に誇張するものになるだろう」
北京での2日に及ぶ会議は、イギリス、キューバ、フランス、ロシア、米国を含む27カ国の政府代表や学識経験者が一同に会した。
中国は、政府高官や人民代表が出席した。ある民主主義運動リーダーは、政府関係者以外の発言が禁止されたとして、「人を欺く」会議であると発言している。

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