チベット―その名の起源

「チベット政治史」(亜細亜大学アジア研究所)より抜粋

古代チベットの学者たちの書いたものによると、チベットを意味するBod プゥーという名の起源はボン教が出現するはるか以前のPugyalに由来するという。またBodプゥーなる名は仏教が七世紀に導入される以前のチベットの古代宗教ボン教のボンに由来すると主張するものもいる。また別の学者の一派は、インド人指揮官ルーパティ(Rupati)がパンダヴァ(Pandava)との戦いに巻き込まれた後、この国に逃れてきたことから、Bod(チベット語の口語で逃亡するという意味がある)と名づけられたと主張している。Bodという名にはなんら特別な意味はなく、単に識別のため用いられたにすぎないと述べるものもいる。インドとチベットの国境地帯に住む者たちは、チベットを「ボーティア」と呼んでいる。このボーティアはチベットのサンスクリット名ボータ(Bhota)に由来する。

現在世界で呼びならわされているチベット(Tibet)なる名は、モンゴル語のThubet、中国語の吐蕃、タイ語のThibet、アラビア語のTubbatに由来する。これらの名称は古代の文書に見いだすことができる。多くの詩編の中でチベットは〝カワ・チェン〞もしくは〝カンジョン〞すなわち「雪の国」、〝シルデンジョン〞すなわち「寒冷の地」と表現されている。

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