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中国の新しい遺伝子プロジェクト ― チベットで大規模な監視のもくろみ

2018年4月24日

現在の中国は、世界中でも有数の検閲国家である。社会的、政治的に不安定である中国では、あらゆる活動が監視されている。2015年10月5日、国営ウェブサイト人民日報は、『北京警察は、北京市内のいたる場所をビデオ監視システムで監視している』と誇らしげに発表した。監視システムは、チベットではさらに活発に作動している。チベット全土でも首都のラサでは特に、武装警察、監視カメラ、私服警官など、監視体制が強化されている。

近年では、中国は監視をさらに厳格化する目的で、新しいプロジェクトを立ち上げた。チベット高原から人間の遺伝子のデータを収集するというものだ。報告書によると、このプロジェクトはチベット高原の住民の保護、管理、研究と、各種の高地特有の疾病の予防と治療を目的とするもので、青海省西寧市のデータベースとラサのデータベース収集を2020年までに完了する計画である。しかし、このプロジェクトは中国にとって新しいものではない。

2017年5月15日、ヒューマンライツ・ウォッチの報告によると、2016年9月に新疆地域の警察局がDNAシーケンサー12台、ポリメラーゼ連鎖反応器30台、遺伝子タイピングキット1,000個(総額およそ1,200万米ドル)の入札を二度呼びかけたことが明らかになった。これらハイテク器具を使用すると、一日で何千ものDNAサンプルの解析が可能である。ベルギーのルヴェン大学の生命情報科学教授でゲノム解析とDNA鑑定を専門とする計算生物学者のイーブ・モロー教授は、ニューズウィークに「この器材を最大限に稼働させれば一日に1万件のDNA解析が可能である」と述べている。

2017年12月13日に発表されたヒューマンライツ・ウォッチの別の報告によると、中国当局は同地域の12歳から65歳までの全住民のDNAサンプル、指紋、虹彩スキャン、血液型のデータ収集を開始した。そのため、国民健康プログラムの名の下に、2017年12月28日の時点で新疆当局が新疆で約1,900万人の住民からサンプルを収集したとわかっても、何も驚くことではない。

カリフォルニア大学バークレー校情報科学研究科助教授シャオ・キャン氏は、ウォールストリート・ジャーナルに「DNA鑑定とリアルタイム監視ツール、例えばオンラインの顔認識ソフトウェアと監視カメラを使えば、中国共産党は『デジタル完全監視国家』を開発できるだろう」と語った。

つい最近、コンサート会場に集まった6万人の中から顔認識技術を利用して指名手配中の経済的犯罪の容疑者を特定したことがニュースになった。シャオ・キャン教授の予想は、中国ですでに実現している。そしてチベットでも起ころうとしているのだ。

ウォールストリート・ジャーナルが中国全土の警察署から集めた文書の分析によると、中国当局は現在のDNAデータ収集率を2倍に拡大し、2020年までに1億人分を採取する計画だ。そのため、チベット高原でのプロジェクトは、中国の国家全土にわたるDNAデータ解析の目的のひとつとして、チベット人の行動を管理し、その自由をさらに制限しようとするものとみられている。新疆ウイグル自治区現区委書記の陳全国は、2011年8月から2016年8月の期間、チベット自治区の党書記も務めたが、記事の執筆者は陳全国が前述のプロジェクトの計画、遂行に個人的に関与しているはずであると考えている。また同執筆者は、新疆で使用されたDNA鑑定機器はチベットでもチベット人のDNAサンプルの解析に利用されていると推測する。DNAのデータベースと顔認証技術は、中国共産党がチベット社会安定への脅威とみるチベット人の居場所の特定に、非常に効果的に活用できるだろう。

しかし、アメリカでは法的なDNAサンプルの採取は逮捕者に限られている。州によっては重罪犯として判決を受けた者や、警察が法廷の許可を得た場合、本人の同意を得た場合、チューインガムなど廃棄されたものから採取する場合に限られる。逮捕者や有罪判決を受けた者から採取されたDNAは連邦捜査局管理下の全米ネットワークで管理され、現在は有罪判決者1,300万人分と、逮捕者300万人分が保管されている。

報告書の執筆者は、将来、中国は、国内の少数民族居住地域を訪れる、インドや欧諸国から訪れるチベット人を含むすべての外国人旅行者、外国人観光客のDNAサンプルを解析するのではないかと見ている。

(翻訳:植林秀美)

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