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チベット民族蜂起58周年記念日(3月10日)におけるチベット亡命政権の表明

2017年3月10日

3月10日はチベット民族の歴史のなかでも非常に重要な意味を持つ日である。中国共産党が武力によりチベットを占拠し、その非道な顔をあらわにしたのは1959年のこの日のことだ。チベット人への中国の激しい抑圧は、想像を絶するものだった。そればかりか中国軍の企てた計画は、ダライ・ラマ法王の生命をも脅かした。その結果、チベットの3地域すべてからチベット人民が自発的に首都のラサに結集した。チベット亡命政権は、命を落とした愛国心に満ち溢れた男女の英雄たちを忘れないために、チベット殉死者の日に定めている。この重要な日に、何よりもまず、祖国を愛する思いから、チベットの宗教的伝統や国、人民を守るために、自らの尊い命を犠牲にした英雄たちの精神と行動に感謝の念を表明する。また、この日に、今でも中国共産党の支配下で拷問などあらゆる抑圧を受け続けるチベット本土のチベット人との連帯を表明する。さらに、チベット本土のチベット人が、現在の悲劇的な困難から解放され、世界中の他の国々に暮らす人々と同様の自由と人権を享受できる状況が訪れることを願い、尊い三宝の大洋に厳粛な祈りを捧げる。

チベットと中国は、地理や民族、言語、習慣、伝統など、様々な面から全く別の国であることは明白な事実である。それでもなお、中国共産党は武力を行使してチベットの領土に侵攻し、その領土とすべての資源を侵奪した。それにとどまらず、中国共産党の侵略者たちは、何十万人ものチベット人民を見境なく殺害し、拷問にかけ弾圧した。さらにチベットの宗教や文化の絶滅を試み、自然環境も破壊した。チベット人はこうした抑圧に耐えていたが、ついには平和的抗議活動を行わざるをえない状況になり、そうした活動は現在まで次々と続いている。中国の支配下で育った世代のチベット人もまた、中国から課せられる暴力的な政策への抗議活動を続けている。

2008年に、大規模な平和的抗議活動がチベットの首都のラサからはじまり、チベットの3地方すべてで次々と起こった。これに対して中国は、人民解放軍のほか武装警察も派遣し、武器を使用した非人道的な暴力によるチベット人への弾圧を行った。その結果、男女を問わず、僧侶や尼僧までも含む多くのチベット人たちが命を落とした。特に、中国の植民地政策支配下のチベットでは、チベット人は政治的な権利どころか、基本的人権すらも認められず、こうした暴力的な抑圧政策が続いた。これは中国が掲げた理念とは全く正反対のものであり、チベット人たちは、中国の支配下では将来に期待が持てないと確信するようになった。チベット人たちは平和的抗議活動を活発化せざるを得なくなったのだ。そして、2009年から2016年12月8日までの間に、愛国心と勇気にあふれるチベット人が中国の支配に対する焼身抗議を行うという事件が145件にものぼった。講義者たちが訴えたのは主に、ダライ・ラマ法王のチベットご帰還を求めるものと、チベット人に自由と人権を求める2点だった。焼身抗議者のなかで、125人のチベット人は死亡が伝えられたが、20人については現在まで生死が明らかにされていない。

チベット人は現在でも、チベットの領土の正当な所有者でありながら、政治的権利のほか、信教の自由、言語、文化、自然環境保護などの権利を剥奪されており、自らの権利の尊重を求めて平和的抗議活動を続けている。だが、そうした罪のないチベット人が虚偽の罪で逮捕され、武力により拘束され、残忍な迫害や拷問を受け、処刑や禁固刑などを科せられている。こうした状況に終わりは見えない。この例として、現在も未解決のチベット人ビジネスマンのタシ・ワンチュク氏の件が思い出される。少数民族の言語の保護の保証が必要であると謳う中華人民共和国憲法の前文に従って、ワンチュク氏はチベット人のためにチベット語の教育を、北京語と同じ尊重するよう嘆願した。しかし中国政府はワンチュク氏に虚偽の罪で訴え、禁固刑を科した。罪のないチベット人が自らの権利の尊重を求めれば中国がいかに残忍な対応を行うか、明白な例である。

中国の政策は暴力的であり、政治犯として拘束されたチベット人たちは不自然な死を遂げるものが多い。そして、たとえ生きて釈放されたとしても、刑務所内で長年にわたって受けた虐待が原因で重い慢性的な疾患に苦しみ、命を落とすことが多いのだ。まもなく出版される「再び万死を免れる(仮)」と題された書籍の中で、政治犯のジグメ・ギャツオ氏は次のように記している。「もし私の決意や意志、民族意識や忠誠心、希望や力などが弱まることがあったとしたら、中国政府の望みは完全に満たされるでしょう。いかなる脅迫や誘惑、偽りや不実な手を使って私たちを抑圧する道具や戦略を中国政府が用いたとしても、私の誓いが揺らぐことはありません」同著の中でギャツオ氏は、中国政府による虚偽の誘惑や不実な手法を暴いた。

近年には、チベット人は宗教の自由が損なわれ、弾圧を受けてきた。2017年1月に、世界中で平和の王と呼ばれるダライ・ラマ法王が、仏教の最高の聖地であるインドのブッダガヤでカーラチャクラ灌頂授与会を行われたとき、中国政府はこれに参加しようとした大勢のチベット人に対してパスポートの発行を拒否した。すでにパスポートを取得しているチベット人に対しては、カーラチャクラ灌頂授与会までに自宅に戻らなければ、家族やパスポート発行の保証人は土地家屋が没収されるという厳しい警告を受けた。チベット人信者たちがうけた困難と苦痛はいかばかりのものだっただろうか。

中国政府によるダライ・ラマ法王の活動に対する反応や、チベット亡命政権に対する攻撃の現状の強硬姿勢には、何ら変化はない。それどころか、中国政府の政策は、年々厳しくなる一方である。チベット問題が中道のアプローチによって解決されることが、ダライ・ラマ法王の切なる願いであり、チベット亡命政権の一貫した姿勢である。中国とチベットの対話を再開する働きかけを行っていることは世界中に明確に知られているが、中国側から全く反応が得られていない。

ダライ・ラマ法王の活動は飛躍的な発展を続けている。チベット本土のチベット人民の勇気と不屈の精神は揺らぐことを知らない。加えてチベット亡命政権や亡命チベット人たちの努力により、チベット人の正義を求めた戦いへの支持者は年々大きく増加している。昨年は、ダライ・ラマ法王は欧州議会のマーティン・シュルツ議長やチェコ共和国の文化大臣、スロバキアのアンドレイ・キスカ大統領と面会を果たされた。また、インドの首都ニューデリーでは、プラナブ・ムカルジー大統領に面会したほか、インド大統領官邸敷地内にあるラシュトゥラパティ・バワン文化センターで行われた子どもたちのためのノーベル賞受賞者と指導者たちのサミットにともに出席された。

2017年2月には、レックス・ティラーソン米国務長官が、アメリカの新政権はチベット支援政策を継続するだけでなく、中国政府とダライ・ラマ法王の対話を実現させるよう尽力すると明言した。こうした積極的な発展の流れから、ダライ・ラマ法王の活動を世界に発信され、チベット問題への関心と強い支持を広めている。

同様に、ストラスブールならびにブリュッセルの欧州議会、フランス国会、米国国会、ウエストミンスターの英国議会、イタリア国会、ドイツ副大統領、オーストラリア国会議員、インド国会議員らが、スピーチや声明、議会の採択などでチベットの闘いに支持を表明している。さらに、台湾の議会では、チベット超党会派が新しく結成された。日本でも、日本チベット国会議員連盟が結成された。こうした動きはチベット人への支援とその活動がこれまで以上に一層強まることを示すものだ。

国連総会では過去に、3度の採択がなされた。最初は1959年10月、2度目は1961年12月、3度目は1965年12月である。我々は、新任の国連事務総長アントニオ・グテレス氏に、その任期中のチベット問題への支援を求め、中国とチベットの対話を再開し、チベットの宗教、文化、言語といった遺産を保護するための取り組みへの支援を訴える。具体的な措置と実施をもってこれらの問題への支援を確実にいただくよう求めていく。

さらに、スイス、ジュネーブの国連人権高等弁務官ゼイド・ラアド・ゼイド・アル・フセイン殿下はチベットの人権の不当な扱いに深い関心を示している。

2017年1月、米国ワシントンDCに拠点を置くNGOの人権団体フリーダムハウスは2016年の世界の人権ならびに政治的権利の状況について、年次報告書を発行した。人権状況が悪いとされる18か国の中で、中国は15番目に挙げられた。また、国民や、国民の政治的権利、領土問題については、中国は最下位に挙げられていた。

中国政府がチベットに対する強硬政策を変えない限り、中国政府とチベット人民の関係は悪化するばかりであり、国際社会の中国政府に対する印象も非常に悪くなると予想される。そうなれば当然のこととして、中国政府は国際社会からの尊敬を得ることはできなくなる。中国とチベットの問題が解決するか否かは中国次第である。そのため、この機会に習近平中国国家主席に、ダライ・ラマ法王が提唱された中道のアプローチに基づく対話の再開の必要性を再認識し、チベットに意義のある自治権を与える努力をする検討をするよう求める。

我々の祖国チベットでは、チベット人が政治的権利を享受する自由は与えられていない。それだけでなく、宗教の自由、民族の文化、言語などの自由も奪われている。非常に粗悪な現在の状況は、チベットの歴史上も前例がない。

2017年1月14日、仏教徒にとって最高の聖地であるブッダガヤでの第34回カーラチャクラ灌頂授与会が成功裏に終了した日、ダライ・ラマ法王は白ターラー菩薩の長寿灌頂を授けられた。儀式のなかで法王は、100歳を超えても元気でおられると約束された。チベット本土のチベット人を代表して、チベット人に寛大な心をかけてくださる法王猊下に深い感謝を捧げる。ダライ・ラマ法王が願われることを忠実に実行すべく団結することが、すべてのチベット人の責任である。私たちはいつもこれを忘れてはならない。

チベット人がはじめて亡命先の地に到着してから60年が経過した。この機会に、インド政府とインド国民の方々に深い感謝の意をお伝えしたい。インドは私たちチベット人にとっての第二の祖国であり、政府レベルから民間レベルまで、兄弟のように温かく迎え入れてくださった。またインド以外の亡命先でもチベット人に経済的支援や教育、福祉などの可能な限りのご支援を賜った。

最後に、地上の一切有情、特にチベット本土や亡命中のチベット人を救ってくださるダライ・ラマ法王の命が1万年と続き、すべての望みが実現し、チベット人の正義が一日も早く勝利することを願います。


2017年3月10日
チベット亡命政権

(翻訳:植林秀美)

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