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中国と亡命チベットの革命

(2014年2月26日 CTA

[ハフィントンポスト]

トゥブテン・ サンペル

中国の長い波乱の歴史において、今日のチベット人ほど、中国にとって厄介な存在となっている辺境民族はいないだろう。とはいっても、散発的に起きる暴力事件で荒れている隣の新疆や東トゥルケスタンとは異なり、チベットは中国にとっての軍事的脅威となっているわけではない。またダライ・ラマ法王も中央チベット政権も、将来的に和解が結ばれたとしても、中国のチベットに対する主権に対して疑問を呈しているわけでもない。

にもかかわらず、チベットは中国にとって非常に厄介な問題なのである。その問題とは、チベット人が中国に対して行っていることではなく、チベット人同士の間で行われていることによってもたらされるのである。

2009年以来、ダライ・ラマ法王の祖国帰還とチベットの自由を求めて焼身抗議をしたチベット人の若者は127人にのぼる。こうした行動の功罪を巡ってはさまざまな議論がなされているにもかかわらず、中国当局はとまどいを隠せないでいる。こうしたチベット人の行動は、正義と平等の統一国家という理想のために、個人そして集団で人民が己の身を犠牲にした中国自身の過去の革命を想起させ、また、チベット人の確固たる決意の炎によって、チベットは物理的には中国に支配されているものの、その心や精神は決して支配されていないという事実が示唆されているのである。

ほかの社会では、そのような前例のない抗議行動が起きれば、表明された不満の原因を軽減するために、苦渋のうちに反省を重ね、誠実な対応がなされるだろう。チベットにおいては、焼身自殺するような抗議者、もしくは抗議者の家族や同郷の者たちをさらに厳しくとりしまる強権支配、情報統制や全面立ち入り禁止といった対抗手段がとられている。

ほかにも、チベット人たちが行っていることに、非暴力、民主主義、文化革新、市民社会の成長といった、様々な原理を難民たちが亡命政権に取り込んだことがある。注目すべきは、亡命チベット人が亡命社会において文化を再構築し、国際的なコミュニティを目指して文化の価値の普遍性を再解釈するのに成功した、そのスピードにある。

中国には、こうしたチベット人の挑戦を恐れる現実的な理由はない。どれだけ多くのチベット人が焼身抗議をしようと、またチベット難民たちが、どれほど士気の高まるような原理を亡命政権の政治に取り込もうと、中国にとってはなんの危険にもならない。事実、中国指導者たちは、こうしたチベット人の努力を、「山々の王に向かって、一匹のハエが羽をばたつかせているようなもの」とたとえている。

そして彼らはある意味で正しい。チベットは中国の完全なる支配下にある。チベット合併を正当化するために中国政府が用いる法律文書である中共チベット17か条協定が、ラサと北京で調印された1951年以来、チベットは中華人民共和国の一部となっている。17か条協定の合法性についてチベット人は異議を唱えているにもかかわらず、インド政府も含めたあらゆる国が、中国のチベットに対する主権に疑問を呈してはいない。

中国側が有利であるもうひとつの重要な点は、チベットにおける人民解放軍が、難攻不落であり、また全天候用道路、空港、軍の配置や物資の輸送を迅速にする鉄道網の拡大といったネットワークによって強化されている点である。チベットにおける、中国の強固かつ強引な軍隊の存在は、中国の本物の「歩兵」や、人口統計上かつ文化的に、都市部そして労働市場においてのチベット人を圧倒している出稼ぎ労働者たちを惹きつけ続けるこの高地にて、北京が口火を切った国家主導の経済繁栄によって、確固たるものになっている。中国企業は、チベットの莫大かつ多様な、まだ未開発の自然資源を、やりたい放題に開発している。チベットを支配して60年以上の間に、中国の地位は、決して上がっているわけでもないし、より強固になっているわけでもない。

しかし、こうしたすべてがイデオロギー的、精神的真空のなかで行われているのである。中国の、かつての革命への情熱は、辺境の町での人々の態度にとってかわられている。指導してくれる光もなく、道徳的規範もない。このモラルの欠如こそが、今日中国を悩ませる主たる国内問題を引き起こしているのだ。すっかり定着し、ほとんど制度化している汚職問題、ひどくなる不平等、たちの悪い土地の争奪と汚染された河川。習近平国家主席とその側近がやっと今、真剣かつ有効な方法でこうした問題に取り組み始めている。

ヒマラヤの反対側のチベット亡命社会において、独自の静かな革命が起こっている。それは、中国の最近の革命や今日の華々しい経済改革のようなドラマチックなものでは決してない。しかし、チベット亡命政権が異国の地で成し遂げたことは、チベットと中国の未来に大きな影響を与えるだろう。彼らが成し遂げたこととは、チベット文化の刷新と活性化、そしてそれを世界へおし広めたことである。この再生の過程は、亡命地での主要な僧院機関の再建と、亡命コミュニティとチベット仏教を支える文化的精神的支援のネットワークが広がり、成熟していったことによって強化されてきた。文化的刷新は、チベットの政治的指導者の新しい世代の才能と創造性を刺激する民主主義的な政治環境のなかで成し遂げられている。

その結果、活気とまとまりがあり、かつ生産的な、そして継続的に刷新され、活性化されるコミュニティが、インドの活力ある自由のなかで生み出されたのである。ようするに、ダライ・ラマ法王は、その絶え間ない努力によって、チベット人民の政治的闘争を、存続、繁栄するための包括的な市民の権利へと変容させたのである。その過程において、ダライ・ラマ法王は、チベットのために、世界的規模の強力な文化と精神的後援者を生み出した。ダライ・ラマ法王を拒絶することによって、中国はチベット人を拒絶しただけではなく、様々な要素から成る活性化された文明とそれにともなう友好も拒絶したのである。

(翻訳:M.M.)

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