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チベット民族平和蜂起55周年記念日における
ロブサン・センゲ主席(シキョン)の声明

(2014年3月10日 CTA

Sikyong Dr. Lobsang Sangay addressing the 55th anniversary of the Tibetan National
Uprising Day in Dharamsala, India, on 10 March 2014/DIIR Photo/Tenzin Phende

55年前の今日、何千ものチベット人が、ダライ・ラマ法王をお守りし、中国共産党軍の占領に抗議するために、チベットの首都ラサに自然発生的に結集しました。その7日後、ダライ・ラマ法王はラサを脱出され、インドに亡命されました。法王を追って、8万人のチベット人が亡命しました。

今年の1月、私はインド・アルナチャルプラデシュ州のタワンを訪問しました。ダライ・ラマ法王がインドに入られたときに通られた道をこの目で見て、私は深い感動を覚えました。また、何千ものチベット人の避難先となったボムディラ(Bomdila)やトゥーティン(Tuting)も訪れました。1959年に亡命の道を取らざるを得なかった年配者の多くが祖国に帰る夢を叶えられないまま亡くなっているという苦しい現実から逃れることはできません。同様に、チベット本土の数え切れないほどたくさんのチベット人もまた、家族に再会できないまま、そして自由を得られないまま亡くなっています。それでも大きな慰めは、亡くなった方々の願いや夢がその子どもたちに受け継がれ、育まれ続けていることです。

1950年代の蜂起、カムおよびアムド地方の反乱、1980年代のラサでの抗議デモ、2008年のチベット全土を挙げての蜂起、さらには最近の焼身抗議に至るまで、チベット本土のチベット人が行ってきた反発や決意を示す運動は、チベットのための苦闘の勢いが今後も衰えないことを明らかに示しています。現在、チベットの苦闘を率いているのは、チベット本土でも亡命下でも新世代たちです。チベット本土においてアイデンティティーと自由と統一を求めて声を上げているのは若い世代です。亡命社会でも同様の試みに取り組んでいるのは新世代です。

甘粛省アムド、チャブチャの生徒たちが学校でチベット語による授業を求めたこと、ドリル郡のチベット人が中国国旗を屋根に掲げるのを拒んだこと、メルドグンカル県のギャマ鉱山で人命喪失と環境破壊に対して激しい抗議が行われたことは、我々の耳にも届いています。これらの抗議は、「少数のチベット人を除き、チベット本土のチベット人は幸せに暮らしている」という中国政府のプロパガンダに明らかに異議を唱えるものです。

2009年以降、チベット全土の焼身抗議者数は126人に上ります。この激烈な行為を思いとどまるよう繰り返し呼びかけているにもかかわらず、焼身抗議は続いてきました。2013年12月19日に焼身抗議を行った僧侶のツルティム・ギャツォさんは、遺書に次のように書き残しています。「私の声が聞こえますか? 私が見えますか? この叫びが聞こえますか? ダライ・ラマ法王が祖国に帰還され、パンチェン・ラマが獄中から解放され、600万人のチベット人が幸せになるためには、私は、この尊い身体を焼くしかないのです。」

勇敢なチベット本土のすべての方々に対し、内閣(カシャック)は心から敬意を表します。チベット本土のチベット人の苦しみと抑圧を終わらせてほしいという叫びに、内閣は耳を傾けています。ゆえに内閣は、対話によってできる限り早くチベット問題を平和的に解決するという目標を最優先事項に掲げているのです。また同時に、内閣には、必要に応じてチベットの苦闘を支えていくための長期戦略も必要です。対話によってチベット問題を解決することとチベットの苦闘を支えることは、互いを補い合って完全となります。ゆえに内閣は、この二つに全力で取り組んでいく所存です。

Sikyong Dr. Lobsang Sangay addressing
the 55th anniversary of the Tibetan National
Uprising Day in Dharamsala, India,
on 10 March 2014/DIIR Photo/Tenzin Phende

同胞チベット人の皆さん、我々は2020年にはチベットが中国共産党に侵略されてから70年を迎えることを心に留め置かねばなりません。その頃には、チベットが自由であった頃の記憶を持つ世代のチベット人は著しく減ってしまうでしょう。2020年には、ダライ・ラマ法王は85歳になられ、70年間途切れることなくチベット人を導いてくださっていることになります。次世代のチベット政権はチベット内外において深刻な現実と向き合わねばなりません。チベット本土のチベット人は伝統的なチベット人としての個人的記憶をもはや持たず、亡命チベット人は亡命下の暮らししか知らないという現実です。亡命チベット人は600万人のチベット人のわずか2.5パーセントを占めるに過ぎませんが、その数は西洋諸国とアジア(インド、ネパール、ブータン)で等しくなると思われます。

亡命下の生活には、不確実性と偶発性に左右される不安定な面があります。また占領下の生活は、恒久的な服従への移行という危険をはらんでいます。亡命下での生活と中国の占領下での生活とのギャップを埋めるのは至難の業となるでしょう。我々は、チベットが自由であった頃の記憶に何ひとつ根ざしていない、そのような記憶とはまったく異なるチベットの現実や経験の下で自由への苦闘を前進させることを学んでいかねばなりません。どうすればこれを成し遂げることができるでしょうか?

長期戦略として、我々はチベット社会において、またその考え方や行動において、自らを頼みとする自恃(じじ)の心を確立する必要があります。我々の運動はもう50歳を超えたのですから、目的の達成において他者を頼ってばかりいることはできません。責任を引き受け、リーダーシップを執り、自分の足で立つ時が来たのです。個々の、そして総体的な力を構築していく必要があります。そしてよく考えていく必要があります。

私は、最も効力のある現実的な投資ツールは「教育」だと考えています。チベット人全体の教育水準が高まれば高まるほど、経済や技術、政治システムの自恃の土台も強固になります。我々を支援してくださる世界中の方々は、我々の苦闘の動機が大義であることを理解し、この仏教徒としての遺産を高く評価してくださっています。チベット人は、謙虚、誠実、立ち直る力をチベットの苦闘の基盤として大切にしてきました。目的を達成するには、ここに現代教育を加えなければなりません。伝統的価値と現代教育を結合させることで、我々の苦闘はこれからも活力に満ちた揺るぎないものとなるのです。

Schoolchildren listening to statement
by Sikyong on the 55th anniversary of the Tibetan National
Uprising Day in Dharamshala on 10 March 2014

チベット人の若い世代においては、チベット語とチベットの歴史を学ぶことが非常に重要です。また、これと同じくらい大切なことは、祖国について個々の家で伝えられている話を記録しておくことです。そしてこれからもモモなどチベットの伝統料理を楽しみ、チベットの行事を祝う席で民族服のチュバを着ることは大切ですが、しかしアイデンティティーのルーツを深く考えるならば、チベットから逃れてきたチベット人と深く関わることから学び、それを今後の問題に個々に反映させていかなければなりません。2014年という年を、運動に参加し、学びを深め、パワーをつける年にしましょう。

亡命社会が一致団結し、効果的に力を発揮し続けていくには、核となるものが不可欠です。チベット人にとってそのかけがえのない核が中央チベット政権です。内閣は、中央チベット政権やチベット関連機関においてリーダーとして活躍してくれる献身的な若い世代を求めています。

終わりに、私は、このほどダライ・ラマ法王とオバマ大統領が会談を行われたことを嬉しく思っています。オバマ大統領が中道のアプローチを強く支持してくださっていることにも感謝しています。中道のアプローチにおいて求めているチベットの真なる自治とは、政治的抑圧を基本的人権に、経済的権利疎外を経済的権利付与に、社会的差別を社会的平等に、文化同化を文化促進に、環境破壊を環境保護に置き換えていくことです。我々が中道のアプローチに取り組んでいるのは、チベット本土の苦しみを終わらせるにはこれが最も効果的な方法であるからです。我々の主張がこのように実際的で穏やかなものであることを習近平国家主席率いる中国新政権が心に留め置かれることを、そしてこのアプローチが採用されることを願っています。

内閣は、偉大なるインド国家と親切な国民の皆様に感謝を申し上げます。ダラムサラにおいて政治的権限を引き継いでからというもの、これまでインドがチベットとチベット人をいかに支援してくださったか、そしていかに支援し続けてくださっているかということが、改めてよく分かるようになりました。

また内閣は、世界各国の政府、議会、チベット支援団体、個人的に支援してくださる皆様に心から感謝を申し上げますとともに、これからも我々とともに歩んでいただきますようお願い申し上げます。

中央チベット政権は、2014年をダライ・ラマ14世法王の年とし、将来を見据えた法王の指導力を、そしてチベットと世界に対するご尽力を称える年としたいと考えています。このようなお知らせができることを嬉しく思います。また2014年はダライ・ラマ法王がノーベル平和賞を受賞されてから25周年を記念する年であることも、チベット人と世界中の支援者の皆様にとってのよろこびです。また4月25日には、パンチェン・ラマ11世ゲンドゥン・チョーキ・ニマ師の25歳の誕生日を祝す予定です。

チベット文明の長い歴史において、チベット人は、大きな逆境のなかで何度も立ち上がってきました。こんにち、チベット人のアイデンティティー、団結、尊厳の意識はかつてないほど強まっています。我々が今後も一致団結するならば、そして年配者の豊かな伝統と若い世代の力強い革新力を活かし合っていくならば、中国政府は我々の悲願に取り組まざるを得なくなると私は確信しています。

親愛なるチベット本土の兄弟姉妹の皆さん、我々の旅は長くなるかもしれません。そして問題が山積しているように見えるかもしれません。しかし、必ず成功させます。私はタワンで、ダライ・ラマ法王がチベットからインドへ向かうときに歩まれ、我々の両親や祖父母も歩んだ道をこの目で見ました。遠くには、チベットの偉大な山河が見えました。あなた方と同じように、チベットに帰る道を目にできたことを、2014年の始まりの吉兆として私は捉えています。

最後に、ダライ・ラマ法王のご長命を、そしてチベット問題の速やかな解決を祈念申し上げます。

2014年3月10日
ダラムサラ

(翻訳:小池 美和)

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