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『心を育む』
英国ケンブリッジ大学におけるダライ・ラマ法王ミーティング及び講演会

(2013年4月20日 dalailama.com

4月19日、ダライ・ラマ法王は、英国ケンブリッジ大学で開催されたグローバル・スカラーズ・シンポジウムに招待された。グローバル社会が抱える大きな課題に取り組む若い研究者らと、現代の世界のリーダーたちが交流する機会がそこに設けられた。
セント・ジョンズ・カレッジの学長公舍に滞在されている法王は、今朝一つ目のプログラムに出席されるため、カレッジからケンブリッジ大学神学部の建物に歩いて向かわれた。

His Holiness the Dalai Lama gestures during an interview
with Cathy Newman of Channel 4 News in Cambridge,
England, on April 19, 2013. Photo/Jeremy Russell/OHHDL

法王はまず、チャンネル4ニュースのキャッシー・ニューマンのインタビューを受けられた。話題は米国の銃規制のことからチベット関連のことまで多岐に及んだ。チベット内部で焼身抗議を行った人々の勇気について問われると法王は、焼身抗議が始まった当初から事件に対する悲しみを表明してきたし、その効果についても疑問を投げかけてきた、と答えられた。そして、中国当局が事件の原因究明のために公正な調査を行い、その結果に基づいてとるべき方策をとるしか対策はないのだと繰り返し述べられた。また、中国に関しては次のように語られた。
「昨今、世の中は、開放性、民主主義そして法の支配を重視する傾向にあります。中国が国際社会に更に深く関与したいと願うのなら、彼らもまたその情勢に沿うようにしていかなければなりません。胡錦濤が実現しようとした調和のとれた社会は称賛に値しますが、それは恐れをもってではなく思いやりを基盤にしてこそ成し遂げられるものです。恐れとは調和の対極にあるものです。」
チベットが様々な面で発展を遂げたことは喜ばしいが、自由もまた大切だ、と法王は意見を述べられた。
「私たちは畜生ではありません。畜生ならば食と住が与えられれば満足します。チベット民族は昔ながらの豊かな仏教文化をもっています。それはすばらしいことです。しかし今その存続が大いに危ぶまれているのです。」

His Holiness the Dalai Lama meets with members of the press
in Cambridge, England, on April 19, 2013. Photo/Jeremy Russell/OHHDL

その後グローバル・スカラーズ・シンポジウム主催の記者会見が行われ、報道機関に対してダライ・ラマ法王は次のように述べられた。
「幸福の源は慈悲の心です。と言ってもそれは必ずしも宗教と関連するものではありません。その基盤にあるのは誰もに共通する経験、感覚そして科学的事実であったりするのです。この路線で人類の幸福を実現していくことが私の第一の使命です。私の第二の使命は、慈悲や寛容といった宗教に共通のメッセージに関係するものであり、互いの信仰を尊重することを奨励していくことです。三つ目は、チベット民族の信頼を担う一人のチベット人として、必要とあれば彼らに代わって率直に意見を述べる覚悟でいる、ということです。」
中国人については、13億の人民一人一人が真実を知る権利、そして検閲制度によって現在それが妨げられているという事実を知る権利を有していると述べられた。真実を知れば、物事の善悪は彼ら自身が判断できるようになる。
昼食後、法王は程近いトリニティー・ホール・カレッジで、英国に学ぶ中国人の学生らと面会された。
「兄弟姉妹の皆さま‥‥私の話しはいつもこのように始まります。というのも、私たちは皆社会的生き物で、身体的にも、精神的にもそして感情的にも同じなのだということを、私が私自身の基本的信念の一つにしているからなのです。」
蔓延する物質主義的価値観と、自殺する若者の増加との関連について多くの人が懸念を抱いているが、それについても法王は言及された。職場でも表面的なことにとらわれず率直であれば信頼や友情が育まれ、その結果人生にも幸福がもたらされるだろう。そのためには他の人たちもまた自分らと何ら変わりがないのだということを認識する必要がある。

His Holiness the Dalai Lama speaking to a group of Chinese students
studying in Britain during their meeting in Cambridge, England,
on April 19, 2013. Photo/Jeremy Russell/OHHDL

さらに、法王は20世紀が流血の時代であったことに触れ、今世紀を平和の時代にしようと呼びかけられた。厄介な課題から解放されることはないだろうが、それらをどう解決していくかが問題なのだ。
チベットの現状については次のように意見を述べられた。
「私たちが求めているのは意義のある自治です。「チベット人は『大チベット』を要求している」と言って中国政府が私たちを非難すれば、「私たちは『大チベット』などという表現は使わない」、と私は言い返します。対話を通じてそのような双方の見解の相違を正していかなければなりません。私たちが望んでいるのは、中国憲法に明記された少数民族の権利を、中国政府が保障することなのです。」
学生の一人が、「寝た振りをする人とどのように対話をしようというのですか」と質問したのに対し法王は、政府を相手にするのも一つ、そして人々に働きかけることもまた大切なことだと信じている、と答えられた。中国人は隣人であり、共に生きていかなければならないのだとチベット人にも説いている、と法王は付け加えられた。
「状況がどう変化するか、政府が現実に即した、より包括的な見解を受け入れるようになるか、様子を見ましょう。今のところ、中国政府は国内の検閲制度を維持することで人民を上手く丸め込んでいますが、そのようなごまかしは自滅を招くだけです。」
初めはわずか数名が質問のために挙手しただけであったが、終盤には発言者が後を絶たず、結局時間切れになってしまった。

His Holiness the Dalai Lama speaking to members of the University
of Cambridge at St John's College in Cambridge, England,
on April 19, 2013. Photo/John Thompson/Cambridge

その後セント・ジョンズ・カレッジに戻られた法王は、ケンブリッジ大学の職員らを対象に『心を育む』というテーマで講演を行った。
「兄弟姉妹の皆さま、本日こうして皆さまにお話しできることを光栄に思います。私は遠く離れたチベットの村に生まれ、母の怒る顔を見ることなく育ちました。母は私に溢れんばかりの愛情を注いでくれたのです。私は彼女を通じて初めて他者を思いやることを学び、その経験は後に僧侶の修行を通じて更に強化されることになりました。」
「人は穏やかで幸せな生涯を送りたいと願いますが、現実にそぐわないやり方をしたのではそれは叶いません。利己的になりすぎると、私たちは他者を『彼ら』とか『私たち』といった視点で捉えるようになります。これは区別を生む役に立たない視点です。健康な身体を手に入れるには心が健康でなければならない、と科学者も近頃言っているように、健康を保つには身体衛生だけでなく精神衛生への配慮も必要なのです。」
法王は、古代インドの文献に心の作用に関する膨大な情報が記されていることを指摘された。慈悲の心について瞑想する人たちの脳には測定可能な変化が生じ、健康もまた増進されることを、現代科学は立証しつつある。今日の社会でその慈悲の心を万人に広めるには、世俗倫理のシステムを確立する必要がある。感情地図(Map of Emothions)も有用だ。感情、特に破壊的感情を上手く処理することが心の健康を向上させる鍵になるからだ。
「慈悲の心と内面の強さを育めば自信もつきます。そうすれば信頼や率直さ、そして友情も育っていくでしょう。」
一日の終わりに学長公舍に戻った法王に、セント・ジョンズ・カレッジの聖歌隊がその素晴らしい歌声を披露した。終始真面目な面持ちで歌っていた聖歌隊の少年たちも、法王が歩み寄って握手をし感謝の言葉を述べられると、その口元をほころばせて明るい表情を見せた。

(翻訳:中村高子)

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