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焼身抗議の向こうにあるもの、文化的虐殺?

(2012年6月23日 エミリー・アン・オーウェン(IPS))

北京:「中国政府は『個人主義を排除』するのではなく、宗教・文化・言語の多様性を奨励するべきである。」先週中国青海省でまたおきた焼身抗議のあと、チベットの精神的指導者ダライ・ラマ法王は強調した。

今週初め、ロンドンのウェストミンスター大学で講演したダライ・ラマ法王は、中国政府がインドが「成功」を収めた文化多元主義から学ぶよう、強く勧めた。ダライ・ラマ法王は1959年に故郷を逃れて以来、インドで亡命生活を送っている。
「完全な独立は、論外である」と認める中で、ダライ・ラマ法王は、与党たる中国共産党(CCP)の「時代遅れ」のあり方を嘆いた。そのあり方とは、チベット文化を破壊しているとチベット支持団体らが非難しているものである。

ダライ・ラマ法王の講演は、チベット人遊牧民タムディン・ターの焼身抗議のあとにおこなわれた。タムディンは、先週、中国北西部に位置するハンナンチベット自治区において死亡している。
この遊牧民は、2009年以来焼身抗議をおこなった少なくとも38人目のチベット人であり、死亡に至った29人目である。先月、二人の男性が寺院の外で自らに点着火して以来、焼身抗議はチベット首都のラサに初めて広がった。

昨年、ダライ・ラマ法王は東京での記者会見において、チベットでの「文化的虐殺」につき中国政府を非難し、それに先立つ一連の焼身抗議の波は、中国政府のますます激しさを増すチベット文化・宗教への取締によるものであるとした。

攻撃にさらされる文化

2008年のチベット暴動以来、中国は国内のチベット地区において過酷な取り締まりを躊躇なく行ってきた。それは対寺院政策にもっともよくあらわれている。絶え間ない警察による監視、兵糧攻め、僧侶への強制的愛国教育は、怒りと絶望に火を注いできた。

今年、北京中央政府は100万枚以上の中国共産党四大指導者の肖像写真と五星紅旗をチベット僧院、住宅、学校に配布した。チベットの精神的最高指導者ダライ・ラマの肖像写真は、所持を禁じられた。

しかし、政府の弾圧は、僧院だけで起きているわけではない。インド拠点のチベット人権民主化センターによれば、当局は、チベット言語・文化に基づいて授業を行う、地元のチベット人学校を閉鎖したという。

当該センターによると、1989年創立のカドロック・ジャムツェ・ロクテン学校は、4月2日に強制閉鎖された。この学校は、ガンズィ地方、チベットでいうところのカルゼ、中国南西部の四川地方という、焼身抗議がますます頻発する地域に位置している。教員も2名逮捕されている。

チベット人詩人であり作家のツェリン・ウーセルは、影響力ある自らのブログを通じて焼身抗議を取り上げてきた人物であり、これらの行為はチベット文化を弱体化させるべく意図されたものだと信じている。

「言語はいかなる人種にとっても重要なものである。しかしチベット地域において、中国政府は、チベット語による教育を廃絶するため教育改革を起こしている。」ウーセルはIPSに語った。
「チベット学校においては、授業はチベット語によって教授されることになっているが、実際には北京官話で教授されており、教科書さえも北京官話で書かれている。さらに悪いことに、民間運営学校は徐々に閉鎖されていっている。」
「一方で、作家、NGO職員、歌手を含む現代文化人は、逮捕され拘留されている」ウーセルはさらに加える。「私は、いつかチベット文化が死に絶えるのではないかと心配している」

絶望に燃えて

「だからこの絶望的状況に起因して悲しい事件が起きるのを皆さんは目撃しているのです」ダライ・ラマ法王は2011年の記者会見で語った。「中国本土からチベットを訪れる中国人でさえ、この状況に悲惨な印象を抱いています。なんらかの文化的虐殺が起きているのです。」

北京中央政府は、ダライ・ラマ法王を社会不安を扇動するものと非難し、焼身抗議を「偽装テロ」と言明した。月曜の国営「中国日報」上の署名記事は、「チベット問題」なるものは存在せず、「イギリスがでっちあげた」架空の話だと書いている。
しかし擁護団体であるチベット国際運動(ICT)もまた、中国を「文化的虐殺」について非難している。

今年4月の虐殺防止月間に出版された、「中国の失政60年:チベットの文化的虐殺を議論する」と題する報告書において、ICTは中国当局が国を挙げてチベット文化全体を、CCPにとって合目的的な国家承認版に置き換えようと注力してきた、と述べている。

「チベット情勢は、チベット人への偶発的個別的な人権侵害の問題ではない;チベット文化は、中国共産党がチベットを占領する当初から破壊の標的にされてきたのだ。」ICT代表メリー・べス・マーキーはIPSに語った。

「文化的弾圧は、種々のキャンペーン、規制、法規の実施を通じて制度化されてきた」とマーキーは続ける。「文化的表現が中国という国家の設定する変数に従属するような場合においては、「文化は容認され有用なものとさえされる。そうでない場合においては、その文化は検閲され、強制的同課により片隅に追いやられる。」

ICTはこの報告書を、パンチェン・ラマであるゲドゥン・チョウキ・ニマの誕生日に発表した。この宗教的人物は、チベット仏教においてダライ・ラマに次いで重要であるが、1995年中国当局に捕らえられて以来、消息不明である。
北京中央政府は、以来自らパンンチェン・ラマとして22歳のギェンツェン・ノルブを選出した。彼は中国本土以外での初講演を今年行った。彼が香港に姿を現したことにより、中国自らが国家承認版パンチェン・ラマについて、国際社会からの認知を得ようと努力しているようには見えたが、当ラマは、ダライ・ラマ法王にもチベット亡命政府にも承認されてはいない。

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