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ダライ・ラマ法王、テンプルトン賞を受賞

(2012年5月15日 ロンドン tibet.net

【ロンドン】2012年5月14日、ダライ・ラマ法王の一日は、イギリス国営放送(BBC)のサラ・モンタギュー女史との取材会見から始まった。この模様は、本日と明日の2日間にわたって放送される。法王は会見のなかで、テンプルトン賞受賞の知らせが届いたときの気持ちやこの賞をどのように活かしていくかについて語り合われた。法王の存命中にチベットに自由がもたらされると今も思っているかという質問に、法王は「思っています」と答えられ、その理由として、中国ではすでに大きな変革が見られること、民主主義や思想の自由・個人の自由といった人間的価値観が広がったことは止めようのない変革であることを説明された。法王は、チベットの現実を知っている人は、中国人も含め誰もがきわめて同情的である点を強調された。

中国当局に対して怒りを感じているかという質問には、法王は次のように答えられた。
「いいえ!怒っても無駄です。私が怒ったところで、その怒りは彼らを傷つけませんが、私を苛立たせることになります。ですから私は怒る代わりに、仏教の実践を用います。彼らの怒りや無慈悲を自分自身の内に受け取り、私の慈悲と善意を彼らに与えるイメージを観想するのです」

余談であるが、法王はBBCに対する親愛の情を表明され、BBCは最良の情報源であり、ニュースを聴けない日があると、その日は何かが欠けてしまったように感じると話された。

法王は、車でセント・ポール大聖堂へ移動。到着すると、セント・ポール大聖堂のマイケル・コルコフ司祭の出迎えを受けられた。二人は共に古い階段を歩み、柱廊を通って集会室へと向かわれた。法王は、「こうして歩いていると、ポタラ宮の階段や回廊を思い出します」とおっしゃったが、実に、ポタラ宮もセント・ポール大聖堂も17世紀後半に建てられた建造物である。

集会室では、ジャック・テンプルトン夫妻、息女との短い会談が行われた。テンプルトン博士は法王に、自身の父親でありテンプルトン賞の創設者であるジョン・テンプルトンが生きていたなら今年で100歳になり、本年の授与をとても喜んだだろう、と語った。
法王は、自身の記憶に思いを馳せられ、「私の父は短気でした。初めて私に優しさと寛容を教えてくれた先生は私の母親でした」と語られた。

法王はまた、「穏やかな心の源は、私たち自身の内に、心のあたたかさにあります。そして教育は、より広い視野で、より現実的に状況を視る眼を授けてくれます」と語られた。
テンプルトン博士は感謝の心を大切にしているとして、感謝や慈悲の心をいかにして培うことができるか訊ねた。

法王は、「内面的価値を培うことに感謝しているときには、健康や幸福感にポジティブな影響がもたらされます。一方で怒りは、健康によくありません。人は、感謝の念を培おうとする準備がはるかにできているのではないでしょうか」と語られた。

「ミーティング・ウィズ・ザ・プレス」の司会を務めるジョナサン・ディンブルビー氏が加わると、共に外科医であるテンプルトン夫妻が関心を寄せるチベット医学の話題に移った。
法王は、8世紀にチベットの王が国際的な医学会議を開いたことにより、チベット医学がさまざまな影響を取り入れたことについて説明された。さらに法王は、「チベットの薬の大半は薬草や鉱物から作られ、とてもよく効きます」と加えられた。

ジョナサン・ディンブルビー氏がテンプルトン財団の会長で議長を務めるジャック・テンプルトン博士を紹介すると、「ミーティング・ウィズ・ザ・プレス」が始まった。テンプルトン博士は、この賞を「精神の企業家たち」に授与したいという父親の願いと「私たちが知っていることはわずかに過ぎず、私たちは学ぶことを熱望する」という理念.について語った。
テンプルトン博士は、審査員がダライ・ラマ法王への授与を決定したのは、法王が精神的価値を断固として忠実に支持されていること、そして思いやりと優しさにこそ世界を向上させるパワーがあるとする信念が理由であると説明した。

法王は、真の心の平和は内面から生まれるのだという自身の経験を分かち合うことが自身の務めであること、そしてさまざまな宗教間での調和と敬意を育むこともまた自身の務めであることについて語られた。

そして、「審査委員のみなさまが賞をくださったのは、私のささやかな人類への奉仕を認めてくださったからだと感じています」と述べられた。

『EQこころの知能指数』のベストセラーで知られ、マインド・アンド・ライフ・インスティチュートの創設者でもあるダニエル・ゴールマン氏は、「科学と宗教は双方ともに苦しみの緩和と思いやりの心の促進に寄与できる」とする法王の信念を称えた。

同じくマインド・アンド・ライフ・インスティチュートを導いてきたリチャード・デイヴィッドソン氏は、法王が、思いやりと優しさは誰もが持っている感情のレパートリーであると絶えず指摘され、このような洞察が現代科学に強い影響を与えてきたことを称えた。

2003年のマインド・アンド・ライフ会議の席で、法王は、仏教には破壊的な感情に対処するためのさまざまな方法があることを指摘された。そして科学者に対し、仏教のこの方法を適用できるかどうか実験条件下で研究してみてはどうか——科学的に有用であると証明できれば、他の人たちにも役立ててもらえるのではないか、と提案されたのである。

法王は報道陣のいくつかの質問にも答えられた。続いて、『ハフィントン・ポスト・アンド・スカイニュース』で知られるアリアナ・ハフィントン女史のインタビューを受けられた。
昼食は、テンプルトン財団の賓客とともに召し上がられた。

セント・ポール大聖堂のオクルスで、ダライ・ラマ法王は、デービッド・キャメロン首相とニック・クレッグ副首相との面会を行なわれた。英国のリーダーはそろってチベット本土の状況に対する懸念を表明するとともに中国国内での今後の展開への関心を示した。
法王は両リーダーに対し、短期的な経済的判断に偏向することなく、道義に忠実であり続けるよう助言された。それから間もなくの後、このほど今年末での引退を発表したローワン・ウィリアムズ大主教と面会された。

法王は、テンプルトン賞の授与式が行われるセント・ポール大聖堂の正面階段へ車で移動された。到着すると、チベット人のタシ・ショルパの踊り手たちによる歓迎のなか、ロンドン大主教のリチャード・チャーターズ師とセント・ポール大聖堂のマイケル・コルコフ司祭に出迎えられ、グレイト・ウエスト・ドアーへと向かわれた。一行は行列となって会場の中央を歩んだ。途中、法王は通路の両側で出迎えた新旧の友人に挨拶しながら祭壇へと向かわれた。

マイケル・コルコフ司祭は、1400年以上にわたって人々が集い、共に祈りや懸念、哲学を分かち合ってきた場所であるセント・ポール大聖堂に集った全員に向けて歓迎の言葉を述べた。そして司祭は、ダライ・ラマ法王は平和の人であり、人格者であり、慈悲と寛容の聖なる唱導者であると称えた。

ブライアン・グリフィス卿は集まった人々に向けて、ジョン・テンプルトン卿の楽観主義と寛大な人生について語った。ジャック・テンプルトン博士は冒頭の言葉として、テンプルトン財団を創設した父親のことやテンプルトン賞のこと、そしてこの賞が今年で40年目になることについて語った。

テンプルトン博士は、父は実在の本質について人間がもっと心を開くようになることを願っていたと述べたうえで、テンプルトン賞は、智慧を求め、授けてくれる精神の企業家を男女問わず認定することが目的であると語った。さらにセント・ポール大聖堂に集った全員に対し、この場で授与式を行うことができたことへの謝意を表明するとともに、大聖堂は英国の人々の精神性と力の具現であると語った。博士は、今年、テンプルトン賞の審査員がダライ・ラマ法王への授与を決めたのは、法王の揺るぎない精神的価値観、優しさと思いやりのパワーが理由であると言明した。

法王はテンプルトン賞を受け取られ、次のように語られた。「このように立派なセント・ポール大聖堂において、みなさまの笑顔に囲まれ、とても幸せに思います。今、ここには数百人のみなさまがおられます。人種や国はじつにさまざまですが、それでも基本的にはみな同じ人間です。同じ人間なのですから、争う理由などありません。しかし、同じ人間であることを忘れ、互いの異なる点に目を向けてしまうと、仲たがいが起こりやすくなるものです。

真の幸福の源は、穏やかな心にあります。穏やかな心は、自分への信頼に依存しています。なぜなら、自分への信頼があるならば、その信頼が恐れや不安を小さくしてくれるからです。
私の務めは、世界中の宗教が互いに尊重し合いながら調和を育んでいくこと、環境問題への協力的な取り組みを促進すること、問題や争いを解決する方法として非暴力を用いるよう推進することです。20世紀は大きな発展の時代でしたが、流血の時代でもありました。21世紀は、平和と対話の時代になることが私の願いです。テンプルトン賞をいただいたことは、そのように願う私のささやかな取り組みを認めていただいたということなのだと考えています」

また、賞金について質問されると、法王は次にように答えられた。「150万ドルをセーブ・ザ・チルドレン・ファンドに寄付し、インドの栄養失調の子どもたちの救済に充てたいと考えています。私は長年にわたりセーブ・ザ・チルドレンの活動を称えてきました。チベット人が亡命生活を送り始めた最初の数年間を支援していただいたという個人的経験もあります。

次の時代の子どもたちを、未来を担っていく世代を、大切に育て、きちんと教育を受けさせることができるなら、私たちは本当に世界を変えることができるのではないでしょうか。これは私の願いでもあります」20万ドルは、およそ30年間にわたって科学・宗教間での重要な知識交換や共同研究を推進してきたマインド・アンド・ライフ・インスティチュートに贈られる。残りの75,000ドルは、チベット人の僧院大学での科学教育の支援金として使われる。式典は、ソプラノ歌手ジェシー・ノーマンとセント・ポール合唱団の歌声で高揚感に包まれた。

マイケル・コルクロフ司祭は閉会の祝祷のなかで、すべての人の胸の内に平和を愛する心を燃え立たせることができますように、と祈りを捧げた。

法王は、チベット人の子どもたちに挨拶しながら大聖堂を後にされた。ホテルに戻られると、この日最後の予定であるロバート・フォード氏との面会を行われた。ロバート・フォード氏は、1950年代後半に東チベットでラジオ局を運営していた勇敢なイギリス人である。

明日、法王はロンドンを発たれ、スロベニアのマリボルなどに立ち寄られた後、オーストリアのウィーンに向かわれる。

(翻訳:小池 美和)

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