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新主席大臣就任式における前主席大臣サムドン・リンポチェの演説

(2011年8月8日)

本日、民主的に選ばれた第三代内閣(カロン・ティパ)の就任式を迎えられたことは大変よろこばしいことです。ダライ・ラマ法王をはじめ、民主的に選ばれた亡命チベット指導部、高官の皆様、来賓の皆様、チベット内外のチベット人の皆様に心からの敬意を込めてお祝いを申し上げます。

本日は、このような特別な式が行なわれるに到ったじつに特別な日です。これは真の民主化に向けての極めて大きな一歩であり、チベット史における新たな章の始まりです。また本日は、全チベット人が共有するゴールに向けてチベット人が全力で歩みを進める未来の幕開けでもあります。亡命中のわれわれが採用している民主主義システムは、チベット本土のチベット人のみならず、世界中の人々の模範となるものです。このような民主主義システムは、全チベット人がチベット本土で再会できた暁には、チベット本土のチベット人にとってかけがえのない贈り物となるでしょう。

紀元前2世紀から20世紀中頃まで、チベットはほぼいつの時代も独立したひとつの王国でした。その人口の少なさにもかかわらず、チベットには生活に深く根ざした精神的伝統や文化遺産に彩られた豊饒な文明がありました。当時のチベットは誰もが認めるアジアの強国だったのです。とりわけダライ・ラマ法王5世が1642年にガンデン・ポタン政庁を設立なさってからは、ダライ・ラマ法王の地位を継承されるお方がチベット人の精神的、政治的、両面の指導者としてチベット全土を統治することとなり、それが今日まで続いてまいりました。

ダライ・ラマ法王14世はわずか16歳で政治的最高指導者としての権限をタクダー・リンポチェから引き継がれました。以来60年間、ダライ・ラマ法王は最高指導者としてチベット人を統率してこられたのであり、その期間は歴代のダライ・ラマ法王のなかでも最長です。この60年間はチベットの歴史においても最も厳しい試練の日々でした。しかし、ダライ・ラマ法王はそのカリスマ性と指導力で世界中の人々を魅了され、チベット問題を国際問題の第一線に押し上げてくださいました。

ダライ・ラマ法王は大変若い頃から民主主義システムの導入を強く望んでおられましたが、チベットにおられた時点では、外因的環境がその実現を許しませんでした。そこで亡命生活に入られるとすぐに民主主義システムを導入され、亡命チベット人が継続的に民主主義や民主社会の文化について教示を受けることができるようにしてくださいました。一般市民が政治的にも成熟してきたことから、亡命チベット人憲章を制定され、政治的指導者であるシキョンを一般市民による直接選挙で選ぶプロセスを導入されました。そしてついに完全な民主主義システムが亡命チベット人社会にもたらされることとなったわけです。本日の民主主義政体は、ダライ・ラマ法王がこの30年間掲げてこられた民主化のビジョンとガイダンスによるものです。その民主主義政体が、ついに本日、ダライ・ラマ法王に寄りかからずとも自力で立てるようになりました。これはわれわれひとりひとりにとっても素晴らしい瞬間です。

ダライ・ラマ法王に申し上げます。カシャック(内閣)はチベット史において最も困難な時代に無比の指導力で導いてくださったダライ・ラマ法王に、心の底から感謝の念を捧げます。ダライ・ラマ法王は、歴代13人のダライ・ラマ法王のどなたよりも長くわれわれを導いてくださいました。精神的・政治的最高指導者として成し遂げられた業績は、歴代のダライ・ラマ法王の業績をすべて合わせてもなお余りあります。なかでも民主主義システムを導入され、ご自身の権限を選挙で選ばれたリーダーに委譲され、369年前にダライ・ラマ法王5世が設立されたチベット政庁を民主的に選ばれたリーダーに譲り渡されたことにつきましては、御恩返しのしようもございません。

われわれは、ダライ・ラマ法王が第12代および第13代内閣の施政に絶えず与えてくださった測り知れないご指導に対し深い恩義を感じております。衷心より感謝を申し上げますとともに、ダライ・ラマ法王の願いのすべてを実現するに至らなかったわれわれの力不足をどうかお許しください。

ダライ・ラマ法王、ダライ・ラマ法王はダライ・ラマ法王14世としてチベット内外のチベット人の最高指導者であられます。ゆえにダライ・ラマ法王は、道徳的にも政治的にも法的にもご自身の権力と責任を委譲する権限をお持ちです。ダライ・ラマ法王の政治的最高責任者としての権限と責任の委譲は適切な法手続きを経て履行されました。この委譲が時宜的にも中央チベット政権の法的にも適っていることは疑いの余地がありません。

カシャックはここに強調させていただきます。チベット人を利するべく先見の明を持ってダライ・ラマ法王が採用された民主主義への歩みに対して懐疑的な人たちがわずかながらいますが、このような人たちの言うことを真に受け止めないでください。

本日は、現代教育の学識に欠ける旧世代から現代教育の最高学府の学識を持つ新世代への移行の日です。この移行は、チベット史に金文字で記されるべき特別な出来事であることはもちろん、われわれが共有する未来への新たな歴史の始まりなのです。ゆえに前内閣はロブサン・センゲ新主席大臣に心よりお祝い申し上げますとともに、新主席大臣の統率の下で、チベットの政治、行政、コミュニティが大きく発展していきますようお祈り申し上げます。

ダライ・ラマ法王のビジョンに同調した方針や政策が踏襲されるならば、チベット問題が遅かれ早かれ解決することは間違いありません。しかし踏襲されないとなれば、チベット民族の将来を予測することは困難でしょう。

この場をお借りして、前内閣は、第12代ならびに第13代内閣をご支援くださったチベット内外の皆様に、心からの感謝を表明させていただきます。皆様には、これまで同様、第14代内閣をご支援いただきますようお願い申し上げます。一般市民の皆様のすべての願いを実現するに至らなかったわれわれの力不足を申し訳なく思っております。

最後に、ダライ・ラマ法王のご長命と法王のすべての願いが成就しますようお祈り申し上げます。チベット問題が早急に解決され、チベット本土のチベット人と祖国から遠く離れて暮らすチベット人が再び統一される日が一日も早く来ますようお祈りしております。

ここに、1751年にダライ・ラマ法王7世より賜って以来260年間受け継がれてきたカシャックの印を新主席大臣にお渡しいたします。

前主席大臣サムドン・リンポチェ

2011年8月8日

(翻訳:小池美和)

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