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民主主義に貢献、ダライ・ラマ法王にアメリカ最高の栄誉が贈られる

(2010年2月19日 Tibet.Net
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全米民主主義基金(NED)はチベットの政治的・宗教的指導者ダライ・ラマ法王に対し、その民主主義への貢献を称え民主主義功労勲章を贈った。法王は式典の挨拶でチベット民族の50年にわたる苦境の歴史について語られた。

19日朝、ダライ・ラマ法王はワシントンDC訪問の最後の日程として米国議会図書館を訪れた。ジェームズ・ビリントン米国議会図書館長、カール・ガーシュマンNED代表、およびジュディ・シェルトン同副会長が法王を出迎えた。図書館には膨大なチベットコレクションがあり、1908年6月21日、中国の五台山でダライ・ラマ13世が米国大使で学者のウィリアム・ロックヒルに贈ったタンカも収蔵されている。ダライ・ラマ法王は展示品をしばらくご覧になった後、簡単な式典のために講堂に向かわれた。

初めにビリントン館長が挨拶し、ダライ・ラマ法王の三度目の来館を歓迎した。図書館と図書館のチベットコレクションについての説明もあった。「真の議会民主制度は、知る権利と表現の自由を基盤にしていなければならない。米議会図書館はその信念を象徴するものである」と館長は語った。

1888年から1892年にロックヒルによって収集された蔵書について法王が言及されると、ビリントン館長は次のように説明した。「歴史家によるとダライ・ラマ13世がロックヒルに美術工芸品を贈ったのが、チベットとアメリカの間に初めて交わされた文化的交流だったと考えられています。」さらに館長は、「法王が来館されたことでチベットとの文化的・歴史的交流の遺産の保存にもさらに努力が払われることになるでしょう」と語った。

次に、法王から紹介されたジュディ・シェルトンNED副会長がNEDの活動内容を報告した。NEDはチベット民族の民主活動を20年以上にわたり支援しており、亡命チベット人社会に民主主義の理念と制度を広め、チベット民族と中国人民の間に意義のある交流を増やしていくための活動を展開している。シェルトン氏は、元国務省官吏のウィリアム・タフト、ポーラ・ドブリアンスキー両氏、リチャード・ギアICT会長など、会場内の主立った人物を紹介した。

カール・ガーシュマンNED代表はダライ・ラマ法王の受賞理由を次のように述べた。「本日私たちはダライ・ラマ法王の民主主義への貢献を称えるために集まりました。法王の民主主義への貢献については理解も認識もまだ十分ではありません。チベット民族が抑圧に苦しむ中、法王が指導者としてチベット文化保護のために尽力されていることは周知のことであり、宗教的指導者として、そして、また平和の人としてその栄誉は称えられました。今日この機会に、私たちは民主主義に対する法王の信念と決意に注目したいと思います。私たちが住むこの世界の未来にとって、ダライ・ラマ法王は特別な存在です。法王の民主主義への信念と決意が法王を特別な方にしているのです。」

「ダライ・ラマ法王は民主主義の制度・真価・目的をプロモートし、それを 日常生活に生かすための模範を私たちに示してくださいました。チベット民族と文化を守るために力を尽くされ、その活動は世界平和にも寄与しています。NEDは法王のそれらの業績を称え、ここに慎んで民主主義功労勲章を贈ります」と代表は結んだ。

勲章はカール・ガーシュマン、ジュディ・シェルトン両氏からダライ・ラマ法王に授与された。

法王は受賞の挨拶の中で、「今回の受賞は私が民主主義発展にささやかに寄与したことが認められたものだと考えている」と述べられた。さらに法王は、民主主義の真価を机の上の勉強からではなく経験から学んだことを、いくつかの例を挙げながら語られた。1942年、7歳の法王はルーズベルト大統領から親書とともに贈り物を受け取った。しかし、どの子どももそうであるように、法王は贈り物にすっかり気を取られて重要な親書には見向きもしなかった。その親書をどこへやったのかも忘れてしまった。そして昨日、なんと68年ぶりにその手紙の写しをオバマ大統領から受け取られたというのだ。

また、儀式に出席するのが日課だった法王は、玉座の上から一般の人たちと親しく交流した経験について話された。チベットの宮殿の清掃係と交わした会話からは、社会の中には不公平があり人々が不満を持っていることを学ばれたという。しかし過去のチベットは、中国政府が言うほど欠点や障害だらけの社会ではなかった、とも付け加えられた。

法王が披露されたもう一つのエピソードは1954年に中国訪問を、そして1956年にインド訪問をされた際、両国の議会をご覧になった時のことだ。中国の議会では特定の人物が決定的な発言をし、残りの人は黙るように役人が指示していたのに対し、インドの議会は騒がしくはあったが活気に溢れ、どの議員にも発言権が与えられているように見受けられたという。法王はその意見を、時を同じくして訪印中だった周恩来首相にも伝えたそうである。中国とインドの違いは権威主義社会と開かれた社会の違いだったのではないかと思う、と法王は述べられた。

さらに法王は、1959年にパンディト・ネルー印首相と会談した時の思い出についても語られた。当時、チベット問題を国連に提起する案があり、その件についてネルー首相に意見を求めると、首相は反対意見であった。しかしそれに反して、チベット民族は国連に審議を求める行動を起こしたのだ。その後ネルー首相と再会した際、以前助言を聞き入れなかったことに首相がどう反応するのか法王は少々心配されていたという。しかしネルー首相にはそのことで気を悪くしている様子は微塵も見られなかった。法王はその時、互いに恐れることなく異見を述べられる民主主義の真価に気づかれたという。

1952年、法王はチベットの民主改革に着手するため改革委員会を設置した。委員会は活動を開始したが、同時期中国にも独自の改革計画があり、チベットの動きに中国の反応は冷やかであった。亡命チベット人社会の政治システムの改革が実行できるようになったのは1959年以降だ、と法王は語られた。ダライ・ラマ制度の将来についても、1969年に「その存続はチベット民族がそれを必要とするか否かに委ねられている」と法王ご自身が明示されている。ご自身の役割については、「過去にも言ってきたことだがダライ・ラマ14世はダライ・ラマの中で一番だとも言わないが最悪というわけでもないだろう」とおっしゃった。2001年には直接選挙による新内閣が発足し民主化はさらに進められた。

法王は、式典に参加していた人権擁護会議の代表らに対しても深い感謝の意を表し、「人権は単に個人の問題ではなく社会全体の問題だと考えている」とおっしゃった。個人の人権を保護することは社会の発展を助けることにもつながる。法王は「民主主義の真価を広めていくためのキーは教育」であり、中央チベット政権が亡命先でまず取り組んだのも教育機関を整えることだったと話された。

さらに法王はチベット内部にいるチベット人について、彼らがチベット民族の「本当のボス」だと言われた。チベット仏教文化の保護の重要性についても強調された。仏教には三つの分野、つまり「仏教科学、仏教概念、宗教としての仏教」があり、宗教としての仏教は仏教徒にしか関係がないが、仏教科学と仏教概念は万人の役に立つ、と話された。

挨拶の後、法王は参加者の質問にお答えになられた。民主主義国家のインドと共産主義国家の中国では将来的にどちらが望ましいか、という問いに、「聖人のよう」なマンモハン・シン首相とインド社会の性質について言及し、「インドだ」と答えられた。また別の質問に答えるかたちで、「共産主義から潔く離れよ」という法王のアドバイスに中国共産党指導部は耳を傾けるべきだ、と指摘された。どの政党も永遠に政権を保持することはできない。中国共産党は悪いこともしたが強い国家を作るために多大な貢献もした。だからこそ中国共産党は潔く引退できるのだ、と法王は述べられた。

「人は誰もが思いやりの心を基盤に内なる強さを育てていくことができる。」法王はその可能性を信じているとお話しになり受賞の挨拶を締めくくった。

シェルトン氏は法王の著書『アート・オブ・ハピネス』を引用し、「あなたは私たちに多大な幸福をもたらしてくれました」と法王へ感謝の言葉を述べた。

米議会図書館では、今回の式典の日程に合わせてチベットコレクションの一部が特別に展示された。

多くの報道機関がこの日のイベントの取材にあたった。ボイス・オブ・アメリカのチベット語放送 Kunleng はキャピトル・ヒルから式典の模様を実況で伝えた。議会中継を中心に放送するケーブルテレビチャンネルの C−スパンも授賞式を生中継した。

授賞式を終えた法王はダレス国際空港からワシントンDCを後にし、次の目的地ロサンゼルスに向かわれた。ダライ・ラマ法王特使ロディ・ギャリ氏と米政府プロトコル担当官、そしてインド大使館の代表が法王を見送った。

(翻訳:中村高子)

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