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ダライ・ラマ法王、パリ市名誉市民の称号を受称

(2009年6月8日 チベット亡命政権パリ事務所 )
法王とパリ市長

2009年6月7日午後、ダライ・ラマ法王は、歴史的建造物でもあるパリ市庁舎で開かれた式典において、パリ市名誉市民の称号をベルトラン・ドラニエ(Bertrand Delanoë)市長より授与された。

ダライ・ラマ法王が市庁舎の中庭に車で到着すると、ドラニエ市長は挨拶で迎え、法王を荘厳な中央階段の上へと案内した。ドラニエ市長は、「ダライ・ラマ法王に、自由、人権、尊厳、人・文化間の対話というパリの精神を象徴するパリ市名誉市民の称号を授与させていただけたことを、大変光栄に思う」と述べ、正義と自身のアイデンティティのために闘っているチベットの人々への理解と団結心をあらためて表明した。ドラニエ市長はまた、市長と関わりのある中国人との友誼も同時に続けてくることができたことを加述した。

ダライ・ラマ法王はドラニエ市長に対し、ひとりの人間として、一介の僧侶として、ひとりのチベット人としての3つの責任に一致する称号を授与されたことへの感謝の念を表明した。ダライ・ラマ法王は、「チベットが、この何十年間のなかでもさらに厳しい状況にある現在、このような称号の受称は、チベット人にとって計り知れない励ましとなる」と、パリ市議会の決断を称えた。

ダライ・ラマ法王はまた、ドラニエ市長に対し、中国人との友誼を維持し、絆を深めるよう激励するとともに、正義・人権・対話の原則に則った、断固たる態度を貫くよう求めた。

ドラニエ市長は、「これからはいつでも、お好きなときにパリにいらしてください」とダライ・ラマ法王を招待し、2003年にダライ・ラマ法王に初めて会して以来、中国を二度訪問したことを、誇りを持って語った。

名誉市民の称号は賞状の形式で授与され、賞状には、「ダライ・ラマ14世—テンジン・ギャツォ(Tenzin Gyatso)に、パリ市名誉市民の称号を授与する。2009年6月7日 ベルトラン・ドラニエ(自署)」と記されていた。 

ドラニエ市長は、チベットの伝統である白いスカーフ(カター。ダライ・ラマ法王はカターについて、「カターはインドで生まれた伝統であり、中国で紡がれ、チベット文字が施されている。まさに、文化交流のシンボルである」と説明した)を受け取り、中庭で待つ車に向かうダライ・ラマ法王に連れ添い、見送った。

ダライ・ラマ法王のパリ滞在2日目のこの朝は、チベット人を中心にモンゴル人、ブータン人、ネパール人など約800名のヒマラヤの民からなる群集に向けた演説で始まっていた。ダライ・ラマ法王は非常にフランクに語り、集まったすべての人々に対し、各自の文化・言語・精神的伝統を大切に保持していくよう励ました。チベット人に向けては、「チベット本土では、2008年3月から非常に厳しい状況が続いているが、中国政府との対話が進展する見込みはあまりない」と語った。しかしながら、ダライ・ラマ法王は中国の人々への信頼を失くしたわけではない。そこでチベット人に対し、法王が世界各地を訪問する際に行なっているように、中国人との友情関係や信頼関係を育むための、できるかぎりの努力をするよう求めた。

ダライ・ラマ法王は、「真実が、チベット人の偉大な財産である」としたうえで、「長い目で見れば、真実は、暴力に対して暴力で対抗する以上の力を発揮します。中国人の大部分を占めている普通の人々は、チベットについての真実を知らないだけなのです。したがって、チベット人は自分がチベット文化を携えた大使であるということを忘れず、いま住んでいる国の善良な市民として恥ずかしくない行動に務めるべきです。チベット文化が貴重である理由はいくつもありますが、とりわけ、仏教文献とその学習方法に関する伝統が挙げられます。チベット人は、仏教徒は仏教を盲目的に信じてはならず、さまざまな仏教文献を読み、理解し、分析する努力をしなければならないと考えています。それらの文献のなかでも、特に釈尊の教えが書かれた『チベット大蔵経』はチベット人の文化遺産であり、それは同時に世界中の人々にとっても貴重な資料なのです」と語った。

ダライ・ラマ法王は、「ダライ・ラマ13世の多大な努力にもかかわらず、チベットでは教育が十分に普及するに至らず、それが、チベット人が国を失う要因のひとつとなった」と教育の重要性を強調し、「チベット人は、世界のどこにいようと自身の文化を維持し、支えていかなければならない」と語った。世界が認める傑出したリーダーであるダライ・ラマ法王の言葉とエネルギーと誠意に、聴衆は胸を熱くした。

フランスのメディアは、ダライ・ラマ法王の訪問を大々的に報じた。 多くのテレビ、ラジオ、新聞、インターネットのニュースサイトなどが、ダライ・ラマ法王の活動や講演の模様を伝えた。

ダライ・ラマ法王は今朝、記者団の質問に答えた。このような困難な時期にある現在においても、希望はあるかという質問に対し、ダライ・ラマ法王は、中国政府が法王の提案をたちどころに退けているため、対話の成果はあまり期待できない、とあらためて説明した。

しかし、ダライ・ラマ法王は、中国人に対する信頼を失くしたのではない。ダライ・ラマ法王は、昨日パリで行なったように、あらゆる機会を使って、中国人有識者とチベットについて話し合ってきた。法王の海外訪問で見られた、現地の中国人による法王に対するデモはすでに著しく減少しており、さらには、チベットに関する記事を載せている中国人のウェブサイトが400件ほどあるなかで、それらのすべてが中国政府の政策に対して批判的であり、なかにはチベットの独立を擁護しているものさえあるのである。中国政府は、政策についてのこのような評価を厳粛に受け止め、より現実的なアプローチを取り入れていくべきだろう。チベット人の決意は固い。過酷な弾圧は、その決意や精神をいっそう強固にするだけだ。中国の侵攻を経験した人たちを第一世代とするなら、それから第二世代(80年代)、第三世代(昨年)に渡って、チベット人は動乱の波のなかで不満を表明してきた。チベット人に自由がないかぎり、これが続くことは明らかである。しかし、それでも中国は武力や虚偽によってチベットを支配しようとし続けている。昨年の動乱において明らかであったように、1987年と1988年においてもまた、中国側が自ら動乱を画策し、操作し、激化させたことを裏づける重要な証拠がある。

非暴力のアプローチにチベット人は不満を持っているのではないかという質問に対しては、ダライ・ラマ法王は、「ほぼすべてのチベット人が、問題を解決に向かわせるには、非暴力が唯一の方法であるということに同意している」と答え、チベットの完全独立を求めていない中道路線に否定的であるチベット青年議会でさえも、非暴力への取り組みについては完全に同じ決意を持っている点を指摘した。

後継者について訊ねられると、ダライ・ラマ法王は、昨年ダラムサラで開かれた会議に参加したチベット人の大多数が支持した方法を採ることを説明したうえで、「後継者選びに中国が介入することを避けるため、生前に次のダライ・ラマを認定するマデートゥルク(涅槃に入る前に化身を出す)というこれまでの伝統に則した方法で後継者を選ぶつもりである」と述べ、さらに、「確実に継承していくには、若い世代の、高位の資格を持つ多くの僧侶が重要な役割を担うことになる」と加えた。 

政治的リーダーシップに関しては、民主的な手順がすでに施行されていると説明したうえで、法王自身の現在の身分は半引退のようなものであり、制度としてのダライ・ラマの将来の役割はチベットの民の手に委ねられていると語った。

また、ミャンマーと北朝鮮について質問されると、ダライ・ラマ法王は、「ミャンマー指導部に圧力をかけるための、他のノーベル賞受賞者との会合に参加する用意はあるが、欧州同様、ほとんどのアジア諸国が、すること、しないことを大国中国の意のままに決定する傾向がある現在において、そのような会合を実際に開くことができるかどうかについては疑問である。北朝鮮はミャンマーとは異なる。北朝鮮の全体主義は非常に深く慣行化されており、北朝鮮が抱えている巨大な問題を解決に向かわせるには、中国の意欲的な取り組みなしには不可能だろう」と答えた。

本日の午後、ベルシー競技場で行なわれた、「倫理と社会」と題してのダライ・ラマ法王の講演会には、およそ8000名が押し寄せた。

ダライ・ラマ法王を聴衆に紹介したのは、法王が長年の友人とするロベール・バダンテール(Robert Badinter)氏。バダンテール氏は、フランスの名高い弁護士、作家、政治家、人権問題の第一人者であり、チベット問題の有力な支援者でもある。

ダライ・ラマ法王は、昨年病を患ったこと、その際に非常に早く快復した法王自身の経験について触れ、いかなる厳しい状況に取り組むときにも、思いやりと内面の平和が自身にとっての恩恵となるということを聴衆に確信させた。

法王は、愛と思いやりについて次のように語った。
「愛と思いやりは、健康に深く影響します。実際、愛と思いやりの源は生物学的なレベルにあり、とりわけ母親の愛と思いやりは、健康に深い影響を与えます。感情的・身体的な安定を成人してからの人生において得られるかどうかは、子どものときに母親から受ける世話や愛情によってほぼ決定されます。愛や親愛の情は、人間関係において重要であるだけでなく、多くの身体的機能を支え、とりわけ免疫システムには絶大な影響を与えます。一方で、憎しみや怒り、他者を阻害したり傷つけたりする行為は身体を深く蝕みます。このような考察に基づいて考えますと、倫理とは生物学的な脈絡のなかに見られるものであり、宗教的概念に特異的に付随するものではないということがわかります。事実、世界人口のかなりの割合を占める人々が、ほとんど、あるいはまったく宗教的な関心を持っていません。有神論であろうと非有神論であろうと、“非宗教的倫理”のシステムを作り、信仰心に基づいた倫理を補完していくことが大切です。他者への思いやりや温かい心を持つことから生まれる生物学上の恩恵を認識すること、そして、他者の気持ちや権利も自分と同等なのだと認識することは、そのような非宗教的倫理を築くうえでの強力な基盤となります。」
さらに続けて、
「このようなアプローチは、我々みなが個人レベルで取り入れることができることですし、取り入れるべきなのです。思いやりのある社会が確立されるのを待っているだけでは意味がありません。それよりも、我々ひとりひとりがこのような考えを取り入れることです。まずは自分の心のなかに、それから家庭のなかに取り入れ、池の水面に広がる水輪のように範囲を広げていくのです。そのような貢献は自分にはできない、と、だれひとりとして思うべきではないのです」
と語った。

ダライ・ラマ法王が数々の質問に答え終わると、聴衆は起立して拍手喝采で称え、退場する法王にいつまでも拍手を送った。
ダライ・ラマ法王は明日、インドに帰国する。

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