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チベット関連ニュースが消えた? 中国で強まる情報統制

(2008年3月19日 産経新聞)

中国チベット自治区などで大規模な騒乱が始まった今月中旬以後、中国当局は国内でテレビ、インターネット、電話などを一部遮断するなど、情報封殺に躍起になっている。しかし、その効果は限定的で、厳しい規制をかいくぐり、チベット騒乱の画像や映像がネットなどを介して次第に広まりつつある。情報統制は中国国民の政府への不信を高めただけではなく、むしろ携帯電話による写真や動画が重要な役割を果たしたことにより、外国メディアからの厳しい批判を招いている。

北京にある産経新聞中国総局の衛星テレビには14日ごろから、電波障害が起きるようになった。CNNやNHKなどの外国のチャンネルをつけていると、チベット関連のニュースが始まった途端、画面が消え音声も消える。次のニュースが始まるまでこの状態が続く。こうした現象は中国全土で発生しているという。

ネットでは、チベット騒乱と関連するキーワードが検索不可能となり、米国を本拠地に置く動画投稿サイト「ユーチューブ」も利用できなくなった。チベット自治区ラサへ電話をかけても、寺院などは「回線故障中」との録音が流れ、不通になっているところが多い。

中国当局は騒乱を、「一部の暴徒の仕業」と印象づける情報戦略も始めている。チベット人と思われる若者が放火するなど暴れる映像や、ラサ入りした国営中央テレビの記者による親族を失った漢族被害者へのインタビューなどを繰り返し放映している。

しかし、こうした情報の遮断と操作による効果は、中国ではもはや限定的だ。チベット問題に関心の高い人は携帯電話のショートメッセージで情報を交換し、海外サイトへのアクセス制限を解除する専用ソフトを使うなどして情報収集をしている。

チベット騒乱に関する中国当局の一方的な報道との違いを知った中国人は、自国メディア不信をますます高め、情報収集は外国メディアに頼る傾向が加速化した。「(中国共産党機関紙)人民日報は日付だけが信用できる」と揶揄(やゆ)する知識人もいる。

一方、今回、反中国政府の立場から活発な情報提供を行っている民間活動団体(NGO)「チベット人権民主化センター」(インド・ダラムサラ)はこのほど、中国四川省での抗議デモ中に治安部隊に射殺されたチベット人の遺体だとする写真をネット上で公表した。現地の状況を伝える記事も連日更新されている。

また、「ユーチューブ」などの動画サイトにも、携帯電話のビデオカメラ機能を利用して撮影されたとみられる画質の悪い映像が公開されている。中国国内ではユーチューブに閲覧規制がかけられたが、海外にはもちろん及ばない。
こうした状況を米紙ワシントン・ポストのコラムニスト、アン・アップルバウム氏は「昨年はミャンマーから、そして今年はチベットから、不鮮明で素人くさい画像がインターネットに流れた」と指摘する。アマチュア画像の絶対量はまだまだ小さいものの、「携帯電話は、一部の東アジアにとって、ニュースを伝えるためのもっとも重要な手段となった」と、ネットの影響力を強調した。
 中国当局が情報封鎖のため、外国人のチベット入りを禁止した措置は、外国メディアから厳しく批判されている。17日夜の外務省の会見では、「記者の安全を守るという理由なら、なぜ中央テレビを許可したのか、不公平ではないか」といった抗議が殺到した。国のイメージを守ろうとして中国当局が必死に行っている情報統制は、逆効果となっているようだ。

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