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チベットの精神的指導者のひとり パンチェン・ラマの行方不明

(2005年5月16日 BBC)

■ ダライ・ラマによって選ばれたゲドゥン・チューキ・ニマ

今から10年前、ダライ・ラマがある6才の少年をチベット仏教の精神的指導者のひとりであると定めた。その少年の名は、ゲドゥン・チューキ・ニマ(ニマ少年)。ニマ少年は、チベット仏教において文化的にも宗教的にもダライ・ラマに次ぐ重要人物であるパンチェン・ラマの転生者として認定されたのである。(→写真右)

しかし、中国はその認定に賛同せず、そのわずか数日後、少年を逮捕した。そして、ギェルツェン・ノルブ(ノルブ少年)をパンチェン・ラマの11代目の生まれ変わりとして擁し、ダライ・ラマに対抗した。

■ 『保護』

ニマ少年は中国で自宅軟禁の状態にあるらしい。詳細についてはっきりしない。ダライ・ラマは中国が擁立したパンチェン・ラマを認めることを拒否し、ニマ少年の解放を求めている。

オックスフォード大学の歴史家ツェリン・シャキャは、以下のように述べた
「ニマ少年は事実上、行方不明の状態にある。」

チベットの専門家らが言うには、大部分のチベット人は中国が擁立したパンチェン・ラマを心底拒絶しているとのことだ。チベットのクンブム僧院長で現在米国に亡命中のアギャ・リンポチェは、ダライ・ラマの選択こそチベット人が従うものだと述べた。
「共産主義政府は、彼らのパンチェン・ラマを広めていこうと思っているが、九割のチベット人は中国のパンチェン・ラマを崇めてはいない」

■ 操り人形

チベットの有名な寺院のひとつ、ジョカン寺院の祭壇に掲げられる写真は、中国が擁立したパンチェン・ラマのものではない。ノルブ少年はパンチェン・ラマとして中国政府の支援を受けているが、チベット人は先代のパンチェン・ラマ10世の写真を拝みにやって来る。

人々は(中国政府に対する)恐れが強いため、公然とその理由を説明することができない。しかし、人々はこっそり、誰も中国政府が擁立した少年を崇めてはいないことを認める。多くの人が、ノルブ少年を中国の傀儡と見ている。政府当局は、賢くて、鋭敏で行儀が良いと自分たちが公認したパンチェン・ラマ礼賛にやっきである。中国国営テレビは、謎に包まれた寺院の中へ護衛され入っていくオレンジ色の僧衣を着たノルブ少年の映像を放送した。

■ 将来の懸念

ここ10年の間、ニマ少年の失踪によってチベット仏教社会に生まれた危機感は、大きく影響を与えている。
しかし、ツェリン・シャキャによると、こうした危機感はチベット人社会が常に直面してきたものだという。今、60代であるダライ・ラマが死ぬようなことがあれば、危機感はさらにチベット人社会を揺るがすものになるだろう。なぜなら、伝統的にチベットでは、パンチェン・ラマがダライ・ラマの生まれ変わりを認定するキーパーソンなのである。

「中国政府がさらに先を考えているのだと思う。ダライ・ラマの転生候補者を立てたその時、自分たちのパンチェン・ラマを通じてその候補者を認定させようと目論んでいるのだと思う。」

確かに現実的に大きな犠牲者は出ている。ニマ少年とノルブ少年である。二人とも中国政府のもとで「教育」を受け、ひとり(ノルブ少年)は信者からも反対派からも拒否され、そしてもうひとり(ニマ少年)は中国のチベット管轄の脅威とみなされ、10年以上も前から行方不明になっているのだから。


ゲドゥン・チューキ・ニマ(ニマ少年)

ゲドゥン・チューキ・ニマ
(ニマ少年)


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