チベットサポーターの皆様へ
2003年5月17日のTSNJ【註】のミーティングより
前 ダライ・ラマ法王日本代表部事務所前代表
チョペ・ペルジョル・ツェリン
完全な独立国であったチベットは、中国の武力によって侵略されました。武力弾圧や侵略された民族の中には、暴力には暴力をもって訴える人々もいます。しかしチベットの闘いは、暴力で戦うのではなく、非暴力で平和的に話し合う努力をすることなのです。
ダライ・ラマ法王は、世界の国境などは常に変化しているとおっしゃっています。お互いの尊重と理解によって、欧州連合のように一つになることもあれば、その反対に意見の分裂によって、昔、一つの国だったチェコやスロヴァキアのように二つに分裂したりすることもあります。これは自然の摂理で避けられないものかもしれません。そういう意味でチベット亡命政権も、もし中国政府がチベット民族に平和な環境を提供してくれる用意があれば、中国と一緒になってもいいと考えております。何よりもチベット人は、何千年もの間、築き上げてきたチベット独自の文化の存続を重視しているのです。チベット独自の文化とはチベット仏教文化であり、大乗仏教の教えに基づいた慈悲と思いやりの心であり、チベット人はそれを守ることが大切だと考えております。私たちチベット民族の闘いは、中国の侵略から開放することが目的ではなく、チベット独自の仏教文化の教えを守ることを先決にしています。チベット仏教文化はチベット民族だけでなく、世界の多くの人々、いわんやかつてもそうであったように中国人にも貢献できるものと思います。
現在、世界の多くの指導者たちがチベットの闘いに賛同し支援しています。それは、中国人がいやで彼らの敗北を望んでチベットを支援しているのではありません。チベットの闘いは非暴力主義に基づいた平和的なものだからです。言葉使いは少し荒っぽいようですが、現在中国政府の政策に道徳的観念はほとんど見られません。「金持ちになろう」が中国政府のキャッチフレーズになっているようです。金持ちになるためには何をやってもかまわないくらいです。現在の中国は、経済の面から見ると資本主義の影響を多少受け緩和になっているようですが、政治面では毛沢東の共産党の時代と何ら変わりはありません。毛沢東は鉄砲の力によって権力が勝ち取れると宣伝しました。確かに中国は共産党政権が誕生して以来、階級闘争や武力によって国民を弾圧してきました。中国政府は現在もその姿勢をほとんど変えていません。その反対にダライ・ラマ法王は慈悲と思いやりに基づいて中国政府と接触を試みてきました。つまり一方は暴力を手段に強制しているのに対し、もう一方は慈悲と思いやりに基づいて世界平和に貢献しているのです。まったく双方の姿勢は正反対なのです。以上、チベット人の闘いの本質を簡単に説明いたしました。
次にチベットの現状についてお話したいと思います中国政府が計画的に短い期間の中でチベットを中国化しようとしている問題があります。急ピッチで中国側からチベットまで鉄道路線を敷き、漢民族のチベット移住政策を計画しています。もし鉄道が完成すれば、チベットの土地でチベット民族が少数派になるのは目に見えています。中国政府は、チベット独自の言語、宗教と文化を根底から破壊しようとする反面、チベットにやって来る観光客に「チベット的なるもの」を見せびらかすため、外見では派手に飾りつけをしています。中国政府のこのような政策のもとで、チベットの人々は政治的には活動できませんが、様々な方法でチベット独自の仏教文化を守ろうと必死に努力しています。
チベット問題を解決するため、我々は非暴力と平和に基づいて、今まで国連を中心に訴えてきました。チベットと中国政府の関係が途絶えてしまった1993年以来、去年ついに4名からなるチベット亡命政権代表団が中国政府と再び交渉に入るために北京とチベットを訪問しました。確かに中国政府と対話を進めるには非常に時間がかかるようです。中国の専門家の言うように世代を通じて話さなければならないようです。チベット亡命政権はこれからも中国政府との関係改善に向け努力します。これからご理解とご協力をお願いしたいと思っております。
【註】
TSNJ(チベットサポートネットワークジャパン)
『フリーチベット』に向けてチベットサポートの活動を行っている日本中のグループの相互連絡のための団体。
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