マインド・アンド・ライフ/科学者との対話シリーズ 第14回
原子の中の宇宙についての対話
2007年4月9〜13日 インド・ダラムサラにて Mind & Life Institite ![]()
はじめに
マインド・アンド・ライフ ダイアローグとマインド・アンド・ライフ インスティテュート
マインド・アンド・ライフ ダイアローグは1987年、宗教と科学の対話の可能性を探る試みとして、現代の科学者たちとダライ・ラマの間ではじまった。試みは成功し、その後10年の間にマインド・アンド・ライフ インスティテュート(MLI)が設立され、世界的に有名な科学者やダライ・ラマ法王、その他の瞑想実践者たちの間で、さらに6回の深い対話が行われた。この素晴らしいイベントをより多くの人々と分かち合うため、それぞれの対話の記録は書籍として出版された。
1998年、ダライ・ラマ法王とマインド・アンド・ライフの科学者たちは、マインド・アンド・ライフ ダイアローグを補うため、瞑想とメンタル・トレーニングが脳や行動に及ぼす影響について瞑想実践者と科学者が研究する、共同科学研究プログラムを行う必要があると考えた。この研究は2001年に開始された。
2003年、MLIは「心の探究:心の働きに関する仏教と生物行動科学の対話」と題して、最初の公開マインド・アンド・ライフ ダイアローグを行った。この会議はMITの協賛により、MITのキャンパスで行われ、瞑想実践者と科学者による共同科学研究の必要性と有効性が討議された。会議はこの研究への取り組みをへの支持をはっきりと表明した。
2004年、MLIは瞑想に関する共同研究への科学界での注目の高まりを受け、マインド・アンド・ライフ 夏期研究会を発足させた。これは基礎科学者や臨床科学者、瞑想研究者や実践者、哲学者による毎年一週間の「科学合宿」で、瞑想神経科学や瞑想臨床科学といった、科学の新分野を創り出す触媒となるものである。
2006年MLIは、子供たちの心の明晰さや落ち着き、優しさ、幸福さを育むために、瞑想に基づく訓練をどう開発するかを調査するべく、マインド・アンド・ライフ 教育研究ネットワークを立ち上げ、一連の学際的な研究会議を行い、予備研究をサポートしている。
今日、マインド・アンド・ライフ インスティテュートは、瞑想が脳や行動に与える影響の科学調査という新分野において世界的リーダーとして認知されており、そのデータはあらゆる人々に役立つ効果的ツールとして利用できる。我々は、以下のプログラムをはじめとする総合的方針を持って活動している。
・ ダライ・ラマとのマインド・アンド・ライフ ダイアローグ
・ マインド・アンド・ライフ出版によるMLI ダイアローグの報告
・ マインド・アンド・ライフ 夏期研究会
・ マインド・アンド・ライフ フランシスコ・J・ヴァレラ 研究賞
・ マインド・アンド・ライフ シニア研究員 研究賞
・ マインド・アンド・ライフ 教育研究ネットワーク
・ マインド・アンド・ライフ 電子図書館
・ マインド・アンド・ライフ 国際研究イニシアチブ
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概要

ダライ・ラマ法王とリチャード・デイヴィッドソン
2004年 インド・ダラムサラにて
ダライ・ラマ法王の著書『ダライ・ラマ 科学への旅―原子の中の宇宙』
は、科学的自叙伝であるだけでなく、「科学と精神性の融合」において彼が最も重要と考えている問題について強調している。これらの問題や疑問が、今回の第14回マインド・アンド・ライフ会議の焦点となり、科学者たちはそれを元に、ダライ・ラマ法王や他の仏教学者、実践者と深い対話を行う。
著書の中でダライ・ラマ法王は、科学によって引き起こされた倫理的、哲学的、さらには形而上学的問題を示している。それらは特定的であると同時に一般的という性質を持っている。例えば彼は、科学だけが唯一の信頼できる知識の拠り所なのかと問いかけ、科学的知識の限界や還元主義とその影響について問題提起している。また、科学の各分野はいや応なく倫理問題を引き起こしており、それに取り組まなくてはならない。分子生物学と遺伝学の進歩が生んだバイオテクノロジー産業は、日々深刻な倫理的ジレンマに直面している。同様の問題は原子物理学と認知科学の領域でも起こっている。我々が取り組んでいく基礎科学の問題に加え、より大きな哲学的、倫理的、精神的問題が生じているのである。
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参加者
※参加者のプロフィールを読むには、氏名をクリックしてください。
- テンジン・ギャツォ、ダライ・ラマ14世
- リチャード・J・デイヴィッドソン博士
ウィスコンシン大学マディソン校ヴァイラス研究教授、ウィリアム・ジェームス心理学・精神医学教授 - ジョン・ダン博士
エモリー大学宗教学科助教授。瞑想エンサイクロペディア共同ディレクター - ポール・エックマン博士
カリフォルニア大学サンフランシスコ校精神医学科心理学名誉教授、顧問 - アダム・エングル法務博士、MBA
マインド・アンド・ライフ インスティテュートCEO・会長、マインド・アンド・ライフ会議総合コーディネーター - マーサ・ファラー博士
ペンシルバニア大学ウォルター・H・アネンバーグ自然科学教授、認知神経科学センター長 - ジョージ・グリーンスタイン博士
アマースト大学シドニー・ディロン天文学教授 - マチウ・リカール博士
作家、カトマンドゥ シェチェン僧院僧侶、1989年よりダライ・ラマ法王フランス語通訳 - ベネット・M・シャピロ医学博士
元メルク研究所副所長 - ウルフ・シンガー医学博士
フランクフルト マックス・プランク脳研究所長、フランクフルト高等研究所(FIAS)創立者 - エヴァン・トンプソン博士
トロント大学 哲学教授 - アントン・ツァイリンガー博士
ウィーン大学物理学科教授、オーストリア科学アカデミー量子光学・量子情報研究所教授 - アーサー・ザイエンス博士
アマースト大学物理学・学際研究アンドリュー・メロン教授
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通訳
- ゲシェー・トゥプテン・ジンパ博士
モントリオール インスティテュート・オブ・チベタン・クラシックス The Classics of Tibet Series 代表・編集長、モントリオールマクグリル大学宗教研究非常勤講師 - ゲシェー・ドルジェ・ダムドゥル
インド ダラムサラ ダライ・ラマ付き英語通訳
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対話
第1日目:2007年4月9日
PartI:仏教と科学のコラボレーションと科学的知識の限界:弱点を明らかにする
■ 対話リーダー:エヴァン・トンプソン(→略歴)
物理学、宇宙論、神経科学の分野で科学が驚異的な進歩を遂げる一方で、並行的に仏教的観点から提示された疑問が、我々の科学的理解におけるいくつもの大きなずれを明らかにした。科学界の一部の人々は、これらの問題の多くは、我々の理解を根本的に制限するようなものではなく、むしろ科学のある分野における現在の進歩状況を示すものと見なしている。一方仏教では、心の表現には脳が必要十分であるといった推論など、いくつかは根本的問題であるとして注目している。ダライ・ラマ法王は、人間の本質の重要な側面は科学では絶対に理解できないものである、と考えているのだろうか?謎は謎のままなのだろうか?
哲学者エヴァン・トンプソンはこの会議で、議論の枠組みとなるいくつかの重要な問題を検討し、仏教的観点から従来の科学的説明の弱点を明らかにする。
Part II:量子物理学と仏教における原子論、空、相互依存と観察者の役割
■ 対話リーダー:アントン・ツァイリンガー(→略歴)、アーサー・ザイエンス(→略歴)
量子物理学と仏教はともに、因果関係の本質や物体の本質、空の本質や相互関連の重要性について問題を提起してきた。仏教と同様、物理学は常識的な世界観とは対照的に、非常に繊細で複雑な存在論と認識論を持っている。ダライ・ラマ法王は、著書の第3章においてこれらのテーマを取り上げ、大乗仏教の中観派と関連づけている。たとえば、仏教(縁起思想)と量子論において観察者に与えられる重要性について説き、倫理と存在論における相互関連の重要性について検討している。これらの2つの伝統には、どのような共通点があり、どのような違いがあるのか。そして、これらの考え方は人生においてどんな意味があるのだろうか?
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第2日目:2007年4月10日
空間と時間の宇宙論と相対性理論
■ 対話リーダー:ジョージ・グリーンスタイン(→略歴)、アーサー・ザイエンス(→略歴)
ダライ・ラマ法王の宇宙論についての記述から、二つの関連するテーマが生まれてくる。
1)アインシュタインの相対性理論と仏教哲学の両方から発展した時間と空間の相対性理論。
たとえばダライ・ラマ法王は、時間の相対的な性質についての経量部派とナーガルジュナの議論や、カーラチャクラにおける空から物質的存在を生む「空なる粒子」の概念に言及している。後者の観点は、現代の量子的真空のゆらぎやインフレーション理論の考えと呼応しており、さらに議論する価値がある。
2)宇宙には始まりがないとする、ビッグバン理論と仏教の考え方。
現代の宇宙論と同様に、仏教では進化宇宙論を説いており、論理的根拠は別として、始まりも終わりもないものとしている。さらに、発展のさまざまな段階に、「10億」の宇宙があるという。仏教的宇宙論の1つの特徴は、感覚ある生き物の中心的場所であり、その進化(カルマ)は世界システムの発展によって支えられているという点である。ある意味、その観点は「人間中心的」で、人類の発展を中心としている。
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第3日目:2007年4月11日
進化、利他、人間の感情の基本的性質
■ 対話リーダー:ベン・シャピロ(→略歴)、ポール・エックマン(→略歴)、リチャード・デイヴィッドソン(→略歴)、マチウ・リカール (→略歴)
進化は、ランダムな突然変異と自然淘汰によって起きたのだろうか? 種の適応をどう理解したらよいのだろうか?基本的な進化の原則によって、認識と感情という人間の基本的な能力の根源を理解することができるだろうか?感情の基本的性質は肯定的で、慈悲深く、利他的なのだろうか?感情の進化論はどうやって、これらの道徳的感情という資質を説明するのだろうか?ある特定の感情(例:怒り)はどこまで破壊的あるいは建設的になれるのか?そもそも、感情は建設的になったり破壊的になったりするのだろうか?感情の全機能の中で、感情の主観的経験にはどのような役割があるのだろうか?仏教では、経験の役割を非常に重視しているが、現代の心理学や神経生物学による感情の説明では、経験的要素には重きをおいていない。仏教では、苦しみの重要性を強調している。苦しみには、目的論的重要性があるだろうか?神経生物学との類似点はあるだろうか?仏教においては、感情的資質を向上させるための方法として、心の訓練を重視している。このような訓練の科学的基礎となるものはなんであろうか。そして、これらの訓練は感情的特性の安定性と可塑性に対して何を意味するのだろうか?
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第4日目: 2007年4月12日
意識
■ 対話リーダー:ウルフ・シンガー(→略歴)、リチャード・デイヴィッドソン(→略歴)、エヴァン・トンプソン(→略歴)
仏教の心理学や哲学では、主観的経験が第一であることを強く主張しており、この観点から、仏教では、この世界には3つの根本的に異なる側面があると主張してきた。1)物理的なものによってつくられる物質。2)主観的経験によってつくられる心。3)精神の働きによってつくられる抽象的複合体。西洋科学では意識と主観的体験の研究を、脳の機能という見地から行ってきた。仏教ではこの還元主義的命題の妥当性を疑問視し、その説明には大きな飛躍があることを指摘している。法王も疑問を投げかけているように、意識の発生をどう説明したらよいのだろうか?感覚を持つものから持たないものへの移行をどう見極めたらよいのだろうか?
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第5日目: 2007年4月13日
仏教と科学のコラボレーション、心と脳の関係、脳神経倫理
■ 対話リーダー:マーサ・ファラー(→略歴)
苦しみを除き慈悲を育むことの中心的役割を強調する仏教的アプローチは、知識の獲得に対し強い倫理的態度を持っている。仏教徒は、さらなる知識を得ることの目的はなにかと問う。神経科学において言えば、脳機能への理解が進むことで、知覚や苦しみ、慈悲、道徳の機能の性質を明らかにできるのだろうか?仏教的アプローチと多くの目標を共有する世俗的倫理を作っていく中で、このような新たな知識をより広く活用するにはどうしたらよいのだろうか?
対話の哲学的、歴史的側面
■ エヴァン・トンプソン(→略歴)
私たちは会議を通して、ひそかに危機に瀕している哲学的問題を知り、この対話という歴史的な瞬間をも知ることになる。哲学的問題は、認識論的、存在論的問題から倫理的、形而上学的問題にまでわたる。
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参加者略歴
テンジン・ギャツォ、ダライ・ラマ14世 Tenzin Gyatso, the XIVth Dalai
チベット仏教の指導者であり、チベット亡命政権の長であり、世界中で尊敬されている精神的指導者である。1935年7月6日、チベット北東のタクツェルという小さな村で農民の家庭に生まれた。2歳の時、チベットの伝統に従い、前任者であるダライ・ラマ13世の生まれ変わりとして認められた。ダライ・ラマ法王は人間のために働くため、生まれ変わることを選んだ慈悲の仏の顕現である。1989年にノーベル平和賞を受賞、人類の紛争に対する慈悲に満ちた平和的解決の代弁者として世界的に尊敬されている。世界的責任や愛、慈悲、優しさについて語りながら、広く旅をしている。その個人的な科学への強い関心についてはあまり知られていないが、もし僧侶になっていなければエンジニアになりたかったと語っている。ラサでの若き日、ポタラ宮で時計や車など、壊れた機械を直すのは彼の役目であった。科学の最新動向を学ぶことに積極的な関心を持ち、発見の人道的影響に対する見解と、高度な直感的方法論の両方を身につけた。(▲ Back)
リチャード・J・デイヴィッドソン博士 Richard J. Davidson, Ph.D.
ウィスコンシン大学マディソン校 感情神経科学研究所およびW・M・ケック イメージと行動の脳機能研究所所長。ニューヨーク大学とハーバード大学で学び、心理学の学士号と博士号を取得。その研究キャリアを通じて、脳と感情の関係に焦点を当てる。現在、心理学と精神医学において、ウィスコンシン大学ウィリアム・ジェームズ教授、ヴァイラス研究教授を務める 。『Visions of Compassion: Western Scientists and Tibetan Buddhists Examine Human Nature』や『The Handbook of Affective Science』を含む13冊の共著および編集を行い、250以上の章や専門誌の記事を執筆。その研究は多数の賞を受賞し、国立精神衛生研究所から研究科学者賞、アメリカ心理学協会から優秀科学貢献賞を受け、アメリカ芸術科学アカデミーに選出されている。国立精神衛生研究所 科学カウンセラー委員会のメンバーを務めた。Time誌2006年5月号・11月号で、100人の最も影響力ある人々に選ばれる。2006年、治癒における脳と意識に関する研究の進展に対し、UCLAから最初のマニ・ボーミック賞を受ける。1992年、先のマインド・アンド・ライフ会議のフォローアップとして、チベット僧侶の並外れた精神的能力の神経科学調査を行う科学チームのメンバーとなった。(▲ Back)
ジョン・ダン博士 John Dunne, Ph.D.
エモリー大学宗教学部助教授、瞑想エンサイクロペディアおよびエモリー瞑想研究共同組織の共同ディレクター。アマースト大学とハーバード大学で学び、1999年、宗教研究委員会より博士号を取得。ウィスコンシン大学マディソン校で教鞭を執り、スイスのローザンヌ大学で研究職についた後、2005年にエモリーの教員となる。米国インド研究学会から2年間の支援を受け、インド サールナートの中央高等チベット研究所で博士課程の研究を続けた。その研究は、仏教哲学と瞑想のさまざまな側面に焦点を当てるものである。『Foundations of Dharmakirti’s Philosophy 』(2004年)において、仏教の最も優れた理論である知覚、言語、推論、論証について研究。現在は、古典的仏教と現代的な意味との両方における「マインドフルネス」の概念や、チャンドラキールティの『プラサンナパダ(中論釈)』、「空」の形而上学に関する主要な仏教哲学書の研究を行っている。最近、リチャード・J・デイヴィッドソン、アントワーヌ・ルッツとの共著で、神経科学と瞑想に関する論文を出版。たびたびチベット人学者の翻訳者をつとめ、コンサルタントとして、デイヴィッドソン博士とルッツ博士のチベット瞑想の神経心理学研究を支えている。(▲ Back)
ポール・エックマン博士 Paul Ekman, Ph.D.
カリフォルニア大学サンフランシスコ校精神医学科で32年間心理学教授を務める。シカゴ大学、ニューヨーク大学で学部教育を受ける。サンフランシスコのカリフォルニア大学(UCSF)内のラングレー・ポーター精神医学研究所で1年間の臨床研修の後、1958年、アデルフィ大学で博士号を取得。1958-1960年、ニュージャージー州フォートディックスで米陸軍の主任精神分析医を務める。除隊後、UCSFに戻り博士研究員として3年間を過ごす。その後、自身の研究プログラムを開始。国立精神衛生研究所および国立科学財団、DOD高等研究計画庁の助成を受け、UCSFとはゆるやかな提携関係にあった。 1972年、UCSFの心理学教授に任命される。その関心は別々でありながら関連する二つのテーマに向けられている。当初は"非言語的"行動に着目しており、60代半ばまで感情の表現と生理学に集中していた。次に関心を向けたのが、対人関係における欺瞞である。1991年に米国心理学会から優秀科学貢献賞、1994年にシカゴ大学から人文学名誉博士など、数多くの栄誉を受けている。2004年、UCSF教授を退官。現在、感情や欺瞞に関する研究やトレーニングの顧問を続けている。(▲ Back)
R・アダム・エングル、法務博士、MBA / R. Adam Engle, J.D., M.B.A.
マインド・アンド・ライフ インスティテュート会長、最高経営責任者。弁護士、ビジネスマン、起業家であり、営利と非営利の両分野で仕事をしてきた。営利の分野では、はじめは弁護士として、ビバリーヒルズやアルバカーキ、サンタバーバラ、テヘランで10年間活動。弁護士の職を辞した後、グローバル ポートフォリオ マネジメントに焦点をあてた個人向け投資管理会社を設立。また、米国やオーストラリアで、いくつかのベンチャー事業をも開始した。1983年、フランシスコ・ヴァレラとともにマインド・アンド・ライフ ダイアローグを設立し、1990年にマインド・アンド・ライフ インスティテュートを設立。1993年、ボールダーに拠点を置く州規模のチベット人支援グループ、コロラド・フレンズ・オブ・チベットを共同設立。さらに、スタンフォード・ビジネススクールで「ビジネスにおける健全性と慈悲」と題した講演シリーズを創設。ソーシャル・ベンチャー・ネットワークの創設メンバーであり、ワールド・ビジネス・アカデミーのメンバーである。ハーバード・ロースクールで法務博士、スタンフォード・ビジネススクールでMBAを取得している。(▲ Back)
マーサ・ファラー博士 Martha Farah, Ph.D.
ニューヨーク育ち。1977年、マサチューセッツ工科大学(MIT)で冶金学および哲学の学士号を取得。ハーバード大学で実験心理学を学び、1983年に博士号を取得後、MITおよびボストンVA病院で神経心理学の研究を行う。カーネギーメロン大学およびペンシルバニア大学で教鞭を執り、現在はペンシルバニア大学のウォルター・H・アネンバーグ自然科学教授および認知神経科学センター長を務める。研究内容は認知神経科学の中でも多岐にわたり、視覚、注意、心的イメージ、意味記憶、読解、前頭葉機能や、最近では脳神経倫理を含んでいる。著書に『Visual Agnosia』(MIT Press, 1990年; 第二版, 2004年), 『The Cognitive Neuroscience of Vision』 (Blackwell, 2000年)、編集に『Patient-based Approaches to Cognitive Neuroscience』(MIT Press, 1999年; 第二版, 2006年)、 編集協力に『Neuroethics of the Journal of Cognitive Neuroscience』がある。 アメリカ心理学協会の研究初期貢献賞、国立科学アカデミーのトロランド賞を受賞し、グッゲンハイム奨学金を受けている。(▲ Back)
ジョージ・グリーンスタイン博士 George Greenstein, Ph.D.
アマースト大学シドニー・ディロンの天文学教授。物理学において、スタンフォード大学で理学士号、イェール大学で博士号を取得。当初は理論天体物理学の研究を中心にしていたが、後に文筆活動に移る。多くの著書があり、科学者ではない人々のために科学を分かりやすく解説している。最初の本『パルサー・ブラックホール 時間を凍結する星』は、2つの科学書賞を受賞している。アーサー・ザイエンスと共同で著したテキスト『The Quantum Challenge: Modern Research on the Foundations of Quantum Mechanics』では、量子力学の投げかける解釈上の問題について論じている。(▲ Back)
マチウ・リカール博士 Matthieu Ricard, Ph.D.
パスツール研究所のノーベル賞受賞者フランソワ・ジェイコブのもとで、細胞遺伝学で博士号を取得。1967年からヒマラヤで暮らしディルゴ・キェンツェ・リンポチェをはじめとする高名なチベット人指導者達のもとでチベット仏教を学んだ。ダライ・ラマ法王のフランス語通訳を務める。父親である後期フランス哲学者ジャン=フランソワ・ルヴェルと共に『僧侶と哲学者』 (新評論) を、天文物理学者チン・ズアン・トゥアンと共に『掌の中の無限』(新評論)を著した。最新のベストセラーに『幸福の探求―人生で最も大切な技術』(評言社)がある。著書は20以上の言語に翻訳されている。また、多数のチベット語書籍を英語やフランス語に翻訳している。写真家として写真集を出版しており、『Buddhist Himalayas』 (Abrams)、『Monk Dancers of Tibet』 (Shambhala) 、最新刊に『Tibet: An Inner Journey』 (Thames and Hudson)がある。ネパールに暮らす仏教僧であり、その時間の多くをアジアでの人道支援プロジェクトやチベット文化遺産保全に注いでいる。マインド・アンド・ライフ インスティテュートの委員である。(▲ Back)
ベネット・M・シャピロ医学博士 Bennett M. Shapiro, M.D.
バイオテクノロジー コンサルタント。メルク社で国際ライセンス、社外研究担当副社長として、生物医学における産学協同研究を指揮していた。1990年9月、メルク研究所の基礎研究副所長に就任。在任中、メルクの基礎研究と臨床研究を国際的に担当。それ以前は、ワシントン大学生化学科教授および学科長を務めていた。著作に、細胞挙動における分子制御と、受精時における細胞のカスケード活性を統合する生化学的事象についての120ページを超える論文がある。ディキンソン大学で化学の学士号、ジェファーソン医科大学で医学博士号を取得。ペンシルベニア大学病院でのインターンシップを経て、NIHの研究助手となった後、パリのパスツール研究所の客員研究員となり、NIHへ戻って生物化学研究室細胞分化部長となった。その後、ワシントン大学に着任。グッゲンハイム研究員、日本科学振興会研究員、ニース大学客員教授を務めた。(▲ Back)
ウルフ・シンガー医学博士 Wolf Singer, M.D., Ph.D.
フランクフルトのマックス・プランク脳研究所長 、フランクフルト高等研究所(FIAS)創立者。ミュンヘンとパリの大学で医学を学び、ルートヴィヒ・マクシミリアン大学で医学博士号、ミュンヘン工科大学で博士号を取得。80年代半ばまで、研究の中心は大脳皮質発達の経験依存性や、シナプス可塑性の頻度依存のメカニズムであった。その後、研究は大脳皮質の分散組織で起こる結合の問題に移った。博士の提示した仮説は、数多く広範囲に分散する、認知と実行の機能の基礎を構成するサブプロセスが、神経振動の正確な時間的同期によって協調され、結合するというものである。専門誌の査読で254以上の記事に署名、書籍では191以上の章に貢献し、神経科学的発見の倫理的、哲学的影響について数多くの論文を執筆。2冊の著書を出版している。神経可塑性についてイプセン賞、薬学についてエルンスト・ユング賞、脳研究ではチュールヒ賞、ドイツ研究財団よりコミュニケーター賞など、数多くの賞を受賞。ローマ教皇庁科学アカデミーをはじめとする数多くの国内および国際アカデミーのメンバーである。欧州神経科学協会会長、マックスプランク協会理事会長を務め、数多くの科学組織の顧問機関や専門誌の編集委員会でメンバーを務めた。(▲ Back)
エヴァン・トンプソン博士 Evan Thompson, Ph.D.
トロント大学哲学教授。アマースト大学でアジア研究の学士号、トロント大学で哲学博士号を取得。著書に『Mind in Life: Biology, Phenomenology, and the Sciences of Mind 』(Harvard University Press, 2007)、P.ゼラゾ、M.モスコビッチとの共編に『The Cambridge Handbook of Consciousness』 (Cambridge University Press, 2007)がある。また、F.J.ヴァレラ、E.ロッシュとの共著に『The Embodied Mind: Cognitive Science and Human Experience』 (MIT Press, 1991) 、著書に『Color Vision: A Study in Cognitive Science and the Philosophy of Perception』 (Routledge Press, 1995)がある。現在、新しい著書『Buddha and the Brain: Contemplative Insight and the Neuroscience of Consciousness』を執筆中である。ヨーク大学でカナダ・リサーチ・チェアのポストを得(2002-2005)、ボストン大学で教鞭を執った。また、パリのエコール・ポリテクニークの応用認識論研究所(CREA)、ボールダーのコロラド大学で客員教授のポストを得た。マインド・アンド・ライフ インスティテュート科学顧問委員会メンバーである。(▲ Back)
アントン・ツァイリンガー博士 Prof. Dr. Anton Zeilinger
量子物理学の基礎研究により、新たな量子情報技術の概念と、量子力学の解釈についての根本的問題に対する新しい理解の両方を導き出した。彼のチームは、量子テレポーテーションや、量子もつれ状態の量子暗号、最初の一方向量子コンピュータの実験的実現、量子干渉が見られる最大分子の世界記録などの成果をあげている。ドイツ勲章プール・ル・メリット、キング・ファイサル国際科学賞、ゲッティンゲン科学アカデミー ザルトリウス賞、ベルリンのフンボルト大学およびポーランドのグダニスク大学名誉博士などの栄誉を受けている。オーストリア、ベルリン-ブランデンブルク、ポーランド、スロバキアの科学アカデミー、およびレオポルジナ・ドイツアカデミーのメンバー。現在、ウィーン大学物理学科、オーストリア科学アカデミー量子光学・量子情報研究所の教授である。(▲ Back)
アーサー・ザイエンス博士 Arthur Zajonc, Ph.D.
1978年から教鞭をとっていたアマースト大学で、物理学および学際研究のアンドリュー・メロン教授を務める。ミシガン大学で理学士号と物理博士号を取得。パリのエコール・ノルマル・シュペリウールや、マックス・プランク量子光学研究所、ロチェスター大学、ハノーヴァー大学で客員教授や研究科学者を務める。オーストラリアのインスブルック大学ではフルブライト教授を務めた。その研究内容は、電子-原子物理学、原子パリティ非保存、量子光学、量子物理学の実験的基礎、科学と人文科学および瞑想の伝統の関係である。ゲーテの科学上の業績について広く執筆している。著書に『光と視覚の科学』、共著に『The Quantum Challenge』、共編に『Goethe’s Way of Science』がある。1997年、マインド・アンド・ライフ ダイアローグの科学コーディネーターを務め、その内容は『The New Physics and Cosmology: Dialogues with the Dalai Lama』として出版された。2002年、再びダライ・ラマとの対話「物質の本質、生命の本質」を開催。2003年にはMITで行われたマインド・アンド・ライフ ダイアローグ「心の探究」でモデレーターを務めた。マインド・アンド・ライフとMITによる会議の議事録は『The Dalai Lama at MIT』として出版された。現在は、瞑想実践の高等教育への適切な導入を支援するコンテンプレイティブ・マインド センターのアカデミックプログラムを指揮している。また、アメリカ人智学協会の事務総長であり、キラ研究所の共同設立者、リンディスファーン協会会長、フェッツァー研究所シニアプログラムディレクターでもある。(▲ Back)
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協賛
謝辞
このイベントは、ハーシー ファミリー財団からの多大なる支援によって実現しました。
また、以下の個人ならびに団体の皆様の多大なるご支援に、マインド・アンド・ライフ インスティテュートは感謝の意を表します。
- 匿名
- ジョアンならびにスティーブ・ベルキン
- グラント・カウチ、ルイーズ・ピアソン
- アン・ダウン
- チャールズ・エンゲルハード財団
- フィデリティ慈善財団
- フランス系アメリカ人慈善財団
- ジョージ ファミリー財団
- クラウス・ヘベン
- インパクト財団
- ウィリアム・ジェームズ財団
- ジョンならびにトゥッシ・クルーゲ
- ジョン・W・クルーゲ財団
- テオ・コフラー
- ロストアンド・ファウンデーション
- MCJ財団
- メンタル・インサイト財団
- キャロル・ソーヤー・パークス
- デルフィーヌならびにジャン=ポール・オルトレマーレ=レッセガイアー、オルトレ協会
- ラルフならびにキャサリン・ロビンソン
- セイガーファミリー財団
- ジャンならびにマイロン・ショールズ
- ルドルフ・シュタイナー財団
- ターラ財団
- ジョン・テンプルトン財団
- イブリン・トゥイッグ=スミス
- ダニエルならびにウルスラ・ホーレンワイダー
- ウォーカーファミリー財団
- ウィリアム・ジェームズ財団
- ブライアン・ワンガード、デニス・キャッシュマン
(敬称略)
また、以下の個人ならびに団体のご助力に感謝いたします。
- ダライ・ラマ法王個人事務所
- チョノルハウス、ダラムサラ
- ペマタンゲストハウス、ダラムサラ
- カシミールコテージ、ダラムサラ
- サヒワホテル、ダラムサラ
- マズダトラベル、サンフランシスコ
- ミドルパストラベル、ニューデリー
- ディエゴ・ハンガートナー
- ラメシュ・シャルマ
- ブレット・エングル
- ザラ・ハウシュマン
- サンドラ・バーマン
(敬称略)
組織
- 会長/総合コーディネーター: R・アダム・エングル、法務博士、MBA
- 科学コーディネーター: リチャード・デイヴィッドソン博士、アーサー・ザイエンス博士
- 運営ディレクター: ナンシー・メイヤー
- 視聴覚コーディネーター: マイケル・ウィリス
- クリエイティブディレクター: デイビッド・W・マイヤー
- 管理コーディネーター: キャシー・チェン=オルテガ、クリスティン・コテロス、メアリー・アン・マッカーティ、コニー・メイン、デイビッド・ロビンス
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マインド・アンド・ライフ 20年の実績
マインド・アンド・ライフ ダイアローグ
ダライ・ラマと一流の科学者達の間で行われた対話のタイトルは、マインド・アンド・ライフ インスティテュートの探求してきたトピックの広さを示しています。会議の詳細については、http://www.mindandlife.org
をご覧ください。
2007年:「うつ病治療のための慈悲とメンタル・トレーニング」共催/エモリー大学
2007年:「原子の中の宇宙」
2005年:「心の探究:瞑想の科学と臨床への応用」共催/ジョンズ-ホプキンス、ジョージタウン大学
2004年:「神経可塑性:学習と変換の神経基盤」
2003年:「心の探究:心の働きに関する仏教と生物行動科学の対話」共催/マサチューセッツ州工科大学
2002年:「物質の本質、生命の本質」
2001年:「心、脳、感情の変化」於/ウィスコンシン大学
2000年:「破壊的感情」
1998年:「量子物理学と東洋瞑想科学における認識論的問題」於/インスブルック大学
1997年:「新しい物理学と宇宙論」
1995年:「利他・倫理・慈悲」
1992年:「睡眠・夢・死」
1990年:「感情と健康」
1989年:「仏教と神経科学の間の対話」
1987年:「仏教と認知科学の対話」
マインド・アンド・ライフ 書籍・DVDセット
以下の書籍とDVDセットは、ダライ・ラマと西洋の科学者達の議論を紹介しています。書籍は大手書店にてご購入いただけます。DVDセットはマインド・アンド・ライフ インスティテュートから直接ご購入いただけます。各タイトルの詳細については、http://www.mindandlife.org
をご覧下さい。
- 『Creatingand Maintaining a Healthy Mind』
DVD, 2006年 マインド・アンド・ライフ ダイアローグ - 『TheScience of a Compassionate Life』
DVD, 2006年 ダライ・ラマ デンバー講演 - 『TheScience & Clinical Applications of Meditation』
DVD, 2005年 第13回マインド・アンド・ライフ - 『Changeyour Mind; Change your Brain』
2004年 第12回 マインド・アンド・ライフ - 『Investigatingthe Mind』
DVD,2003年 第11回マインド・アンド・ライフ - 『TheDalai Lama at MIT』
2003年 第11回 マインド・アンド・ライフ - 『Whatis Matter, What is Life?』
2002年 第10回 マインド・アンド・ライフ(準備中) - 『DestructiveEmotions: A Scientifi c Dialogue With the Dalai Lama』
2002年 第8回 マインド・アンド・ライフ - 『TheNew Physics and Cosmology: Dialogues with the Dalai Lama』
1997年 第6回 マインド・アンド・ライフ - 『Visionsof Compassion: Western Scientists and Tibetan Buddhists,』
1995年 第5回 マインド・アンド・ライフ - 『Sleeping,Dreaming, and Dying: An Exploration of Consciousness with the Dalai Lama』
1992年 第4回 マインド・アンド・ライフ - 『HealingEmotions: Conversations With the Dalai Lama on Mindfulness, Emotions, andHealth』
1990年 第3回 マインド・アンド・ライフ - 『Consciousnessat the Crossroads: Conversations with the Dalai Lama on Brain Science andBuddhism』
1989年 第2回 マインド・アンド・ライフ - 『GentleBridges: Conversations with the Dalai Lama on the Sciences of Mind』
1987年 第1回 マインド・アンド・ライフ
マインド・アンド・ライフ 夏期研究会
世界中から150人の科学者や医師、瞑想研究者や実践者、哲学者が集まって1週間にわたる科学合宿を行い、健全な心を育む方法として、科学の新分野である瞑想神経科学の開発に共同で取り組んでいる。マインド・アンド・ライフ インスティテュートでは、このプログラムを2004年6月から毎年行っている。
マインド・アンド・ライフ リサーチ・イニシアチブ
- 情緒バランス安定化: UCSF医療センターとの共同調査研究。教師への40時間トレーニングの臨床試験。
- マインド・アンド・ライフ 瞑想神経科学: ウィスコンシン大学、プリンストン大学、ハーバード大学、UCB、リードカレッジにおける基礎調査。
- マインド・アンド・ライフ フランシスコ・J・ヴァレラ研究賞: マインド・アンド・ライフ夏期研究会で立てられた仮説を検証するため、小額の研究助成金を提供。毎年10〜15のヴァレラ賞が与えられている。
- マインド・アンド・ライフ 教育研究ネットワーク: メンタル・トレーニングが子供の注意力、感情、認識に与える効果の研究。
Mind and Life Institute
589 West Street, Louisville, CO 80027
Tel: 720-891-4292
Email: info@mindandlife.org
URL: http://www.mindandlife.org
/ http://www.investigatingthemind.org ![]()
(翻訳:熊谷惠雲)
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