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ダライ・ラマ法王、仏国民議会に招かれる

(1998/06/17)

ダライ・ラマ法王は、ローラン・ファビウス国民議会議長訪問後、ジャック・ラング外交委員会委員長の招待を受けた。
この外交委員会のダライ・ラマ法王招待は、ルイ・ド・ブロスィア率いるチベット問題に関する国会議員達のグループの運動により実現した。チベット問題解決の支援者達は皆、上院議員数名に後押しされた国会議員達が公式に打ち出した今回の強いイニシアチブに歓喜したはずだ。
ローラン・ファビウスが、フランスがチベット・オブザーバーの役を担うことを例に挙げながら「フランスは外交面で率先的に行動する」希望を述べると、一方ジャック・ラングは、「フランス政府がチベット問題解決に向けて動く」旨、外交委員会の議員達に呼びかけた。

「フランスは、中国政府と建設的な対話を実現するというチベット人達の願いを一層強く支持していくよう」と、ジャック・ラング国会外交委員会委員長は宣言した。そして更に、ダライ・ラマ法王に、「フランスが、チベット固有の文化・民族性を維持することに力を注ぎ、チベットを救う先駆者になること」と付け加えた。

50名程の上院・下院議員の前で、ダライ・ラマ法王は、チベットの独立を求めているわけではなく、中国とチベット相互の幸福を考えた中国国内問題における自治を求めていることを説明した。かなりの数に及ぶ鉱山資源にもかかわらず、チベットは物質面において遅れたままである。「それで、大国の協力が必要」と、ダライ・ラマ法王は、中国政府が国の統一と安定に役割を果たすべきであることを明言した。
「現在も続く中国政府によるチベット内の抑圧政策は、非生産的なものだ。抑圧政策は、恨みを生み出し、安定を覆すことになる」
と、ダライ・ラマ法王は強調。
対話実現の中道的アプローチを提唱するダライ・ラマ法王は、中国・チベット間対話を確実にし具体的な解決策を見出すため、中国政府とのコンタクトを増やすよう望んでいると述べた。

ダライ・ラマ法王は、そのほか、中国政府がチベット問題を自覚したことを述べ、
「中国人が『非中国人勢力』と呼んだ60年代、70年代から比べると、中国は変化した」と発言。

イベット・ルディ議員は、、アンドレ・マルローの「21世紀は、宗教的なものになるか、ならないか」を引用して、ダライ・ラマ法王にその意見を聞いた。
ダライ・ラマ法王の答えは、20世紀において人類は平和を望み、そして平和を実現することの出来る「人道(ヒューマニティ)」について学んだことに言及。
「人権のコンセプトとは、固有の文化と宗教が普遍的な価値を持つこと」と明言。

法王は、また人権はもっと精神的なものになるが、それは必ずしも宗教的なものになるとは限らないとし、宗教から独立した精神性と概念化された宗教信仰とを区別した。
「慈悲心に基づく地球規模の責任感を発達させることにより、『自分達と他人』の概念は消える」と法王は述べた。

数名の議員から、中国や中国行政機関との関係についての質問に答えて、ダライ・ラマ法王は、1954年から1955年にかけ毛沢東主席と何度も会った時のことを挙げた。法王は、毛沢東という人物に全く異なる面があることに気がついたが、彼に対する尊敬の念は持ち続けていたことを述べ、
「根本的には、私は社会主義者だ」
「私は、半分マルクス主義者で半分仏教徒。労働者階級の権利を守ることに賛同している」と明言。

1議員にチベットにおける核廃棄物や森林伐採の問題の件を問われて、法王は憂慮すべき事態であり、
「アジアの主要な川はチベットに源流がある」
という事実に特に注意を払うよう呼びかけた。
ダライ・ラマ法王は、専門家の報告結果を挙げてチベットの環境バランスの変化が数百万人に被害を及ぼしていることを説明。さらに、地球規模の政策をたてるためフランス人環境専門家達に参加するよう嘆願の旨をフランス国会議員達に知らせた。
ダライ・ラマ法王は、中国人専門家とも意見交換を始める必要性を強調。
「フランスの専門家は、中国の専門家といっしょならば、核廃棄物問題を調査するためチベットに入ることができるかもしれない」と自身の願いを表現。

最近行われたインドとパキスタンの核実験についての意見を聞かれて、ダライ・ラマ法王は核兵器反対の立場を繰り返し述べ、両国の実験を「残念なこと」と形容。
しかしながら、ダライ・ラマ法王はいくつかの国が核兵器を所有する特権を持っていることに触れ、
「インドも大国。それなら核兵器を所有する権利がないわけがないとする。他の国々もそれに従う。そして世界で5カ国のみが核兵器を保有できるというしきたりに疑問を投げかけることになる」
フランスの上院、下院議員達にこう呼びかけ、ダライ・ラマ法王は核兵器削減に向けて動くよう要請した。
「今、徐々にステップを踏んで核兵器を削減するという、かなりはっきりした目的を持つべき時が来た」

チベット問題に話は戻り、ダライ・ラマ法王は最近のニューデリーでのチベット人によるハンガーストライキのことに触れ、1名の犠牲者を出した事実はチベット人に不満の感情があることをはっきり示しており、「この不満の感情は、チベットで起きていること、また世界で起きていることに関連している」と説明。

それでも、ダライ・ラマ法王は、特に、いくつかの外国政府が、中国政府との対話実現のため努力していることを挙げて「1960年代、70年代と比較すると、希望の兆しが見える」と明言。

また、ダライ・ラマ法王は
「1997年、中国に変化があった」
と言及。その変化の1つに、チベットにおける中国の政策に関する批判記事の出版がある。
「80年代、何人かの中国の要人達は、大変偏狭な考えを持っていた。中国を孤立化させてはいけない。しかし、国際社会の1員として組み込むように中国に働きかけなければならない」と法王は、この10年間のアメリカの対決姿勢を観察して「問題を少しも解決しない」
と述べた。ただし、人権、民主主義、環境、文化面・精神面におけるチベットの遺産伝統維持のため、確固たる姿勢で対話への努力は続けなければいけないとした。

法王は、もしある程度の自由があるならチベットに戻ることを受け入れると1992年に宣言したことをここでも言及。
「私は一介の仏教徒になるため、議院立法制の政府、できれば非聖職者の政府に、自分の全ての行政権を譲るだろう」

ブッソー議員がチベット内の中国人大量移住についての質問に、法王は、ラサやシガツェなどの大きい都市では3分の2が今や中国人で、チベット人は少数となり、日常生活でも中国語を話すことが強要させられている現状を説明した。高地のため中国人が住めない地方では、状況は異なる。法王は、保健衛生や教育面での援助が地方の人々に行き渡ることを望んでいると述べた。

ジャック・ラング外交委員会委員長は、チベット問題に関しフランス政府が自らの立場をはっきりさせてほしいと発言し、このダライ・ラマ法王とフランス国会の会合を締めくくった。

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