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成田トランジット時のスピーチ&質疑応答

(1994/04/14 成田)

スピーチ

本日この機会に、私たち友人どうしが集まれたこと、そして特に皆さんの国でそれが実現したのは、大変喜ばしい限りです。皆さんの中には、インドでお目にかかった方も多勢いらっしゃいます。特に成田山新勝寺の方々とは、何年も昔からご縁がありました。最も古くからの友人です。

先程、駐日代表も申しておりましたとおり、ここへお集まりの方々は全てチベットという国をとても愛してくださり、真の喜びの心を抱いておられる方です。皆様が、様々な形でチベットにご支援を与えて下さっていることに、私は心から御礼申し上げます。これは、私一人がそう感じているばかりでなく、チベット本土で自由のために懸命の努力を続けているチベット人全員に代わって、いま感謝の気持ちをお伝えしたいのです。

もちろん、この場で御礼の言葉を述べたのは、私たちの目的が全て成就したから−というわけではありません。これからまだまだ道のりは遠いので、皆様の力をお借りしなければならないのです。今後ともどうかよろしくお願い致します。

質疑応答

── 3月10日の民族蜂起記念日に発表された声明に対する各方面からの反響をお聞かせください。
ダライ・ラマ法王:

チベット本土からの反響についてはまだわかりません。亡命チベット人社会では、私が将来の路線について民意を問うかもしれないと表明したことについて、チベット国民としての責任の自覚が広がっていると感じています。外国の友人達からは、声明の中で「私のこれまで採用してきたアプローチが失敗に帰した」を述べていることについて、「必ずしも失敗ではなく、それなりに効果があった」と励ましを受けました。


── もし日本側の受け入れ態勢が整ったら近い将来に来日なさり、一般の方々を対象に講演していただくことが出来ますか。
ダライ・ラマ法王:

現段階で具体的な予定はありませんが、一般的に申し上げれば、私は様々な国々で講演を行っております。受け入れ側に問題がなければ大丈夫です。日本にとって迷惑になるようなことは、絶対にしたくありませんが、そうでなければ実現できると思います。将来、皆様の方で受け入れが可能になったら、是非ご連絡ください。


── 台湾へのご訪問の話があるようですが、行かれるのですか。
ダライ・ラマ法王:

台湾訪問に関しては、我々の側で問題にしなければならないことがあります(笑)。この2年間、我々と台湾の関係は改善されてきました。当方から公式な使節を台湾へ派遣し、総統,行政院長とも会談しました。台湾側にも私の訪問を要請する意向があるし、私自身もその希望を抱いています。しかし台湾当局の一部の人々が亡命チベット人社会に対して色々な問題を引き起こしてきた−という事実があるのです。そうした点が全て解決されれば、私の台湾訪問も実現するでしょう。そのために、いま努力しているところです。台湾は仏教国であり、信仰の厚い国です。そして特に、比丘尼の戒律の相伝が生きていることは、特筆に価します。そういった意味で、両国の交流が深まれば、相互に得るところは大きいと思います。


── 人生はまさに苦労の連続のようなものですが、人間というものは、一筋の蜘蛛の糸ほどの幸せを見出せればそれを目標に生きてゆけると思います。猊下は毎日の生活の中で、どのようなところに幸福を見出されますか。
ダライ・ラマ法王:

他者を利益すること。それが出来れば一番満足です。人間として生を受けたことの意味は何か−と考えるなら、ただ生きているだけでは意味がありません。それでは動物と同じです。他者の役に立つことをする能力が人間には具わっているのですから、それを生かしてゆくことこそ、人生の意味だと考えています。
そして喉が渇いたときの一杯のお茶、それがやっぱり幸せですね(笑)。

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