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ジュネーブで開催のチベット・中国会議におけるダライ・ラマ法王の演説

(2009年8月6日)

議長、主催者、そして世界各地からお集まりくださった代表者ならびにご来賓の皆様にご挨拶申し上げます。とりわけ、中国人とチベット人が広義に話し合うことのできるこのような機会を作ってくださった国際友和会(International Fellowship of Reconciliation:和解のための国際共同団体)ならびにスイス・チベット友好協会(Swiss Tibetan Friendship Association)のみなさまのご尽力を称えたいと思います。

一千年以上にわたって、チベット人と中国人は、社会経済分野をはじめ、宗教、文化において互いに影響を与え合う仲睦まじい隣人として共に暮らしてまいりました。ときには戦を交えたこともありましたが、しかし大概は、チベット人と中国人との関係は平和的なものでした。仏教はチベットよりも先に中国で栄えましたので、チベット人の仏教徒は中国人の仏教徒を精神上の兄姉として敬っています。

20世紀、世界が激動に立ち会ったように、中国もまた激動を経験しました。1949年に共産党軍が中国全土を掌握すると、人民解放軍はすぐにチベットに侵攻し、少数かつ軍備が十分でないチベット軍は敗退し、東チベットの州都チャムド[昌都]が陥落しました。1951年には17ヶ条の協定の調印が強制的に行なわれ、チベット全土が中華人民共和国に併合されました。

我々は、17ヶ条の協定を甘受しようとあらゆる努力を尽くしましたが、1959年、私は内閣と共にインドへ亡命し、我々に続いておよそ8万人の僧侶や一般市民が亡命しました。 インドに到着すると我々は直ちに徹底的な話し合いを行ない、中国当局との対話を通してチベット問題を解決に導くべく取り組みました。そして1974年前後、中道政策を採り入れるに至りました。中道政策の基本精神は和解と歩み寄りの精神であり、チベットと中国の双方が受け入れることのできる、双方に有益となる解決策を対話を通して突き詰めていくことにあります。我々は、チベットの分離・独立を求めるのではなく、中華人民共和国という枠組みの範囲内で解決策を見いだしていこうと決意したのです。

ですから1979年、後に国家主席となる_小平氏から対話に向けての前向きな意向が示されたときには、我々には積極的に応じる準備ができていました。
中国との直接連絡ルートを構築するにあたり、視察調査と予備的交渉を行なうための代表団を中国に送りました。その数を合わせますと20組になりますが、しかし残念ながら、実質的な成果はありませんでした。さらに1993年には、直接的な連絡ルートがすべて途絶えてしまいました。結果として、中道政策に同意しない亡命チベット人の数が増えていきました。

このような背景から、1997年、我々は亡命チベット人を対象とする世論調査を実施しました。その結果、64パーセント以上が中道政策の継続を支持していることが明らかになりました。これを受け、我々は中華人民共和国の中央人民政府との直接連絡ルートの再開に取り組み、2002年、実現に至りました。以来、私の特使と中国政府の代表者による8回の正式会談と1回の非正式会談が行なわれました。残念ながら、中央人民政府側にチベット問題を誠実かつ現実的に解決しようとする政治的意志が欠如していることから、実質的な成果は生まれていません。さらには、昨年3月のチベット本土における危機的状況の発生以来、チベット本土の状況は劇的に悪化しています。中国政府は、少数民族に対する政策への不満を平和的に表明したチベット人に反逆者のレッテルを貼り、チベット人と中国人の対立感情や憎しみを煽っています。結果、ふたつの民族の間に根拠のない疑心が生まれてしまいました。このことに私は、深い悲しみと懸念を抱いています。

しかしながら幸いなことに、中国人の有識者の多くは中央政府のプロパガンダに屈していません。彼らはチベット問題を客観的に理解しようと努力してきました。そうして得た彼ら自身の見識に基づいて、チベット人への共感と支援の気持ちを多くの記事のなかで表明してくださっています。このことは、チベット人にとって大きな励みであり、真実の勝利であると言えるでしょう。

私の特使は中央人民政府に対し、中華人民共和国の憲法に則して中華人民共和国の枠組みの範囲内でチベット問題の解決を求めていくという私の中道政策を、文書と口頭の両方で明確に伝えました。憲法には、少数民族の地方自治が定められています。昨年行なわれた8回目の会談のなかで、私の特使は『全チベット民族が名実共に自治を享受するための草案』を提示しました。中華人民共和国の憲法にある条項と地方自治の法律に基づくこの草案は、チベット民族が名実を伴う自治をいかに享受していくことができるかを詳細に説明するものです。しかしながら中国政府は、我々の提唱は暗に独立を意味するものである、あるいは半独立の要求であるとして、草案を頭ごなしに棄却しました。反対案を提示する努力さえもまったくなされなかったことに、我々は失望しました。

このような経緯から、今日の中国指導部に対する私の信頼は揺らいでいます。また、このような残念な状況を鑑み、私は特別総会の招集を要請しました。特別総会は昨年11月、亡命チベット社会を代表するおよそ600名がダラムサラに集まり、6日間にわたって行なわれました。特別総会では、チベット本土の状況、中国国内の開発を踏まえ、チベット人が自由を手にするための今後の方針について話し合われました。チベット本土のチベット人から集めることのできた断面的な意見も斟酌されました。ときを同じくして、世界各国のチベット支援団体が一同に会し、国際会議も開催されました。

これらふたつの会議におきましては、中道政策を改め、中国政府との接触を打ち切るよう求める声もありましたが、しかし、参加者の多くは中道政策とチベット・中国間の対話の継続を支持していることが公式に確認されました。
したがって我々は、中央人民政府がチベット本土にいる600万人のチベット人が直面している問題の解決に取り組む意志があると明確に示したときには、直ちに真摯な話し合いを始めることができるのです。

この会議に参加してくださった中国人の兄姉のみなさまに、お願いしたいことが二つあります。 まず第一に、チベット問題の解決に向けて今後いかなる道を歩むべきか、みなさまの率直なご意見や助言をお聞かせください。第二に、我々チベット人は中国人の兄姉に対して憎しみを抱いているのでなければ、アンチ中国人でもアンチ中国でもないのだということを中国の人々に伝えられるようお力を貸してください。チベット問題をチベット・中国人間の人種問題や対立問題にすり替えないためには、みなさまのお力とご協力が必要なのです。

はるばる遠方からお集まりくださったみなさま、主催者のみなさまに感謝の意を表し、私の話を締めくくりたいと思います。この会議が、真の信頼、友情、互いへの敬意と益を築いていくための重要な第一歩となりますようお祈り申し上げます。

2009年8月6日
ダライ・ラマ


(翻訳:小池美和)

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