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亡命チベット代表者議会 連帯決意表明

2017年3月15日
第16代チベット亡命政権第3セッション決議

はじめに

ニャティ・ツェンポが初代の王となって以来、プギェル王朝の歴代のツェンポ王は、中央アジアに中国やモンゴルに引けを取らない軍事力を持つ国家、チベットを築いていった。当時のチベットは、独自の言語と文字、宗教的・文化的伝統、文明や政治制度をそなえた完全な独立国家であった。その後チベットは政治的および宗教的権力を持った歴代ダライ・ラマによって統治されることになる。ダライ・ラマ制度の出現は、政治的安定と宗教伝統の振興、そして自由で幸福な臣民の生活を実現させた比類ない黄金時代の始まりを意味していた。

しかし、1949年に中国共産党によって中華人民共和国が建国されると、彼らはチベットに侵攻し、徐々にその領土、人々そして天然資源の全てを掌握していった。占領支配を進める中で中国共産党は、さまざまなスローガンのもと、いわゆる『民主改革』を皮切りに、『反乱鎮圧』『チベットの安定化のための国境管理』といった一連の政治キャンペーンを実施してきた。中国はこれまでに6回のチベット発展フォーラムを開催したが、その暴力的で野蛮な強硬チベット政策を変えようとはしなかった。中国共産党政府はそれらの政策を通じてこれまでに百万人以上のチベット人を死に至らしめた。何万というチベット人が拘束、投獄され、迫害や拷問の対象となった。幾千もの信仰の場が跡形もなく破壊され、貴重で神聖、かつ希少な遺物が数えきれないほど略奪された。発展と進歩という名目でおびただしい数の漢民族がチベットに移住し、豊富な鉱物資源は見境なく採掘された。遊牧民は強制的に定住地に追いやられ、チベット内部のチベット人の移動の自由は極度に制限された。チベット語の学習および使用の機会も奪われ続けてきた。それにもかかわらず、中国共産党政府は、チベット民族が偉大な祖国中華人民共和国で幸福な生活を享受していると豪語しているのだ。

実際、1959年3月の民族蜂起以来、中国政府のチベット政策に対するチベット民族の抗議が止んだことは一時もなかった。チベット内部のチベット人は70年近くもの間自由を奪われ続け、恒常的な抑圧・拷問・恐怖に耐える生活を強いられてきたにもかかわらず、伝統的な宗教・文化的価値、そして倫理的に正しい行いをするという伝統を堅持し続けてきた。彼らは逆境にあってもチベット民族独自のアイデンティティーを常に守り続けてきたのだ。加えて、1980年代に活発化した民主化運動のように、新しい若い世代のチベット人によってさまざまなかたちの抗議運動が盛んに行われるようになっていった。2008年の平和抗議運動、2009年から始まった一連の焼身抗議、2010年のチベットの言語と文字の保護を訴える運動、2014年の単独チベット人によるスローガンを叫びながらの街頭抗議。チベット民族の大義名分のための闘争を継続するため、彼らは他にもさまざまな芸術的な手法を用い、勇気ある無償の抗議運動を展開し、よい時も悪い時も全てのチベット人は一体なのだという意思を示す数々のキャンペーンを行った。中国がチベット問題に対する強硬政策を一切省みてこなかったことが背景にある。

世界史上例を見ないのは、僧侶タベ氏が抗議のために自らに火を放った2009年2月27日から、タシ・ラプテン氏が同様に命を絶つ2016年12月8日までの間に、確認されているだけでも145名のチベット人がチベット内部で焼身抗議を行ったことである。彼らはダライ・ラマ法王のチベットへの帰還を訴え、自由を要求し、独立国チベットを主張し、チベットの言語や環境の保全を訴え、スローガンを叫んだ。またそれらの訴えは彼らの遺書にも書き残されている。彼らのうち125名が焼身抗議の後命を落としている。それでも、彼らの訴えや要求に中国政府が耳を傾けることはなかった。むしろ彼らは、焼身抗議が彼らの言う『ダライ集団』の扇動によるものだという根拠のない非難を続けてきた。しかしその主張を裏付ける証拠は一度も提示されていない。この件に関して中国を擁護する国際社会の声はない。

チベットに関する論争を解決し、双方が共存できる平和の実現のために、ダライ・ラマ法王と中央チベット政権(CTA)は中国指導部と対話を続けてきた。チベット側は、既存の中華人民共和国憲法の枠組みに即し、チベット民族居住地域における実体を伴った自治を模索する、中国・チベット双方に有益な中道政策を提案し勧めている。しかしこの提案に対する中国政府からの正式な反応は一切得られていない。

中華人民共和国憲法に従い、これまでに多くの法規制が敷かれてきた。いわゆる『少数民族地域の地方自治』に関する法規制、宗務に関する法令、少数民族の言語の使用についての基本政策、牧草地の保護に関する法律、自然環境保全のための政策、無形文化遺産保護に関する法律などもそれらのうちの一つだ。しかしながら、政府に対して不服を申し立て、補償を求める者があれば、それが中国人活動家やクリエイティブな芸術家であればもちろん、中国指導部の人間であっても、分離主義者あるいは国家権力の転覆を企てる者として政治的に非難された。彼らは正当な理由のないまま拘束、投獄され、あらゆる嫌がらせの対象となった。チベットの人びとが今日まで置かれ続けている中国に支配された状況は、そのような恐怖と不安にの中にある。アメリカに本部を置く国際人権団体のフリーダム・ハウスは、2016年の年次報告書『世界の自由度(Freedom in the World)』の中で次のように述べている。中国は習近平氏が国家主席に就任して以来、中国共産党の絶対的な全体主義体制を大いに強化し、法規を完全に無視してきた。その結果中国全般で自由が著しく損なわれ、特に新疆ウイグル自治区やチベット、また他の少数民族地域では、言論および集会の自由・政治的自由・信教の自由といった、生活を維持する上で欠かせないあらゆる分野の自由度が低下している。報告書は、2016年に中国政府が、特定の宗教団体の活動の取り締まりの強化、および、チベット仏教徒やウイグルイスラム教徒のような少数民族による宗教活動の制限および監視レベルの強化を決定したことにも言及している。参政権および人権が最も脅かされている国が中国であるという調査結果も同報告書は公表している。

チベットの故パンチェン・ラマ10世の転生であるゲンドゥン・チューキ・ニマの失踪以来、中国はその所在は不明であると主張している。また、虚偽の罪で政治犯とされたトゥルク・デレグ・リンボチェなど多くの投獄者に不適当なタイミングで死亡させている。ラダン・ジグメ・ギャツオなどの政治犯は投獄中に慢性で重度の疾患を発症し、釈放された。こうした事例は中国が今なおチベット人民に対する暴力的、非人道的な扱いを継続しているという、ほんの数例である。例えば、タシ・ワンチュクは中国政府に対し、中国の憲法で保障されているチベット語の保護を求めたが、分離主義活動を先導しているという虚偽の罪で逮捕、投獄された。すべての規則から逸脱し、第13回目の5か年計画のなかで中国政府は、少数民族、特にチベット民族の言語や文書を根絶やしにするために共通言語の普及を強化する政策を採択した。ネパールやインドから宗教的な教えや灌頂を授かるために訪れるチベット人たちは、直ちに帰国しなければ処罰されるという前例のない脅しを受けた。空港に降り立った直後にパスポートは没収され、目の前ではさみで切り刻まれ、使用できなくされた。チベット人民の基本的な信教の自由はそうして大きく迫害されたのだ。チベット本土の僧院では、その破壊の規模は文化大革命の再来のようである。さらに、中国はダライ・ラマ法王のその偉大で神聖な行いこそが、中華人民共和国を分断する活動そのものであると主張し続けている。

インドの大統領は、ダライ・ラマ法王の偉大な功績をたたえ、中国チベット間の平和的な対話を支持し、チベット本土の悲劇的な状況に関心を示し、チベットの指導者と面会を果たしている。同様にアメリカ合衆国の新政権もチベット問題に深い関心を示している。また、欧州議会も特に中国に対し、カムの色達(しきたつ)県にあるラルンガル僧院の破壊を中止するよう呼びかけた。アムネスティ・インターナショナルなど国際的な人権団体もチベット言語の権利保護活動家タシ・ワンチュクが投獄された件に特に関心を示している。こうした意識の発展は、中国政府による迫害が実行されていることが明白である証拠と言え、チベット本土の現実を国際社会が支持し、取り組みを続けている。

中国は、約70年前のチベットへの侵攻、占領からこれまで、チベット人民に対し、この世の地獄を味合わせ、法律で謳われているはずの合理的な権利を与えてこなかった。そのため、老若男女を問わずチベット人たちが平和的抗議活動を行ってきた。特に、合計145名のチベット人が中国政府の非人道的な政策に対し焼身抗議を行ったことが知られている。また、中国がチベット人抗議者たちの訴えを完全に無視し続けるため、現在もチベット本土の状況は大変深刻で悲劇的な状況下にある。第16代チベット亡命政権第3セッションにおいて、チベット本土の人民との団結を再確認する公式な決議を採択することが重要である。


決議事項

  1. チベット亡命政権は、チベットの正義のために勇気と決意をもって焼身抗議行った愛国心にあふれたチベット人と一体であることを表明し、その遺族にお悔やみ申し上げる。彼らが高潔なその献身の力により、雪の国に転生することを祈る。また、私たちはすべてのチベット人に、彼らが苦悶の中で最後に訴えた言葉とチベット人民の夢を実現する最高の責務を負うことを求める。
  2. 私たちは中国の指導部に対し、現在も投獄され尋問や拷問に課せられているすべてのチベット人を釈放すること、また中国政府が釈放されたすべてのチベット人の健康管理に一切の責任を負うことを求める。特に私たちは国際社会とチベット人民の困難を支援する人々に対し、こうした目標を実現する努力や関心を維持するよう求める。
  3. 中央チベット政権は、相互に有益な中道のアプローチを基盤にした少数民族のための意義のある真の自治権をすべてのチベット民族の居住区に与える政策の実現に向けた一層の努力を継続する。私たちは中国の指導部に直ちに対話の再開の責任を果たすよう呼びかける。
  4. 中国人のチベット自治区への大規模な移住の政策にともない、チベット人の基本的な人権が侵害されている。宗教の自由の権利は奪われ、繊細な自然環境は破壊され、母国語を学び使用する機会が奪われ、日々の移動や生活も管理、制限されている。こうしたことに対し、チベット亡命政権は中国に対して暴力的な抑圧の政策を廃止し、チベット人民の基本的な希望を維持できる平和な地域づくりを実現できるよう働きかける。
  5. チベット亡命政権は正義や平等を求める国家の指導者や官僚、国会議員、有識者、自由運動家、チベット人民の困難の支援者各位にチベットに対する支援を継続するよう求める。また、独立した調査団がチベットに派遣され、現在の悲劇的な状況を調査し、チベット人民に課された精神的、物理的な困難を明らかにし、中国の占領以来約70年にわたって、焼身抗議など様々な抗議活動が実施されている理由が理解されることを望む。
  6. チベット亡命政権は、亡命チベット人を受け入れたすべての国、特にインド政府と国民に感謝の意を表明する。特にダライ・ラマ法王の第34回カーラチャクラ灌頂を仏教徒にとっては最高の聖地であるブッダガヤで実現するための最高の支援をいただいたことに深く感謝する。また、チベットとチベット人民の正義が勝利を得るまで同じ水準の支援をいただけるよう求める。
  7. チベット本土のチベット人民は、常に不安や恐怖にさらされ、今日まで中国政府の政策に対し、世代にかかわらず勇気をもった抗議活動を続けている。チベット亡命政権は、中央チベット政権を含む政府・非政府団体、チベット亡命政権のメンバー、すべての亡命チベット人に対し、チベット本土のチベット人民の大きな犠牲を無駄にしないよう最善を尽くす責務を負うと誓うことを求める。


本決議は第16代チベット亡命政権第3セッションが行われた2017年3月15日に採択された。

※『決議事項』の内、2番、3番、4番、5番、6番が『5か条の請願』になります。

※本文書の英語版と、原本のチベット語版に差異のあった場合は、後者が有効であり、最終とする。

(翻訳:中村高子・植林秀美)

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