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チベット暦と占星術


「チベット政治史」(亜細亜大学アジア研究所)より抜粋

本書に目を通された読者は多くの日付がチベット暦で示されていることに気づかれたと思う。たとえば「壬午(みずのえうま)年のチベット暦3月15日」の如くである。西洋側の資料からその出来事が起こった正確な日付が西暦でわかる場合は、チベット暦の次に西暦による日付を掲げておいた。西暦による正確な月日が確定できない場合は、西暦年をのべるにとどめた。こうせざるをえなかったわけを説明するには、まずチベット暦とチベット暦の基本をなす太陽暦について述べる必要があるだろう。

2つの要因がチベット暦と西洋暦の月日の換算表を作ることを不可能にしている。チベットの太陽暦は、原則として1月を30日、1年は12ヶ月、すなわち1年を360日として計算する。これがまず最初の問題である。これを太陽暦の1年、365と1/4日と合致させるために、3年ごとに余分の1ヶ月を加える。けれども西暦との換算を試みる者には厄介なことに、この余分な月はある一定の場所にきまって挿入されるわけではなく、その年に幸運をもたらすとみなされる12ヶ月の間のどこにでも割り込ませられるのである。そこで余分な月が加えられた年は計算できても、西暦と換算することはできないのである。

換算表を作ることを困難にしている2番目の理由は、理論的にはチベットの太陽暦では1年が360日なのに、実際の太陽暦では1年は354日だということである。この太陽暦の1年の354日に合致させるために特定の日が取り除かれる。チベットの暦本を見ると、ページそれぞれに6つの四角い囲みがあり、囲みの中にその日の日付の数字が入っている。この6つの四角い囲みは曜日とは関わりを持たない。5ページが、太陽暦の1月を構成する。暦本から取り除かれる日は、該当の四角い囲みから抹殺され、かわりにチェー〔欠〕の文字が書き入れられる。月のその日は存在しなくなったのである。それゆえ暦本上にはこうなっているだろう。1/2/チェー/4/5/6等々。それだけではない。同じ日が繰返されることもある。1/2/3/3/4/5/6等々。

チベット式太陽暦と実際の太陰年、太陽年を一致させ、さらに不吉な日を取り除くための複雑な調節法のために、その年のカレンダーを有していない限り、チベット暦の日付を西洋暦の日付に換算するのは不可能である。翌年のチベット暦のカレンダーは政府の占星官によって毎年の年末までに用意される。政府の占星官は削除すべき日、2度重ねるべき日を決定し、閏月を挿入すべき年ならばその閏月をどこに割り込ませるかも定める。それだけの手続きを経てようやく来るべき年のカレンダーが作られるのである。それゆえチベット人は占星官が算出するまで次の年のカレンダーがどのような形になるか正確に知ることができないのである。

チベットの新年は西暦の2月の新月の月の出をもって始まる。ただし、前年に閏月が挿入されていた場合には3月に始まる。チベット暦と西暦の新年の始まりの相違を考慮すればチベット年から西暦年への変換は正確に行うことができる。

チベット暦の月には特別な名前はつけられておらず、単に1月、2月、3月、と数字を冠していくだけである。曜日は西洋と同じく、太陽(ニマ)、月(ダワ)、そして5つの惑星、火星(ミンマー)、水星(ラクパ)、木星(プルブ)、金製(パサン)、土星(ペンパ)の名をとってつけられている。それぞれの名称の前に惑星を意味する“サ”がつけられ、サ・ニマ=日曜日、サ・ダワ=月曜日、サ・ミンマー=火曜日、サ・ラクパ=水曜日、サ・プルブ=木曜日、サ・パンサ=金曜日、サ・ペンパ=土曜日となる。

古代、チベットの暦は十二支にもとづいていた。すなわち子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥である。この十二支によるサイクルは11世紀に60年サイクルが導入されるまで使用されていた。このシステムは1027年にチベット語に翻訳された『時輪タントラ』の中に説明されている。この1027年が60年サイクルの最初の年である。60年サイクルは十二支と五行(木、火、土、鉄、水)を組み合わせてできあがる。十二支に五行の要素を木木火火土土と2回づつ繰返しながら組み合わせ、さらに五行の要素が2回連続するときには前者に男(ポ)を、後者に女(モ)を加える。〔日本の兄(え)と弟(と)に相応する〕。たとえば木・男・子(甲子)の年の後は木=女=丑(乙丑)年となる。

占星術や占星図の星の位置はチベットの日常生活に重要な役割を占めており、60年サイクルの各年にふり分けられた十二支と五行の組み合わせによる吉凶は占星術師(ツイーパ)によって注意深くよみとられる。十二支上のある動物と別の動物は相克関係にあり、五行もまた各要素の間に相性がある。たとえば寅と申の組み合わせは凶。それと同様に鉄は火に溶かされるので相克の関係にある。月、日、時間でさえも、ある種の組み合わせによって凶となる占星術的に特別な視座がある。毎年の年末に新しいカレンダーを作成する時と同様、占星術は多様なレヴェルでチベット事情に影響を与えている。ダライ・ラマの即位から長い旅への出発にいたるまで、重要な事柄はすべて占星術で吉日を定めておこなわれる。

数字、数珠、サイコロなどを用いた占いは、雑多な問題に悩み、指針を求める人々によって利用されてきた。占星図は自分の未来の出来事を知るために作成するのは勿論、結婚相手の選択や葬列に参列者として相応しい人を選ぶ際などにもごく普通に作成される。


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