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ゲンドゥン・チューキ・ニマ少年の失踪

唯一存在するニマ少年の写真を手にするダライ・ラマ法王

ダライ・ラマ14世がゲンドゥン・チューキ・ニマ少年をパンチェン・ラマ11世として公式に認めたのは、1995年5月14日のことだった。その日からすでに7年以上が経過している。少年は、認定発表の日から何日もたたない5月17日、両親とともに姿を消した。中国の警察に拘引されたといわれている。

チベット仏教の伝統によれば、パンチェン・ラマはタシ・ルンポ寺で養育され、適切な宗教教育を受けることになっている。しかしゲンドゥン・チューキ・ニマ君は、いまだ極秘裏に拘留されたままである。

チベット亡命政権をはじめ、諸外国の政府機関・国際団体は、少年の居所を公表するよう中国政府にくりかえし要請している。しかし中国政府はそれに応じる気配がない。

それどころか、中立の調査団が少年とその両親に面会し、健康状態を確認するという提案さえ拒否している。そもそも中国当局は、失踪してから1年もの間、少年の拘留すらまったく認めてこなかったのである。

中国当局が少年と両親の拘束をようやく認めたのは、1996年5月28日のことである。

発表は、国連こどもの権利委員会が行った、綿密な長期調査への返答という形でなされた。

同委員会は、中国自身も加盟国である「子どもの権利条約」の監視組織である。新華社通信(中国の国営通信社)の伝えるところによると、呉健民・中国国連大使はジュネーブで、「少年は両親の要請に基づいて政府が保護している」と語ったという。

呉健民国連大使は、「少年は分裂主義者によって連れ去られるおそれがあり、身の安全が脅かされている」と説明した。中国当局は、ダライ・ラマ法王によるパンチェン・ラマの認定を非難し、ニマ少年が転生霊童であるとは認めていない。にもかかわらず、ニマ少年の拘束を「懸念」を理由に正当化する。中国にとってたんなる1少年のために、なぜこれほど長期にわたる「安全」の確保が必要なのだろうか。

中国指導部はよく知っているのだ。全世界にちらばる600万のチベット人は、法王の認めたニマ少年しか転生霊童と認めないということを。

ゲンドゥン・チューキ・ニマ少年が安全な生活を送り、また自由な将来を拓くことができるのか、おおいに心配されるところである。少年が消息不明であること自体が憂慮すべき人権侵害であり、大きな警鐘である。


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