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チベットの環境問題

保護に対するチベット流アプローチ

チベットの人々は伝統的に自然を崇まい、また関心を抱き続けてきた。これが、人口の圧力が低かったということの他に、チベットが今だに多様な動物と、高原植物を有している理由である。この伝統的関心の多くは、宗教的な信念によっていた。これは、また社会的な価値と国の政策の形成にも役割を果たした。1944年、チベットの摂政は、伝統的な法令を更新している。

...村の長、チベットの全地域の官吏、為政者はハイエナと狼を除くすべての動物の殺生を阻止するように命じる。水に棲む魚類、そしてかわうそ、丘や森の動物、空の鳥たち、生命を与えられたすべての動物たち、大きいものも小さなものも、保護され守られなくてはならない。
...如何なる者も、己戌(1896年)に初めて公布された、狩猟の5原則と環境保全の法律に従わなければならない

チベット人は、常に自然と共に生き、自然の持つニュアンスとリズムを学び理解しようと求め続けてきた。2−3世紀にチベットにもたらされた仏教は、この点に関して重要な役割を果たした。環境開発への一般的な禁忌は、すべての動植物、さらには、「陽光、空、山、谷、湖、川」、といった生物以外のものをも含んだ相互関連、相互依存についての仏教徒の信仰と知識の直接の結果である。この宗教と自然の密接な関係は、簡素ではあるが、効果的に自然界の均衡を持続する原則が、日常生活の1部となっていることを意味する。このような暮らしが何百年も続いてきたために、チベット人にとって、宗教的な実践と環境への関心とを区別することは実際問題として難しい。

同様な意味で、チベット人は常に、この世界の相互依存性に気づいてきた。その多様な動植物、原始林、そして何よりもチベットを源にする多くの大河を有する広大な国が、チベット自身よりも何倍も大きな地域の安全と生命の源であることを知っていたのである。実際、チベットの環境は、アジアのほとんどの国にとって、きわめて重要な問題なのである。

壬午の年(1642年)、偉大なるダライ・ラマ5世、ギャワン・ロブサン・ギャツォーが、チベットの精神的かつ政治的な指導者となった。この日から、毎年10月に、ダライ・ラマの名のもとに「動物と環境保護の法令」が発布された。13世ダライ・ラマの発布した法令には、次のようにうたわれている。

元旦から、7月30日まで、如何なる者も虎、豹、熊、ハイエナ、鼠、rishu を除いては、様々な空の鳥、丘や森の動物、水に棲む魚やカワウソを、殺すことはもとより傷つけてもいけない。
要するに、貴賎を問わず、誰も、陸の、水の、空の、大小に関わりなく如何なる動物にも、危害を加え傷つけてはならない。

こうしたやり方がうまく機能している証拠を、チベットを訪問した多くの西洋の旅行者、探検家、ナチュラリストの記録に見いだすことが出来る。例えば、英国の探検家キングダム・ワルドは、第1次世界大戦の前に次のように記している。

私はこれまで、これほど多くの種類の鳥たちを1箇所に見たことが無い。まるで大きな動物園のようだ。

1940年代には、レナード・クラークは、

2、3分せぬうちに、次々と我々は、熊、狩猟狼、じゃこう鹿、キャン(野生ロバ)、ガゼル、大角羊、狐を認めたものだ。ここは損なわれていない最後の大きな狩猟の楽園であるに違いない。

と報告している。

僧、尼、農夫、遊牧民などの一般のチベット人は、環境への関心を示す規定されたしきたり規約をそれぞれ持っている。1940年代に、ラサにすごしたヒュー・リチャードソンは記している。

憎しみ、羨み、悪意、無慈悲...といったものの形跡を、これほどまでに見られない所はなかった。人々の大多数は、自然に対抗するのではなく、出来る限り自然と共に生きようと努力していた(Richardson 1984)

チベット人の生き方は、いかなる有情の殺生をも制限している。子供たちは生まれたときから、すべての生命は貴いと教えられる。古典となった「チベットの7年」の中で、ハインリッヒ・ハラーは、今日まで首都ラサを洪水から守ってきた、堤防作りに働くチベット人たちにいらいらを募らせている。

多くの中断と休止があった。誰かが、鍬に1匹の虫を見つける度に悲鳴をあげるのだ。そうすると、その土は横にどけられ、仕事は中断して、虫が安全な場所に置かれるのだ。(Harrer 1984)

保護への関心は、1987年、法王ダライ・ラマによって提出された和平五項目の、大きな柱の1つを成している。中でも(1)チベット全域の平和地帯化(動物への非暴力を含む)と(4)チベットの自然環境の回復と保護が目立つ。

1989年12月11日のオスロでのノーベル平和賞の講演で、ダライ・ラマ14世は述べた。

チベット高原全体が、人間と自然が調和のある均衡を保って平和に生きることの出来る自由な安全地帯となることが、私の夢です。
そこは、自身の内なる平和の真の意味を求めて世界中の人々がやって来ることのできる、世界の他の場所に見られる緊張と重圧からは離れた場所です。
そうなれば、チベットは、真の意味で平和の増進のための想像的中心となることでしょう。

チベット亡命政権情報国際関係省1992年発行
「チベット環境と開発をめぐって」より

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