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チベットの環境問題

生物種の多様性

チベットは、人間の干渉を全くといっていいほど受けていない広大な荒野を有している。チベットの高原、森林地帯に散らばった、こうした荒野の区域は100万k?を超えると概算される。この中には、地球上に残された最も広大な自然の荒野のひとつチャン・タンもある。地形と気候的な要因も、これらの領域を独特で多様な生物の居住地としている。

チベットには、およお1万種の高原植物、118種の哺乳類、505種の鳥類、49種の爬虫類、44種の両棲類、61種の魚類が科学的に確認されている。これらの植物の4分の1はチベット固有のものであり、文化的経済的に高い価値を有するものである。植物のうち、1300は樹木あるいは低木種であり、約1000種のチベット、中国、インドの伝統医学で用いられる薬草もある。野生動物もチベット固有種の率が高く、野生のヤクのトロン、野生のロバのキャン、チベット・ガゼル、チベット・アンテロープ、獅子鼻猿、ムーリ・ナキウサギ、チベット茶色熊などは、チベットにのみに見られる。乏しいデーターからは、動物固有種の正確な比率を評価するのは難しい。ローウェルは、チベット高原の多くの動物は、きわめて高地の生活に適応した単一の亜種であろうと注意している。(Rowell 1990 b)

チョモランマ(エヴェレスト)周辺の自然保護区の設定のために最近なされた調査では、主ヒマラヤ峰の北の27000平方キロメートルという限られた領域から、53種の哺乳類、205種の鳥類、6種の爬虫類、8種の両棲類、5種の魚類という驚くべき多様な種が発見されている。1990年の時点では、総面積4万100平方キロメートルを超える20の保護区を含む、チベットにおける保護地域ネットワークの面積は、チベットの全面積の1.6%である。これは中国における保護区の割合(0.8%)の倍であるが、インド(4.4%)やアメリカ合衆国(8.6%)よりは少ない。また、これらの保護区の多くは、ごく最近になって設立されたものである。先に述べた20のうち、14は1980年代半ばに設立されたものである。

1991年の終わりに、新たにひとつ大きな保護区が設立された。おそらく世界最大の、23万7000平方キロメートルを持つチャンタン保護区で、野生生物保存インターナショナルの技術協力のもと設立されたものである。標高4700〜5000mに位置し、保護区は、チベット高原固有の、アンテロープ、ガゼル、野生ロバ、大角羊、茶色熊など通常以上に多数の哺乳類を保存することを意図している。ナム湖の周辺の1万平方キロメートルの領域では、合衆国の私的機関であるドメスティック・テクノロジー・インターナショナルとの協力のもと、鳥類の聖域(サンクチュアリ)とすることが考慮中である。

チベットの信仰と訓令による良き伝統があるとはいえ、こうした地域には、このような公的な保護が大いに必要である。1つの理由として、増大する中国人は、そのような規則に縛られていないことがある。しかし、そうした保護手段が、うまく機能するためには、それが文化価値、地方住民の生活と調和したものである必要がある。さもなければ、とりわけ辺鄙な地方では、こうした領域は、名ばかりの「保護」地域となってしまいがちである。真の保存は、その地域の自然資源を利用する地方共同体との協調と持続可能な利潤が、地域住民にもたらされるようにすること、を含んでいなければならない。人々の生存のための需要を住民による経営へと統合する手段を有する、生物圏保護と動物公園が、これを達成するひとつの可能な道である。

現在中国の省に統合されている地域を除くチベットにおける中国の保護施設は、中国本国における同様な処置に大きく遅れて導入された。

宣言された保護施設は、1991年末までに31万平方キロメートル、チベットのほぼ12%を覆うと言われている。しかし、保護の効果については、中国が極めて制限された情報しか示さず、地域とデータ管理に関して秘密主義を守るため評価することができない。

中国官憲及び軍による無制限な野生動物狩猟の報告が入り続けている。最近になって富裕な外国人客のためのグロテスクな狩猟ツア—絶滅危惧種の戦利品が組織され、定期的に中国官製のニュース・メディアに載っている。保護地域網の拡大の結果、チベット人共同体は、自然資源基盤への接近を制限され、生存に対する新たな脅威におびえている。そして、多くの重要な環境とその住人は、口先だけの保護すら受けていないのである。


チベット亡命政権情報国際関係省1992年発行
「チベット環境と開発をめぐって」より

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