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チベット仏教の4大宗派

「チベット密教」(田中公明著 春秋社)より抜粋

1959年のチベット動乱以来、チベットの仏教は、かつてない試練の時期を迎えている。とくに文化大革命中に、多くの寺院が破壊され、貴重な文献や美術がうしなわれたことは、人類文化の上からも、惜しみても余りある出来事であった。
しかし、ダライ・ラマ14世が指摘したように、チベット動乱は、チベットの優れた人材や知識の海外流出をもたらし、欧米諸国でチベット学の水準を向上させただけでなく、チベットの仏教が広く海外に伝播する端緒ともなった。

ゲルク派

ゲルク派の寺院ガンデン・ペギャル・リン(インド)

ゲルク派の寺院ガンデン・ペギャル・リン(インド)

ゲルク派は、最高指導者ダライ・ラマが、チベット国王を兼ねていたため、チベット動乱以後は、最も苦しい立場に追い込まれた。

6大本山のうち総本山ガンデン寺は、動乱のおりダライ・ラマ側の拠点になったため、徹底的に破壊され、主要な堂塔のほとんどを失った。現在ツォンカパの霊塔を納めるヤンパチェン、ガンデン寺座主の黄金座があるセルティカン、歴代座主の住坊ティクトカンなどが、復興されているに過ぎない。

管長にあたるガンデン寺座主(ガンデンティパ)の任期は、原則として4年だったが、ダライ・ラマ亡命後はダライ・ラマ14世の家庭教師だったリン・リンポチェ(1903-1983)が、特例として終生その職にあった。現在の第98世ガンデン寺座主は、カム出身のジャンペルシェンペン師(1921-)である。この本の著者が1990年にガンデンを訪れたおりも、主を待つセルティカンには、ダライ・ラマ14世とともに、亡命中のガンデンティパの写真が飾られていた。

これに対しラサ近郊のデープン、セラの2大寺は、比較的よく保存されている。これは文化大革命時、僧侶が身を挺して寺を護ったからだといわれている。なお主な指導者が亡命中のチベット自治区では、デープン寺の下にあるネーチュン寺のドクミ・チャムパロドゥー師が、ガンデンティパの職務を代行している。

またラサのギューメー密教学堂は、現地に残留するラデン・リンポチェなどの努力により、復興が進められている。これに対してラモチェ寺と、それに隣接するギュートゥー密教学堂の再建は、あまり進んでいない。

一方タシルンポ寺は、動乱以後も中国に残留したパンチェン・ラマ10世の努力により、みごとに復興された。パンチェン・ラマ10世は、1989年に再建された先代パンチェンの霊廟パンチェンドゥンリンの落慶法要を親脩した後シガツェで急遽したが、ダライ・ラマと中国が別の転生者を認定した

甘粛省、青海省にあるラブラン寺、クンブン寺(塔爾寺)は、比較的良好に保存されている。これら両寺は漢族地域に隣接していたので、政治的に巧妙に立ち回る術を心得ていたこと、ダライ・ラマよりパンチェン・ラマに近い高僧が多かったことなどが、破壊を免れた原因ではないかと思われる。

一方チベットの人々は、亡命先のインドで主要寺院の復興に着手した。現在デープン、セラの2大寺は、南インド・ムンゴットにある亡命チベット人入植地に再建された。またギューメー密教学堂は、南インドのフンスルに移転している。近年は砂曼荼羅供養の実演などで、わが国の仏教界とも交流している。

これに対してナムギャル寺(ポタラ宮内)とネーチュン寺は、ダライ・ラマのお膝元ダラムサラにあり、ギュトゥー密教学堂は東北インドのアルナチャルにあったが、現在交通便利なダラムサラ近郊に移転を計画している。

カギュー派

カルマパ17世ウゲン・ティンレー

カルマパ17世 ウゲン・ティンレー

カギュ派の寺院 シェドゥプチョコル・リン(インド)

カギュ派の寺院 シェドゥプチョコル・リン(インド)

カギュー派は多くの支派が分立し、統一的な組織は存在しなかったが、チベット動乱以後ダライ・ラマ亡命政権によって、第16世カルマ黒帽ラマ、カルマ・ランジュン・リクペードルジェ師(1942-1981)が、カギュー派全体の管長に任命された。

カルマ黒帽ラマは、チベットの活仏中最古の名称であり、亡命後のチベットでも追慕する信徒は多かった。師は亡命後アメリカの開教に成功し、多数の信徒を獲得するなど、亡命チベット人の中でも有数の成功者に数えられた。カルマ派は、カギュー系諸派の中でも、とりわけ密教への傾斜が強かったので、神秘主義を好む欧米人にアピールするものがあったのだろう。師はさらに、カルマ派の管理下に会ったデルゲ版『チベット大蔵経』の復刻に乗り出すなど、旺盛な活動で知られていたが、1981年ガンのため惜しくも亡命先で遷化した。その後転生者が捜索されていたが、1992年に至ってカム出身のウゲン・ティンレー少年が、第17世としてチベット自治区とダライ・ラマ亡命政権から相次いで認定された。

この他カルマ派には重要なものだけでも4つの活仏の名跡があり、現在はニューデリーに亡命中のカルマ赤帽ラマを中心に、集団指導体制がとられている。またアメリカで活躍したチューギャム・トルンパ師など、カルマ派に属する活仏は多い。

これに対してディクン派の指導者は、ディクンチェツァン・リンポチェである。カルマ派と異なり、ディクン派はチェンガと呼ばれる管長が宗派を統括する伝統があり、転生ラマ制度の導入が遅れたので、現活仏は第7世である。ダライ・ラマ13世の側近ツァロン大臣の一族で、長らく中国に拘留されていたが、1975年にインドに脱出し、ラダックで修行した後、インドのデラドゥンに建立したチャンチュプリン寺を根拠地として、布教活動を行っている。

一方ドゥク派は、ブータンで国教の扱いを受けている。ブータン宗教界の最高指導者ジェケンポも、この派から任命されている。
なおカギュー派全体の管長は、ディクン派などが分立を要求しているので、1992年の段階では任命されていない。

サキャ派

サキャ派の寺院 ゾンサールシェダ(インド)

サキャ派の寺院 ゾンサールシェダ(インド)

サキャ寺は、サキャ派政権の崩壊後もサキャ派の総本山として繁栄していた。しかしチベット動乱後、主な宗教指導者は国外に亡命し寺も衰微した。現在サキャ北寺は、完全に破壊されて跡形もないが、南寺は比較的良好に保存されている。特に南寺本堂裏の書庫に保存されていた厖大な文献が難を逃れたのは、不幸中の幸いといわねばならない。

クン氏の後裔は4つの系統に分裂したが、現在はドゥンチュー・ラタンと呼ばれる血統が有力で、ドルマ・ラカンとプンツォク・ラカンの2つの家系に分裂している。現在のサキャ派管長はドルマ・ラカン出身の第41世ガクワン・クンガ・テクチェン・ペンバル・ティンレー・サムペル・ワンギ・ギェルポ師で、1964年亡命先のインドのラジプルにサキャ・センターを創建し、これを中心に活動を行っている。また近年は、アメリカをはじめ、シンガポールや台湾にも教線を拡張している。

これに対してプンツォク・ラカンの代表者は、ダクチェン・リンポチェ(1929-)で、シアトルのサキャ・テクチェン・チューリンを中心に活動している。

クン氏に属さない新サキャ派の中では、ツァル派の代表者チェギェー・ティチェン・リンポチェ(1920-)が有名である。仏陀誕生の聖地ルンビニにチベット寺を創建するなど、ネパールを中心に活動し、シェルパやタカリなど、チベット系の少数民族に支持者が多い。

またゴル派の活仏の1人タルツェケン・リンポチェは、わが国に帰化して祖南洋(そなみひろし)と名乗っていた。『西蔵曼荼羅集成』などの著書があったが、1987年に逝去した。

ニンマ派

ニンマ派の寺院  ナムドル・リン(インド)

ニンマ派の寺院 ナムドル・リン(インド)

他宗と同じく、チベットのニンマ派寺院も、文化大革命中に大きな被害を受けた。総本山ミンドゥルリン寺、ドルジェタク寺も例外ではなく、宗教活動はほぼ停止するに至った。このうちミンドゥルリン寺は、インドのデラドゥンに再建された。管長のミンドゥルリン・ティチェンは、ニンマ派の伝統的な最高指導者であるが、創設者テルダクリンパの一族による世襲制のため、必ずしも宗教的資質に恵まれた人物が就任するわけではない。

一方チベットのミンドゥルリン寺は、荒廃するにまかされていたが、近年再建が始められた。1991年にこの本の著者が調査したところでは、居住する出家僧の数は約40名、かつて寺の周辺に居住していた、ニンマ派独特の在家密教行者はいないとのことであった。

またニンマ派のもう1つの根拠地であったカム地方も、チベット動乱から文化大革命に至る時期に、大きな被害を受けた。しかし、現在世界で活躍しているニンマ派の宗教家には、カムからの亡命者が多い。

ダライ・ラマ亡命政権によって任命された管長は、長らく埋蔵経典発掘者(テルトゥン)でもあるドゥージョム・リンポチェ(1904-1987)がつとめていたが1987年に遷化し、ディンゴキャンツェ・リンポチェ(1910-1991)が就任した。ところがディンゴキャンツェも1991年に遷化したので、ペノル・リンポチェ(1932-)が、新たに管長に推戴された。

またケーサンサンポ師は、現在ではニンマ派でも珍しくなった在家密教行者である。本来は転生ラマではなかったが、学徳が認められてリンポチェの称号を与えられた。ネパールのボードナートを中心に活動し、欧米人の弟子も多い。
ニンマ派には、アメリカにニンマ・インスティチュートを創立したタルタン・トゥルクなど、欧米に布教し有名になった指導者が多い。またわが国在住のニンチャン・リンポチェも、ニンマ派に属している。

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